「人間関係の生々しい空気感に他人事では居られなかった」エス 猫様の下僕さんの映画レビュー(感想・評価)
人間関係の生々しい空気感に他人事では居られなかった
大学時代のサークル同志が
仲間の逮捕事件をきっかけに再会する。
気まずく複雑な状況にありながらも、
とぼけた生返事に漫才のようなツッコミが入り、
駄洒落のようにふざけたやり取りの会話が弾む、
気心の知れた10年来の友人たち。
しかし当然のように現実は甘くなく、
次第に波風は広がり物語は進んで行く。
演劇的手法・会話劇を得意とする監督の作品という事であるが、
確かにこれを本筋に絡まない無駄なセリフや冗長な演出と受け止める事も出来る。
しかし、記憶にも残らない様な他愛のない無駄口や、
大切なタスクがある時に限って他のどうでもいい事をしてしまった、
等々の人間が持つある種くだらないとも言える部分にシンパシーを感じるひとなら、
登場人物たちの人間臭さに大いに引き込まれ、ただの傍観者では居られない。
彼らの葛藤と苦悩、選んだ行動に激しく心を揺さぶられるだろう。
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