劇場公開日 2024年1月19日

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「解像度の強弱」エス タロ氏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0解像度の強弱

2024年1月23日
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鑑賞方法:映画館

知的

急に4K映像や8K映像を見たときや、フレームレートを矯正して上げた映像を見たときの、「鮮明すぎて違和感を覚える」「映像の動きが思ったよりヌルっとしてびっくりする」、そんな気持ちを連想させる作品。

一般的な映画やドラマでは観る側が頭の中で補完するであろう言葉、気持ち、熱量、間、その他様々な情報、空気感。おそらそくそういうものを勝手につなぎ合わせ、観る側はそこに勝手に感情移入をしていく。小説のワンシーンもそうかもしれない。

しかしこの作品にはそれがない。いや、上述の「一般的な映画やドラマ」や「小説のワンシーン」のようなものがそもそも現実には存在しない。
現実はもっと雑で、不完全で、一貫しない言葉が飛び交う。その過程でコミュニケーションが形作られる。
それを台詞に、演技に大量に織り交ぜた変態的な作品だった。
観る側は補完しない。補完しないから、その情景にダイレクトに没入していく。
そこに「映画を観ているんだよな」という認識との乖離が生まれ、気持ちがざらつく。
こんなに雑で解像度の高い世界を見せられるの?という、良い意味での裏切り。
セオリーみたいなものがあるとしたら、それに飽きている人に是非観てもらいたい作品です。

タロ氏