梟 フクロウのレビュー・感想・評価
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両の目で見えたのは…
多士によりレビューされている通り、評点通りの面白さだ。
いきなり本編とは関係無い切り口だが、作品の準主役の、史実上も悪政で有名な仁祖国王。この時代、かたや日本では三代将軍 徳川家光が日光東照宮を造営。建物に数多ある、天下泰平を象徴した彫刻のうち「三猿」はあまりにも有名で、悪事を見ない・言わない・聞かない方が良いとされる仏教信仰の現れと伝わる。
この作品は、儒教的信仰心に生きる若者が自らの道徳を『思いっきりブチ破る』なんとも不届きな爽快感を味わえるものだった。
他士が語られていたが、物語の前半と後半はかなり異なるエネルギーに感じた。前半は正しく大河ドラマのそれであり、期待したものとの乖離が大きく、私もかなり呆気に取られた気持ちで見ていた。
この作品の真の面白さは後半戦。主人公の盲目の特性や、置かれた環境、周囲の人物など、すべての意味合いが机上のチェス盤がごとく駆け引きされていく。
決して先の読めないものではないため、スリリングさは多少削がれていたものの、緊張感を高めるサウンドトラック効果も相まって一気にクライマックスへ向かい、気がつけば2時間、あっという間に終演になだれこむ。こういったリズムは、さすが韓国映画。
ならではだと思った。
暗黒の世界に見えた悪をみたギョンスが、仁祖国王に最後に見せたものは正義か。
そしてこれは何かの意味を込めて作っているはずで、答えを知りたいのだが…何か起きるのはすべて左眼だ。本国のポスターを見て確信したのだが。
上手いなぁ。韓国大河サスペンスの傑作。
時間を忘れて王家の陰謀に没入。
エンドロールでは「おもしろかった」と独り言。多少の脚色はあるでしょうが実話に基づいています。1645年頃の李氏朝鮮王家における清の属国か否やかの方針のこじれから親である王が陰謀を巡らしながら次期後継である息子を殺めるサスペンスストーリーですがそこに現れるのが盲目の鍼灸師です。盲目といっても暗い環境では多少見えることが鍵となってきます。針灸の腕前は優れており人間的にも真っ直ぐな性格であることから王家にも受け入れられることとなりストーリーの主人公になっていきます。家族間の残忍さの中で息子やその奥さん子どもは善人の位置付けながら明るい結末とはなりませんがそれが歴史なのでしょう。「君たちはどう生きるか」と趣は異なりスッキリ楽しめました。
手に汗握る後半の展開
韓国映画、しかも韓国で大ヒットモノの輸入ということで期待大の状態で鑑賞。
客層は中年以上の方が多く、女性割合が思いの他高かったです。(韓国モノだから?)
前半は、割と退屈でした。時代背景や主人公の背景説明が淡々と進みます。(隣のオジサンは寝ていました)
但し、この前半の説明は後半への伏線だったりします。
後半は、手に汗握る展開が進みます。
にしても、韓国映画って「見せ方」がウマいのなんの。光の加減や顔をアップにするタイミングなど、臨場感の出し方が本当に上手。
パラサイトと比較するとパンチ力はやや弱いですが、それでも満足の行く鑑賞となりました。
※パラサイトの彼は存在感抜群でしたね笑
主人公の意外さ
日本映画『みえない目撃者』は、韓国映画『ブラインド』のリメイクだったが、実際にみえない目撃者であった。しかし、本作の主人公のギョンスは、みえることもあり、そのことを隠す必要もあったり、みてみぬ振りをしたりして過ごすこともあったが、後半ではあえてみえる能力を発揮して大立ち回りをする。昼盲症という症状は、実際にあるという。『正欲』の水フェチよりは説得力を感じる。しかし、杖の突き方は、『天上の虹』同様、現代風で、『山のあなた』=『按摩と女』での突き方に近い方が良いのではないかと思う。
韓国の歴史ドラマには凄い作品が多く、ソウルの宮殿も見学に行ったので、馴染みがある。皇太子妃が可哀想だった。ギョンスは、弱い立場とは言え、罪を被せる役目を担ってしまった。最後は潔かった。また、4年後の報復は、『必殺仕置人』『隠し剣 鬼の爪』のように鮮やかだった。そのときは盲人ではない名医として訪れたのだろうか。
「ファクション」という種類があるらしいけれども、事実にインスパイアされたという言い方で、脚色で設定も大きく変えられた作品というものは、これまでにも多々あったのではないか。
正しい映画
韓国の映画、ホントに面白いね。
スケールの大きさ、実際の歴史上の人物を描くからには必須の史実とのバランス、エンタメ度、すべからく隙がなくて、ほんとに何の疑いもなく映画の面白さに身を委ねられる。
そういう昨今連発されている、良質のコリアン大作映画の一つ、その中でも特級のレベルの高さを感じる今作なのですが、あらためて思ったのが、映画の根底に流れる価値観というか感覚というか、それの正しさですね。
文字にするとどうしても嘘くさく薄っぺらに見えてしまうのだけど、要するにまあ、正義、というやつです。
人としての正しいのはこういうことなのだ、という感覚。
結局のところ、人間のドラマを描く映画というもの、それが本当に面白いと思えるように作ると、結局そこに帰結するということかとしれない。
これは映画に限らないかもしれないですが。
それが、近年公開される韓国の素晴らしい映画たちには、ちゃんと入っていると思う。
どれも外さず大事なところを押さえている。
だから胸を打つんですよね。
今作でいうとあの、主人公がなんとか危険を乗り越えててようやく門を出ようというときに、若様が殺されるかもしれない、と思い起こして門の中に戻っていく。
あの、視線の先にある安全な暗闇が映って、そこに主人公の逡巡が込められている場面。
それを振り切って自分のなすべきことをなすために危険の中に戻っていく。
本当に感動しますよね。
同じような場面として思い出すのは、エイリアン2でリプリーが、今まさに脱出しようというところで、少女の助けを呼ぶ声を聞いて引き返す場面です。
これはもう、なんというか人間の持つ普遍的なもので、人の心に響く作品の持つ資格みたいなもんだと思います。
それをこの作品もまた、持っている。
そこそこ年配の人なら覚えているかもしれないけど、淀川長治さんが日曜洋画劇場の解説でたびたび言っておられたことがそうだと思います。
ハリウッドの娯楽大作の中にも、どこかしら外してはいけない人間としての大切な価値観が描かれていて、だからこそ映画は信頼できるのだという。
近未来の学校の荒廃を舞台にしたSF映画(タイトル忘れた)にも、ヘレン・ケラーが言葉を獲得するまでを描いた古典的名作「奇跡の人」と同じような、教育に対する真摯な視線があるということ。
ETを初めて見た少年が、不気味な生物として毛嫌いするんではなく「おいで」とするのは、移民の国アメリカの大事な基礎で、それはメン・イン・ブラックの中にも確かに見えるということ。
そういう本当に感動できる映画には必然的に備わっている正しさが確かにこの映画にもあって、、まあその、この映画についての具体的な情報の何一つないレビューになってますが(笑)、要するにそうした芯のところに確かな価値観が感じられる、文句なしの傑作です。
また一ついい映画見れたなー!という幸せな気分で映画館を後にしました。
感染症は便利な言葉。
おもしろかった まるでお約束のような突っ込みどころも、 吹っ飛ばせ...
おもしろかった
まるでお約束のような突っ込みどころも、
吹っ飛ばせるだけの良さがある
見終わったあと、
過去に見た映画とかドラマとかを思い返し、
あの男の子はあのドラマで守られながら逃げていた子かとか、
そんな確認作業も楽しかった
展開が予想できず、面白い。
よくできた歴史サスペンス
ドロドロの朝鮮宮廷陰謀劇
極上ミステリー
早く観たくてウズウズしてました
1日中PCで作業していたこともあって、これ寝るかも…って思っていたのですが、面白すぎてずっと目ギンギンにして観てました。ᵔᢦᵔ
王の息子が毒殺されるまでの、
主人公の成長だったり、周りから信頼を得ていく様もかなり面白かったです。
さらに、毒殺されてからのぴりぴりとひりつく空気がもう堪らない。
明るい時見えず、暗い時に見えるという盲人であるので、それを表現するための陰影やグラデーションがとても綺麗でした。
"私なら右手を麻痺させることが出来ます。"
のところで面白すぎんだろ!!!って叫びたくなりました
まず私は歴史に疎いので、1645年(だったっけ?)の医療の技術ってだけで、ワクワクしました。
脈に糸を巻き付けて、診察とか無理だろ😣って。
他にも御医って呼ばれてたんだ〜とか
他にも鍼医への信頼厚すぎるだろとか
気になるところと言えば、毒殺事件後の時間の経過が分かりにくかったです。一晩の出来事ってことでいいのかな???
見えることを隠していたのは、主人公の"見えないことにすれば生きていける"って考えからっぽいですね。
権力と離れた盲目侍従医/暗闇の映像美
闘う勇気
権力はいつの時代も非道です。身内だろうが何だろうが、昨日の味方は今日の敵。
本作はサスペンスではありますが、メッセージ性にも優れた作品でした。ギョンスはただの盲目の鍼灸師ですが、王政という権力と対峙しました。あの時、ギョンスはそのまま外に出ることもできたのに。宮廷に戻った時には鳥肌ものでした。ラストは悲しい結末だと思っていたのにちょっと意外。
このひとりの弱者の闘う勇気を描いたことも、とても韓国映画らしいと思います。緊張感溢れる作品で、あっという間に時間が過ぎていました。
主人公は、完全に盲目の方がよかったのでは?
事件が起こるまでのテンポの良さと、事件が起きてからの二転三転する展開にグイグイと引き込まれる。
特に、最高権力者が事件の首謀者であるという絶望的な状況で、生き延びるために奔走する主人公の姿からは一瞬も目が離せない。
主人公が、自らの特技を活かし、鍼を使って国王に左手で文字を書かせるようにしたり、世子からの助言を回収する形で「見て見ぬふり」をやめ、国王の陰謀を暴露するといった見せ場がしっかりと用意されているところも、よくできていると思う。
バッドエンドの結末にモヤモヤしかけていたところに、勧善懲悪の決着をつけているのもよい。
ただ、盲目の主人公が、暗闇の中でだけ目が見えるようになるという設定は、本当に効果的だったのだろうかという疑問も残る。
確かに、そうした設定がなければ、主人公が暗殺の真相を知ることはなかったのであるが、一定の条件下でも目が見えるというだけで、謎解きのミステリーや、逃亡劇のスリルが弱まってしまったように思えてならないのである。
完全に目の見えない主人公が、「音」や「匂い」だけを頼りに陰謀に立ち向かっていくといった物語にした方が、もっとハラハラ・ドキドキが感じられたのではないだろうか?
鍼師のひとりごと
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