劇場公開日 2024年2月9日

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「確かに、私が見ました。」梟 フクロウ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5確かに、私が見ました。

2024年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

時は1645年。朝鮮王朝の歴史に詳しければ引き込まれるのは必至だろうけど、知らなくても十分面白い。大国中華王朝と陸続きの小国朝鮮は、顔色を窺いながら生きなければならない。それはかつての琉球などもそうだろうし。その時代的地理的背景が起こす政治的思惑、施政者は陰湿にならざるを得ないなあ。その気分を煽るような展開。権力欲の渦に巻き込まれる、幾人かの心に宿す正義と倫理観。盲目の鍼医師の設定も絶妙。説明過多じゃないのもいい。こちらも一緒に「あ!」と気付く快感がいい。そして、扉を開いた時の朝日、まるでドラキュラまがいのその瞬間の絶望感。ラストはなんだかモヤつくけど。
あまり韓国映画は好んで観ないけど、なるほど国民性を考えてみれば、韓国がノワールものが得意分野なのは分かる気がした。

栗太郎