FEAST 狂宴のレビュー・感想・評価
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美味しそうな郷土料理と理解できない赦しの精神。
マジで監督の了見がわからなくて戸惑ったが、それでもなお、どのシーンもやたらめったら面白い。金持ち一家が交通事故を起こし、随分と身勝手な贖罪に勤しむのだが、貧乏人である被害者遺族に対して、同じ人間として扱っているとはとてもじゃないが思えない。罪滅ぼしのために使用人として雇うのはかなりムリのある罪滅ぼしだと思うが、貧富の格差が開きすぎている社会では、意外と双方すんなり受け入れてしまえるものなのだろうか。にしても、息子の身代わりで刑務所に入る家長であるお父さんが、差し入れを持ってきた被害者家族にたいして「早く家族に会えるように祈ってる」なんてしれっと言ったりする。言われてる方は、テメエらのせいで二度と夫に会えないってのに。でも、そういうイビツな関係性を皮肉たっぷりに描いているのかと思っていたせいで、最後の最後に訪れる赦しの表現への驚きと戸惑いがただごとではなかった。なんだこの価値観? 異国フィリピンってこうなの? それとも監督の独特すぎる人生哲学のせい? とにかく理解とか共感がまったくできないオチで、まるで宇宙人と遭遇したような気持ちになるが、それも含めて、自分の中にないものを見せてくれたという点でものすごく面白い。そして次々と登場するパンパンガ州の郷土料理がものすごく美味しそうで、もうそれだけでも名作な気がしてきた。とにかくグローバリゼーションが進んだ現代に、異文化や異なる価値観に出会える経験は新鮮だし貴重。
別バージョンのエンディングも見たい
原題のApagはタガログ語で「食卓」を意味する「Hapag Kainan」という言葉の略語だそうで、英題のFeastは「宴」や「ごちそう」のこと。ラストまで観て、邦題に「狂」の字が入っているのはミスリードではないかと思った。
だが調べてみると、本作には別バージョンのエンディングがあるようだ。ブリランテ・メンドーサ監督はもともと香港国際映画祭協会から製作資金を援助されていた関係で、「セックスも暴力も政治もない映画」との条件で完成させたという。香港など国外の映画祭に出品したのち、今度はフィリピン国内の映画祭に出品する条件として内容の変更を迫られ、主演のココ・マルティンの提案も受けてまったく別の印象を与えるエンディングにして出品したのだとか(もともと別バージョンのシーンも撮影していたのか、変更を決めてから急きょ追加撮影したのかまではわからなかった)。
ネタバレを避けるため具体的には書かないが、最後まで観ると別エンディングがどんなものかは容易に想像がつく。邦題はそちらへの含みも込めたのだろうか。
貧富の差がある2つの家族が同じ家に暮らすという点で「パラサイト 半地下の家族」を想起させもするが、過激なあちらに比べると本作はずいぶんと穏やかに進む。キリスト教の贖罪や赦しがテーマになっていることも一因だろう。
メンドーサ監督の「ローサは密告された」は強く印象に残っている傑作で、当サイトの新作評論も書かせてもらった。2作を比べると、先述の理由もあって刺激は少ないのだけれど、家族のあり方や罪のつぐない方をじっくり考える契機にはなるだろうか。
杜撰なの?入念な計算?
お金持ちのボンボンの運転する車が事故で貧しい家族の父を殺してしまいますが、権威と金の力で何とかそれを隠蔽しようとします。さて、そこからの復讐劇になるのか・・と思いきや、「えっ、そうなるの?」「そんな事あり得る?」と予想を覆す展開がラストシーンまで続きました。それが杜撰な脚本のせいなのか、入念な計算によるのか分からず観る者を混乱させます。これはまんまと制作者の術中にはまっているのか、それともこちらの考え過ぎなのか。でも、何だか妙な癖になる気もして来るのでした。
狂宴!?
全然狂った宴ではなかったです。
普通な話というか、山場というか、盛り上がりが
全然ないですし、平坦な感じで話が進んで
そのまま終わるので、実に残念でした。
冒頭の事故シーンから不穏な雰囲気が漂っていたので
加害者の金持ち家族に対して、
生活が苦しい被害者家族が復讐しまくる、あるいは
ラストの宴で復讐しまくるのか!?と期待していたら
大空振りでした(笑)
被害者家族も、加害者に雇われるって
全然理解できないし、共感もできないし、
被害者家族はまんざらでもなさそうだし、
お国柄というか、とどのつまりお金💰なの?結局は。
う〜ん、作品としてはこれでもアリなのでしょうが、
私としてはフェイバリットにはなりませんでした。
ピントがあっていない。
カメラが動く度にピントがずれる。ピントが合うまでに時間がかかるので、見づらい。
これが、先進国との違いが分かった。
内容は、外国の風景が描写され、よく分かった。
作品的には、いい作品と思う。しかし、ピントが合わないのは、残念であった。
ズッコケた(笑)
交通事故の被害者が加害者の家に寄生して…みたいなヒトコワなホラーだと思ってたら、
最後まで観て、ズッコケた(笑)
いったい何を観せられたんだと(笑)
フィリピン国内とフィリピン国外で、エンディングを変えてあるらしいですが、
このエンディングは、うーん…(笑)
DVDやブルーレイの特典として、アナザーエンディングを収録してほしいですね(笑)
気になる(笑)
日本人としては珍しいフィリピン文化は、それなりに楽しめました。
異文化を垣間見るにはとても良い
邦題やキービジュアルの感じから、もう少しサイコ要素やホラーを期待していたのですが、
さっぱりしたドラマという感じでした。
盛り上がり所は特に無く、淡々と話が進んでいきます。
フィリピン料理のシーンがこれでもかと出てくるので、一応グルメ映画のとしての性質もあるかもしれません。
また、フィリピン人の性格や、キリスト教への理解がないと、
人物の行動の動機について終日頭に疑問符が浮かんだまま鑑賞することになると思います。
ただ、裏を返せば、世界にはこんな考え方をする人もいるのだなとか、
こんな料理を食べてこんなお祝いをする文化もあるんだなと、ちょっとした異文化体験の出来る映画でもあります。
どう解釈したら良いか悩む宗教映画なので、心して鑑賞した方が良いかもしれません
2024.3.7 字幕 アップリンク京都
2022年の香港映画(104分、G)
フィリピンのマニラ郊外カパンパンガンを舞台にした「交通事故」を巡る加害者家族と被害者遺族の交流を描いたヒューマンドラマ
監督はブリランテ・メンドーサ
脚本はアリアナ・マルティネス
原題は「hapag Kainan」の略語でもある「Apag」で「食卓」という意味
物語は、カパンパンガンにて「高級レストラン」を経営しているアルフレッド(リト・ラピッド)と、その息子・ラファエル(ココ・マルティン)が市場で買い物をしている様子が描かれて始まる
そこには、貧乏家族の主人マティアス(カルロス・キャンラス)と娘・キャット(フランゼン・ジェルロ・トレンティーノ)も来ていたが、高騰する価格から満足に買えていなかった
その後、マティアスはバイクで家に向かい、その後ろからラファエルが車で店へと向かっていく
ラファエルには離婚した妻・シェリー(シャイナ・マグダヤヨ)との間に娘・アデリーヌ(ラブリー・エンリケズ)を授かっていたが、今はほとんど会えない状況になっていた
運転中にシャリーから電話を受けたアルフレッドは、娘の声を聞かせるためにスマホを渡そうとするが、その瞬間、前を走っていたマティアスが急転回し、ブレーキをかける間もなく衝突してしまう
バイクは大破し、二人は道路に投げ出されて大怪我を負っていた
ラファエルはパニックになり、あろうことにもアルフレッドが運転を変わって、その場から逃走してしまうのである
物語は、アルフレッドが妻エリース(ジャクリン・ホセ)に打ち明け、弁護士を介して話をつけようとするところから動き出す
弁護士は「自首して、被害者にできるだけのことをしてから来い」と門前払いをし、ラファエルは彼らの治療費を払いに病院に向かうことになった
娘の方は無事だったが、マティアスの方は意識不明の重体で、治療費を払えない妻ニータ(グラティス・レイエス)は、やむなく生命維持装置を外す決断を強いられてしまうのである
映画は、アルフレッドがラファエルの身代わりをして出頭し服役する様子が描かれ、そんな中で被害者遺族への補償として、レストランで雇い入れる様子が描かれていく
ニータは従業員たちと打ち解けあい、仕事も勤勉にこなしていくので、エリースとの関係も良好になっている
だが、身代わり出頭をさせて、罪と向き合っていないラファエルは精神的に追い詰められ、教会に行って懺悔をしたりしても、何一つ心が晴れない
そうして、ラファエルはニータに本当のことを話すことになるのである
映画は合計4つの章に分かれていて、第1章は「ローマ人の手紙 14:21」、第2章は「詩篇 147:9」、第3章は「箴言 15:17」、そして第4章は「ルカ 14:13」となっていて、最後に「ルカ 12:23」で締められている
英語と字幕が画面いっぱいに登場し、読んでいる間もなく通り過ぎ去っていくのだが、いわゆる寓話として映画は構成されているようだった
贖罪をいかにして果たすかという命題の中、神に告白してもダメという内容になっていて、直接言葉をかけて償う以外に方法がない
そんな中で、アルフレッドの出所祝いのパーティーが開かれるのだが、その食べ物に「毒が入っているんじゃないか」と思わせるような雰囲気を醸し出している
そういった経緯を踏まえた上での「いのちは食物よりまさり、からだは着物にまさっている」という言葉が示されているので、ラファエルの罪は赦されたというふうに解釈しても良いのかな、と感じた
いずれにせよ、ポスタービジュアルだけの情報だったので、ホラー映画なのかなと思って観てしまっていた
ホラーというよりはスリラーのノリに近いのだが、本質的には宗教映画であると思う
パンフレットもないので劇中引用の文言の解説がないのが辛いところで、その方面に詳しい人なら本質に切り込めるのではないだろうか
あとは思いっきりフィリピンが舞台なのに香港映画というところがよくわからなかったが、その解説を探すのも難航しそうな映画のように思えた
全くよくわからん…
パラサイト的なノリかと思ったら全く違ってた…。加害者も被害者もどっちの心情も理解できない。邦題が素晴らしすぎて何か起こりそうな感じなのに全く何も起きない。これって宗教的な問題?良さがわからんかった。
潮が満ちるように迫ってきて、ある瞬間その心情が繋がる
「ローサは密告された」の闇の描き具合が絶品だったメンドーサ監督が、揺れ惑う人々の心情が「正」の側に傾く様を丁寧に描いた映画。
起きた事件の前後からその後を淡々と描きつつ、ある時関わった人々の心情が溢れるように迸ってきた。そして全てが繋がっていく。やはり名匠だなと唸った。
金持ちは正義
高級レストランを経営する交通事故加害者が、被害者遺族を雇入れる話。
市場の帰路社長の息子が交通事故を起こし、同乗していた父親が運転を代わって逃走して巻き起こっていくストーリー。
フィリピンの法律や警察のことは全然知らないけれど、被害届け出さないとーとか示談がーとか、やるべきことも順番も違和感バリバリ。
身代わりで父親が捕まったことはとりあえず置いといてw
被害者の嫁を雇入れるのも違和感バリバリなもののそれはまだ良しとしても、その後の関係が???国民性の違いですかね?
金婚式にしても機微をみせるメインがラファエルとママ?だったりアデリーヌとの件は何がみせたい?だったりニータが面会に行くのも感覚がズレてるし、そのお祝いの席の準備するのがニータですか?
反省し謝罪し懺悔すれば、全ては赦されるの極みなんだと思うけれど、毒でも盛ってブラックコメディにでもしてくれないと締まりませんとか思うのは、自分の器が小さいからですかね…。
石をパンに変える方法知りたい
死亡轢き逃げで禁錮3年って軽過ぎない?
それはともかく、制作にあたって色々な制約があったようだが、感情移入できる人物がひとりもいないというのはある意味感動的であるな。
料理はとても美味しそうでした。
豪勢な料理は見もの
ひき逃げ事故で夫を亡くした女性が、加害者の家族が経営するレストランで働きはじめて…と書くと、これからキナ臭い事が起こる予見を感じそうだが、実にこれが何とも言いようのない着地で終わってしまう。
監督の事は全く知らなく、過去作では政治、セックス、暴力を絡めた内容が多いらしい。でも今回それらを封印したのはコロナパンデミックの影響が大きかったとの事。その考えは分からなくもないし、倫理観の違いと言ってしまえばそれまでだけど、端的につまらない。
目を惹かれたのは、豪勢な料理の数々。観ているだけで食欲を掻き立てるそれらを、これが最後の晩餐かと思わせるかの如く食する加害者家族達…久々にどう評していいのか、どういう感想を抱けばいいのか困惑。買い付けた配給会社さんの気概は天晴だけど、宣伝大変そう…
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