劇場公開日 2024年1月12日

「兄目線で見てた…」弟は僕のヒーロー くーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0兄目線で見てた…

2024年1月21日
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ダウン症の弟の存在を、とっさに素直に正直に話せず、最初に開示できなかった故にウソを重ねることになる苦しさ…

私自身はきょうだい児ではありませんが、上記の状況で兄が四苦八苦する姿をみてるうちに、私は兄に感情移入して観ていました。

ヨーロッパでネオナチを騙ることのヤバさを理解しきれていないのだけど、
高校で全員に否定され敵意を持って対峙される様子を見て、兄がそうするに至った経緯を見てよ!と思って苦しかった。

広場で告白できたあと、両親含めた家族すら、全員が彼を置いて立ち去るところ、苦しくなった。

障害者が身内にいることにより自らの内に溜まっていくしんどさを、「差別してはいけない」という鉄壁の正論を盾に否定されたら、
きょうだいは、その苦しさをどうすればいいのか…

現実では、この映画のように結果的に良い方向に進んでいくこともなく、兄のような人は独りで苦しみ続けてしまうのではないだろうか…

そうなったら、たとえ家族がきらいではなくても、自分を守るために家族と距離を置かざるをえなくなったりするんだろうな…

広場でマイクを手にして弟について最初に語ったことは兄の本心だと思う。
弟への愛情。
でもときにそれを上回る、弟の存在ゆえの苦しさ…

結果的には家族にとって大切な話をするあの場所で、「親だから味方」と伝えていたが、
あの場で1人置き去りにされたことは、自分だったらものすごく傷付けられ親を恨んでしまうかも…

兄にあの親友がいてくれて良かった。
芯がしっかりしていて、不良に憧れず家業のバイトをしっかりやり、ヤバい方に踏み出したとき警告し、でも、傷ついて戻ってきたとき一緒にバスケして仲直りしてくれる友。

親も姉たちも、自分の立場しか見ていなくて、兄の状況を理解も寄り添いもしてないように感じられた。

それでもアレが家族。

自分が生まれた家族って選べないのがしんどいよね…

ただ「家族として互いに尊重し大切にし合えるか」は、
障害の有無は関係ないと思う。

個人的には、親が愛情で結ばれている家庭の子は、周りの人間と上手くやっていけるようになる気がしている。

ポスター?で「イタリア版 『ワンダー 君は太陽』」と言われてるけど、弟が(障害/難病)で困難抱えてるゆえに兄/姉が葛藤抱えてるという設定以外共通点はなく、深みも感動も全然違う。

本作しか観てない人はぜひ「ワンダー 君は太陽」を観てみてください。

くー
くーさんのコメント
2024年2月20日

そうですよね、自業自得とはいえ、広場に置き去りにされたジャックの孤独と痛みは想像するだけでつらいです。
コメントありがとうございます。

くー
きりんさんのコメント
2024年2月20日

置いてけぼりのジャック。
高校時代の僕もホント孤独でした。いろいろ思い出してしまう、これは青春小説かもしれません。

きりん
くーさんのコメント
2024年2月2日

コメントありがとうございます🙏勉強になります。

くー
てつさんのコメント
2024年1月26日

確かに『ワンダー』のヴィラとはだいぶ違いますが、ジャックという同じ名前の親友がオギーを裏切って苦しむという展開との共通点はありますね。あるいは、『ギルバート・グレイプ』の兄が弟に抱いていた二面的感情との共通性があるかもしれないとも思います。『ケニー』他、障がいのあるきょうだいの心情を描いた作品は色々ありますね。

てつ