「プロットは良いと思う・・・」瞳をとじて コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
プロットは良いと思う・・・
1 エリセ久々の新作にして、ミステリアスな人間ドラマ。
2 映画製作途上で主演俳優が失踪し、未完のまま映画を撮ることをやめた元監督が主人公。
前段は、その監督が俳優の失踪の謎を取り上げたtv番組に関わる姿を描く。後段では、見
つかった俳優が記憶を失っており、記憶を取り戻そうと働きかける様が描かれる。クライ
マックスは、彼が失踪するまで撮影された映画を見せる場面。
3 エリセの新作は、長編第1作目の ミツバチのささやきと同様、冒頭に映画の場面を持ってくる。ミツバチは移動映画が村で上映される場面。テンポ良く写される村人の表情、そしてさりげなく紹介される家族の姿。数ショットで主要人物の紹介と家族関係を表した。一方本作では、件の作中において、お屋敷の老当主が一人の女性の探索を依頼する場面。劇中の流れる空気がとても重い。煌めくショットもない。この暗い流れが前段を貫く。元俳優の行方がわかってから、焦点が彼の記憶回復に移る。そして、元監督は取って置きの方法を行う。それは・・・。ここら辺りのシーンは良かった。
4 世評が高かったエルスールは、本当は三時間の長尺でエルスはそのまま公開したかったがプロデューサーは許さず、後半部分をばっさり削ったらしい。本作も前段を刈り込むなど編集が頑張れば良かったのにと思う。
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