「父娘再会」瞳をとじて りかさんの映画レビュー(感想・評価)
父娘再会
エリセ監督作品に共通するのは、
作品内にて劇中劇というか映画が上映され、
画面が映しだされることだろうか。
本作でも冒頭とラストに『別れのまなざし』が上映される。その監督が主人公である。
ミゲルが手がけた作品撮影中失踪したフリオ。
作品お蔵入りで監督も辞め文筆業で暮らす日々の中、TV出演した後、似た人物がいるとの
知らせを聞き確かめに行くと本人と確信。
高齢者向けのホームで、
シスターや周りの人々に見守られながら、
得意とする修理の仕事をし、僅かながら
小遣いも得て静かに暮らしていた。
記憶を取り戻させようと、
海兵隊時代の写真を見せたり、
懐かしい歌を一緒に歌ったり、
娘のアナを呼び寄せ、
フリオの最後の出演作を上映もする。
主演したから何か思い出さないかと。
ラスト、感動的な場面で締めくくり❗️
前作2作と同じく、
記憶喪失して行方わからずになった
フリオが何を表すのかを考えたら、
あのフランコ政権下での凄惨な状況かと
考えてしまう。
言うに言えない政権下の国内を表し、
南北の分断による家族の離散苦悩があり、
政治的主張をしなくてもまきこまれ、
精神的苦痛を受けたが為に、
自分がわからなくなってしまう程の
酷い仕打ち。
記憶が無いフリオも、
瞳を閉じれば、
まざまざと思い出してしまうのか。
画像は、映画の中の娘役、
チャオ•シューになっている。
名前を変えないと生きていけない
その国の事情も然り。
過去ではない今現在も続いている苦悩を
表したかったのだろうか。
ただ、あの穏やかなホームの様子は、
現在の平和に向かいつつある国内を表し、
映画の中でもあるがごとく、
父と娘の対面は、
これからの希望を表していると考える。
また修正するかも、です。