「映画について映画で考えた」瞳をとじて あしたさんの映画レビュー(感想・評価)
映画について映画で考えた
失った時、人、夢を、光と闇と音楽と時間の芸術である映画で表現して描ききった巨匠の渾身の作品でした。
冒頭の劇中劇がシームレスに始まってシームレスに現在の現実に繋がるこの剛腕演出にもう感激してノックアウトでした。
名前には意味はないしいくつも持っている、私は海に繫がっている全ての国に行った、歳もいくつでもよく、娘がいたかもしれないしいなかったかもしれない、つまりフィクションの中の役柄を現実として捉えている登場人物の彼は映画の中に生きている。
それは幸せである意味で理想的だ。
果たしてそうだろうか、と現実の生活をしている主人公は探っていく。
その現実とフィクションの対比、シームレスに繋がる様子をしっかり3時間かけて至福のショットで描いていく。
最高の映画体験でした。
一点だけノイズだった点、劇中劇のラスト、中国から連れて来られた少女が大人男3人に囲まれて怯えながら雑に扱われるシーン、劇中でも二十年前の作品ということでというエクスキューズが入るとは思いますが、普通にこんなつらいこと少女にするなよと思ってしまいました。
どうしたって感動シーンにはならないよね。
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