「遺言」瞳をとじて halさんの映画レビュー(感想・評価)
遺言
ビクトル・エリセ。31年ぶりの新作。
映画の映画。そして、記憶とは?老いとは?人生とは? 観客自身が向かい合う映画である。
劇中劇で失踪した俳優も、かつてその映画を監督し、彼を追うことになる主人公も、多分、エリセ自身を重ねている。
きっと、この映画は彼の遺言なのだろう。
2時間半を超える長尺だが、飽きさせないどころか、至る所にセルフオマージュが散りばめられていて、一瞬たりとも目を離せない。
音楽は一切なく、だからピアノの音や、消え入りそうなアルゼンチンタンゴの歌声が沁みる。
「老いにいかに向かい合うかだって?希望も。恐れも、抱かないことだ」
傑作である。
「Soy Ana.《私はアナよ。》」
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