「出版までの展開が素晴らしい」九十歳。何がめでたい Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
出版までの展開が素晴らしい
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佐藤愛子のエッセイの出版までの経緯とエッセイ紹介を中心に描いてんのね。
もとのエッセイが相当いいと思うんだよね。エッセイ紹介のところは泣けたりすんの。犬の話は泣いた。
オープニングはゆっくり入るんだよね。草笛光子(佐藤愛子)の年取った人の日常を描いてくの。なにも起きないのに観ちゃうんだけど、画がきれいだね。明かりの使い方がめちゃくちゃうまいの。
前田哲監督、《水は海に向かって流れる》では色づかいが良かったから、映像に気を遣う監督なんだろうな。いいと思う。
次に来る唐沢寿明の紹介シーンはうまい。アップデートできずパワハラする人設定だから、部下を叱責するシーンからいきそうなものだけど、ほめるシーンから入るんだよね。
その後の人事部とのやり取りも「この人事、おかしくないか。言ってることはまともだけど」という感じを残しつつで、アップデートされた現状の批判は一切してないけど「唐沢寿明、こんな奴らに負けるな、頑張れ」って気分になるの。
草笛光子のところに通い続けて、唐沢寿明が連載勝ち取るところも面白いね。
最後、玄関先で渾身の演技をする唐沢寿明に孫が『おばあちゃんから』と紙を渡すと『エッセイタイトル案』が書いてあるのもカッコいい。
エッセイ紹介が終わって、唐沢寿明の事情収拾に入って勲章受章の流れは、前半ほどの面白さはないのね。ストーリーじゃないんだろうな、この映画。
「草笛光子 生誕90年記念』という映画だけど、90歳まで、この可愛さと美しさを保つ草笛光子はすごいね。鍛錬か。
エンドロールに出てきた佐藤愛子も同じく美しくて、年を取るならこう取りたいと思ったよ。
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