「【”暴れ猪生まれの頑固な所が似た者同士の作家と編集者が産み出した傑作エッセイが出来るまで。”草笛光子さん、矍鑠とされていてお元気だなあ。】」九十歳。何がめでたい NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”暴れ猪生まれの頑固な所が似た者同士の作家と編集者が産み出した傑作エッセイが出来るまで。”草笛光子さん、矍鑠とされていてお元気だなあ。】
■昨年100歳を迎えた佐藤愛子さんのベストセラーエッセイ「九十歳。何がめでたい」を底本に映画化した作品。
90歳の愛子(草笛光子)は断筆を宣言したが、何もしない日々を鬱々として暮らす。そこにやって来た出版社のパワハラ・セクハラでヒラになった編集者、吉川(唐沢寿明)。
何度も追い返すが、有名なお菓子を差し入れする彼に根負けしてエッセイの連載を始めるお話。
◆感想<Caution!内容にやや触れています。>
・断筆宣言をしたが、鬱々とした日々を過ごす愛子と、会社ではパワハラ・セクハラでヒラになり、家では妻と娘に出ていかれ、傷心の編集者の吉川との掛け合い漫才みたいな遣り取りが面白い。
・愛子が、いざエッセイを書き出すと徐々に活き活きとなって行く姿や、世の風潮を一刀両断に切り捨てる小気味よいエッセイがコレマタ面白い。
特に保育園建設反対と言う新聞記事を見た時の、彼女の劇中語られるエッセイは秀逸である。
”人が生きる街には、騒音が有って当然。天使の様な子供達の声を嫌う等とは・・。戦中の音を出してはいけない町を知っている者には、このような意見が出る国は・・。”
・又、嫌いなモノは嫌いと言うべき!”と言うフレーズを吉川の妻(木村多江)が読んでいて、吉川が過去の自分の行状を詫び復縁を願った際に、ニッコリ笑って”私、貴方が嫌いだから。”と言うシーンなどは、ナカナカであったよ。
・更に言えば、”お母さんを解放してあげて”と久々に会った娘(中島瑠菜)からキビシク言われつつ、バレエの発表会に行った時に娘から届いたメッセージのシーンも良かったな。
<愛子が寸鉄人を刺す言葉を多々使いながらも、それが的を得ているために出版したエッセイがベストセラーになったり、優しき心持ちを持つ人であった事を示す北海道の別荘の家の前に捨てられていた犬を引き取り育てていた事や、孫娘の成長に合わせ二人で撮った面白い写真を載せた年賀状のシーンなど、佳き作品でありました。>