僕らの世界が交わるまでのレビュー・感想・評価
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軽やかな語り口を持った愛すべき作品
かつて『イカとクジラ』(05)で弟役を演じたオーウェン・クラインが長編監督デビューを果たした2022年、兄役のジェシー・アイゼンバーグもまた、こうなることが運命付けられていたかのように初監督作を完成させるのだから驚きだ。主人公はネット生配信で投げ銭を得ている青年ジギーと、その母親にして福祉事業家のイヴリン。ジギーはこの年代の男の子の常で、自分の聖域に母親が入ってくるだけで汚されたような気分になるし、自立した性格のイヴリンは息子と少しでも交流を持とうとするあまりつい口煩くなってしまう。かくも二つの世界は交わらず、互いを分かつ壁も高い。しかしどちらも決して完璧ではなく、彼らは暗に痛みや不安を感じつつ、常にもがいている。こういった出口なき母子関係を決して重く引きずらず、軽やかなテンポを維持しながら心地よく描いて見せるのは稀有な才能だ。最後に待ち構える落とし所も観客をフッと笑顔にさせてくれるはず。
母親も息子も空回り
人気俳優ジェシー・アイゼンバーグの初監督作品。
ジュリアン・ムーアが主演で息子とちぐはぐな母親を熱演。
母親も息子もやっていることが空回りして
意地を張っていく姿がホント滑稽。
母親も息子も意地を張らずお互いの気持ちを考えていれば
こんな思いをせずに済んだのに。
でもラストはお互いが歩み寄っていい感じになって
良かった良かった。
みんなダメダメだからこそ
DV被害に悩む女性のシェルターを運営する母だって、愛と平和を歌ってYoutubeの視聴数を伸ばす息子だって、決して「正しい人間」ではなくダメダメな面もある。でも、それだからこそ人は愛すべきなのだという事を力まずに平熱で語る事で観る者が心を寄せられる。
親子間の微妙な距離
10代の息子を持つ母親のもう諦めた感じや、10代の男の子から見た母親の面倒くささは、きっとどこの国でも同じなんだなと感じ、とても共感しました。
そして一番シンプルに家族をみているのは、父親(夫)なのでしょう。
きっかけがあれば、お互いを一番認めあえるのは似たもの同士の親子なんじゃないか、そんな簡単にはいかないけど。
最後、二人が何か言葉を交わすでもなくハグするでもなく、どうなるのかなーと終わるところがとてもセンスがいいなと思いました。
自分を振り返るきっかけになった一本
ちゃんと自分の夢を持ち、それに向かって頑張っていることは良い事。
けれど周囲への配慮あってのものであることはもちろんのことで…。
主人公の女性はきっと優しく真面目で”ちゃんとした人”なのだろう、
息子との関係に悩みながらも、自分の物差しを持ってきちんと物事に
あたることが出来ている。
息子も息子で、じぶんなりに表現という場を持ち、
その中で”伝えたいこと”を考えもがきながらも、ティーンらしい
自分勝手さとうまくいかない中で、あがいているところが青年らしい。
それぞれにちゃんと自分なりの”こうだったらいいな”があって、
けれども家族とは向き合うことが怖くて……
家族をないがしろにしがちなところが少し似ている。
ちゃんと家庭として、社会人として、夢を見ている青年として、
日々を過ごしているのに、そこに会話や気持ちを交わすような交流がないまま
日々が流れていく。
私自身も家族とちゃんと向き合えているだろうか。
他人に「こうあるべき」を押し付けすぎていないだろうか。
そして自分にも。
案外と欲しいものはシンプルで、愛しているものは単純に考えた方が
分かりやすいのかもしれない。と改めて感じさせてくれた一本だった。
コミュニケーションの本質を描いた意欲作!
原題「When You Finish Saving the World」を「僕らの世界が交わるまで」としたのは
すごく良かったんじゃないかと思います。
日本だとこちらの方が届け手の思いが伝わるように感じました。
主人公エヴリン(ジュリアン・ムーア)と息子ジギー(フィン・ウルフハード)の
コミュニケーションが軸です。
途中で夫から「二人とも自己愛が強すぎだ」と言われるのですが、
これが実に的を射ているセリフなんですね。これが全てといっても過言ではないくらいです。
要は、エヴリンもジギーも、自分の価値観が絶対的な正義になっていて、
自分の価値観では「正しい」ことだから、相手にも正しいことなんだという
なんとも独善的なんです。
だから、相手とコミュニケーションをとっている“つもり”で
実はとれていないんですよね。
コミュニケーション=意思疎通 ですから、全然できていないわけです。
これに気づくのが、ラスト手前。
エヴリンは目にかけていた男の子に、ジギーは同級生の女の子に、
目が覚めるようなことを言われます。
ふたりとも面食らった表情を浮かべますが、
ここでようやくお互いが息子に・母に、向かいあおうとするんですね。
で、ラスト。
素晴らしいラストでした。
余韻がたなびく終わり方で、私はこういうラストも好き。
この後、この親子はどうなっていくのかな?という想像する余韻が良いです。
88分というコンパクトさも良かったなと思います。
やっぱりジュリアン・ムーアは素晴らしい俳優ですね。
素晴らしい演技で感動しました。
A24でこういう作品はなかなか今まで観れていなかったです。
あらためて良いスタジオだなと思いました。
また、本作のプロデューサーにエマ・ストーンが名を連ねていますね。
だからどうってことはないのですが、へーと思いました(笑)
こじらせてるよね、この母親と息子。
この親にこの息子あり、みたいな感じね…。
二人とも周りが見えてないじゃないの。
お母さん、自分の息子が相手してくれないからって、
他所様の愛息にお節介し過ぎちゃダメよ。
息子よ、好きな子をもっと理解しようよ…。
とりあえず、ラストは他人から諫められの咎められので、
やっと自分ら身内の距離が近づいた感じかねぇ…。
お父さんの影、薄っ!
今の気分にちょうど良く
面白く見れました。
近いのにいつの間にか遠くの所にいる息子。
そんな心のスキマを補填するかのように同年の少年に情愛を転嫁。。
そして食事を作ったりレストランに誘ったりと、どんどん代償行動に走ってく所が面白い。
それをセリフで吐き出すんじゃなく映像とで息子のすれ違いと交われない距離を見せてく所が印象深い。
それなりに頑張って成り上がってきた女性が見せる、手前勝手に作り上げた幸せの押付けが痛々しい。
母と息子はなにかが間違っていたことに気付き、互いが静かに向き直ろうとするところも心地良かった。
そんなこんなの小さくて大きなお話しが90分もない。そつがない
鏡のような母子関係。
アプリやWFPにも触れた東宝の新作紹介でしたが、本篇はネットや福祉において如何なる叙述や変革を紡いでいくかと問う内容です。福祉活動家の母の息子はDV家庭に顕著な依存を避け、自由主義に拠るyoutuberのミュージシャンですが、閲覧数の高まりに伴い左翼の集会に顔を出すようになります。補助金の付け合いをしてるようにも視えますが、社会福祉に携わる若者を一人でも増やそうとする母の想いを踏まえ、反戦詩に付ける曲を創作するようになります。孤立する自由より連帯する社会を主張して憚らない母親に、東西陣営は所詮交われないよと閉口しますが、気が付けば母子は合せ鏡のように互いの長所をよく取り込んでいたというお話です。キャッチーな演出でテンポよく進み綺麗に終る、心に残る作品です。
傲慢な母親
が見ていて辛くなる映画でした。
自分の行いが正しいと信じている人は、なんかどうしようもないなあ、という感想です。
息子は悪い人ではなさそうですが、何も考えていない人で、あの母親と繋がりが持てないのは当たり前かなあと思いました。父親の存在感の薄さも気になりました。
ただ、「世界を救うことをやめた時」という原題は、この映画の本質を表しているように思いました。「世界を救う前に、自分の身近な人とちゃんと向き合うことの大切さ」が、この原題にすべて含まれているように感じました。
どっちも、どっちな似たもの親子
父が一番、冷静ね。
Selfish。いい得て妙。
ふたりとも、思い込み激しすぎ。
そんなにのめり込んだら、公平性もあったもんじゃない。
それでも、自力で気づいただけマシかな〜
パパ、頑張って!
似た者母子
大人になり切れず空回りする似た者母子の話。
息子はともかく、母エヴリンのあまりの独善についてどう理解すれば良いか分からず、面白がるポイントを見いだせず…
ジェシー・アイゼンバーグが初監督とのことだが、演技ほどのキレはないかな…
ジギー・スターダスト
母親は強い願いを込めて生まれてくる息子の名前を、
宇宙からの救世主ジギー・スターダストから取ったのだろう。
カエルの子はカエル、
ジギーの親もジギー。
そして願い通りに息子は育った・・・
シンプル・イズ・ベスト、
荒くて未知なる世界と、
小さいけど豊かな世界が交わる。
こんなに美しいラストシーンはあるだろうか。
原題は、
When You Finish Saving the World
空回りする親子が見つめる先
空回りする人たちを見るのは少しつらい。それだけ思いが強いということの裏返しでもあるんだけど、とにかく突き進む姿に引いてしまう。
本作に登場するエブリンとジギーはまさにそんな感じの親子だ。序盤はそうでもない。若干の違和感がある程度。その違和感が徐々に大きくなっていく展開がうまい。あの家庭での父親の存在ってなかなかつらそうだよな。大事な式を忘れてあげるなよ、かわいそうに。
一方通行の思いが向かうところはたいていろくなもんじゃない。「よかれと思って」行う他人の行為は注意が必要だ。2人のとる行動に引いてしまうのだが、観終わった印象は悪くない。これで終わり?と感じる部分もあるがここで終わらすのもいい。キチンと前向きな未来は示唆はしている。世界に向けて行動していた2人がウチなる家族に目を向ける。当たり前のことなんだけどすごく大事。そうだよな。空回りする人って思いが強いだけじゃなくて、まっすぐなんだよ。やはりそんな彼らを憎めない。泣くほどの感動ではなかったが、彼らのことが愛おしいと感じるくらいにはいい映画だった。
あと、ジギーが歌う曲が結構よかったのもよかったところ。これからもっといろんな曲を発表して大きくなってほしい。なんてことまて考えてしまった。それなりに気に入ったってことなんだろう。
肌に合わない
A24作品ですが、こんな風に淡々と描くとイタイイタイ人々が沁みてくる。また音楽の使い方が巧い。エンドクレジットへの入り方も良かったが、所々で流れる電子音ぽい曲が心情を表してるよう。オペラ?をガンガンかけてる車が、小さい電気自動車? なのも笑える。自分もロックや伊福部を鳴らして出勤したいな。
邦題への違和感が拭い去れない、「おせっかいを終了した日」みたいな感じなんじゃ?
ジュリアンムーアが可愛いよー
公開後の評判はあんまりよくないみたいだけど、A24だし、いくつになってもキュートなジュリアン・ムーアたん観たさに劇場へ✿
この作品をコメディジャンルに紐づけるA24の皮肉を感じる。決して面白いコメディではなく、“滑稽な”人々を嘲笑する作品…。(そのセンス嫌いぢゃないけど😂)
母親って多かれ少なかれ自分の息子のことを恋人のように思ってる節があるんだろーなー。ただ、それが行き過ぎてしまうと……ネオ毒親wwwってゆーか、過干渉は自分の息子にだけにしておきなさいよ😅
先日の『哀れなるものたち』でも気になった突如としてやってる流行病のような“世の中のために何かしなきゃ”がここでも登場w自己愛強め親子の交わらない状況が一周回ってすべき事は灯台下暗しなんだと気付くから結果良いかと。相手に目を向ける事、話をして理解する事、とっても大切✨✨
自分がこれまでに観たA24作品に共通してると感じる“静寂の糸”みたいな一本線がこの作品でも類に漏れずすーっと全編通して通ってる。いつも思うけど不思議な静寂さだよなー。この糸の存在を感じさせないA24作品はあるのかな??公開後の評判はあんまりよくないみたいだけど、A24だし、いくつになってもキュートなジュリアン・ムーアたん観たさに劇場へ✿
この作品をコメディジャンルに紐づけるA24の皮肉を感じる。決して面白いコメディではなく、“滑稽な”人々を嘲笑する作品…。(そのセンス嫌いぢゃないけど😂)
母親って多かれ少なかれ自分の息子のことを恋人のように思ってる節があるんだろーなー。ただ、それが行き過ぎてしまうと……ネオ毒親wwwってゆーか、過干渉は自分の息子にだけにしておきなさいよ😅
先日の『哀れなるものたち』でも気になった突如としてやってる流行病のような“世の中のために何かしなきゃ”がここでも登場w自己愛強め親子の交わらない状況が一周回ってすべき事は灯台下暗しなんだと気付くから結果良いかと。相手に目を向ける事、話をして理解する事、とっても大切✨✨
自分がこれまでに観たA24作品に共通してると感じる“静寂の糸”みたいな一本線がこの作品でも類に漏れずすーっと全編通して通ってる。いつも思うけど不思議な静寂さだよなー。この糸の存在を感じさせないA24作品はあるのかな??
ジギー
ジュリアン・ムーア演じる少々杓子定規な母親とシャラメ似のイケメン息子の対立を描きながら、お互いの成長物語に
サイコ役の多いジェシー・アイゼンバーグの初監督作品
母親と息子、良かれと思いながらもヤラカシをしてしまう
息子の名前がジギーなのだが、これは若い頃の母親が昔ロック好きということでジギースターダストから名付けたのだろうが、日本で言えば「清志郎」とか「ベンジー」とか名付けるイメージなのだろうか⁉
似た者親子
お互いに才能や才覚はあるのに、親子関係になると何だかギクシャク。二人とも自分の信念や考えがあって、人に合わせている様でも、自分を曲げられない似た者親子ですね。ラストは親子の会話まで描いて欲しかったなあ。
辛辣な評価が多いが
個人的には今っぽくて良い作品だなと思った。
今っぽい単純で分かりやすい表現で
あぁ、残念な人たちだな〜という感じで
見守るような気分になってくる。
お互いに、お互いのことを理解しようとしないまま
外に自分の理想の姿を追い求めているあたりが
あまりにも、ありがちな光景だなぁと思いながら見てしまった。
ただ、そういった過程を過ごしながら
少しお互いに歩み寄れそうな理解を示しそうな雰囲気を感じさせるラストで
この先、どうなるかわからないけど…というところで終わっているところが
映画として、個人的には好感が持てた。
反発する似たもの親子の別世界が交わるまで
DV被害者のシェルターを運営する母エヴリンと、ネットのライブ配信で人気の高校生ジギーは、お互いのことが分かり合えない毎日を過ごしていた。
母はシェルターの青年に理想の息子を思い描き、息子は政治や環境問題に強い関心を持つ同級生の女子高生に母の若き日を見て気に掛ける。
二人のそれぞれの想いは、日に日に強くなっていくが、ある境界線に達した時。
母は子の、子は母の、別の側面に気づいて、ほんの少し寄り添えた気がしたのでした。
相手を尊重するよりも、自己愛が強すぎる。
そっくりな故に、反発しあう二人の感情、行動がわかりすぎて実にイタイ。
如何にもありそうな「映画的な」展開がいくらでも思いつくが、あえてそうしないところがいい。
身近にありそうな、小さな出来事、しかし、当事者にとっては大事なことを扱っている地味でリアルだが小さな感動がある点を支持したい。
全37件中、1~20件目を表示