「【人種の坩堝、ニューヨークで暮らす不法移民のペルーやクロアチアの人々の自分達の居場所を必死に探しつつ生きる姿を描いた作品。】」ニューヨーク・オールド・アパートメント NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【人種の坩堝、ニューヨークで暮らす不法移民のペルーやクロアチアの人々の自分達の居場所を必死に探しつつ生きる姿を描いた作品。】
■ペルーから不法に国境を越え、ニューヨークに辿り着いた双子のポールとティト。二人は語学学校で知り合ったクロアチアから来た超絶白人美女のクリスティンと出会い、恋をするが写真を貰っただけで、友達止まり。
二人を育てるシングルマザーのラファエルは愚かしき白人の恋人と、デリバリーの食品店を開く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・クリスティンは実は恋人が、刑務所の中にいる。コールガールとして生計を立てているが、その恋人の出所日にこっそり見に行くと、恋人には妻子がいて・・。
ー 列車の中で彼女がネイルをこそげ落とすシーンの彼女の鬼気迫る表情と、ポールとティトを呼び出し”あたしのことを聞かれたら、良い人だったよと言ってね。”と言って場末のモーテルで二人を次々に優しく抱いてから、恋人を・・。
ウワワ。けれども、気持ちは分からないでもない。必死に支えて来たんだし、刑務所の中の、彼との電話が彼女の生き甲斐でもあったのだろう。彼女の人間としての矜持であろう。-
・自分達を”透明人間”と卑下しながらも、毎日を必死に送るポールとティトは、街中の人だかりの中で、クリスティンの写真を見て彼女に言われた通りの言葉を発するが、警官に事情聴取を受け、更に移民局の職員から国外追放を言い渡される。
ー 部屋の中に掲げてある、愚かしきトランプの写真が、絶妙に効いている。-
・シングルマザーのラファエルは、デリバリーの食品店が配達人のポールとティトが居ないせいもあり、あっと言う間に行き詰まる。
そして、息子達と交流があったクリスティンが起こした出来事を知り、友人から許可証を借り、彼女に会いに刑務所へ行く。
- そこで、やつれた彼女が言った言葉。”あの子たち、充分に愛されてるじゃない・・。”可なり沁みる。
<ラストシーンは、ペルーに強制送還されたポールとティトが立ちはだかる山に向かい、再びアメリカを目指す姿で終わる。
微かな希望と、勇気を感じさせる良いラストシーンだったなあ。>
<2024年1月28日 刈谷日劇にて鑑賞>