罪と悪のレビュー・感想・評価
全66件中、1~20件目を表示
謎めく川と時を超えた運命に抗えない人々
この「罪と悪」が長編監督デビュー作となる齊藤勇起は、長年著名監督らのもとで助監督としてキャリアを積み、本作の主要キャストを含む多数の俳優らとも信頼関係を築いてきたという。自身のオリジナル脚本でのデビューにこだわったとのことだが、米作家デニス・ルヘイン(「ゴーン・ベイビー・ゴーン」「シャッター・アイランド」の原作でも知られる)の小説をクリント・イーストウッド監督が映画化した傑作「ミスティック・リバー」(2004)に着想を得たのではと考える人も多いだろう。遊び友達の少年3人は“性暴力に関連する事件”ののち疎遠になるが、その数十年後に起きた殺人事件を契機に再会。3人のうち1人は刑事になっていて、地元で商売をしている別の1人は不良連中を束ねる新興勢力のリーダーでもある。そして、複数の死と密接な関わりがあり、抗えない運命を象徴するかのような“川”の存在。このように物語の大枠と主要人物の配置には類似点が多く、もちろん舞台を日本の地方都市に置き換えてのひねりが加わっているものの、独創性の点でやや物足りないし、謎解きの要素も本家に比べてすっきりしない。
名だたる実力派キャストらの演技は見応え十分な一方、比較的若手の俳優たち、たとえば高良健吾が演じる春が面倒をみている若者たちの会話場面などでは棒読みに感じられるやり取りもあって、没入感が損なわれる気がした。
ロケは齊藤監督の出身地・福井県で行われ、印象的な川は南越前町今庄にある鹿蒜(かひる)川だろうか。「ミスティック・リバー」を観た衝撃がモチベーションになり、出身地を舞台にした映画でデビューすることになったのだとしたら、齊藤監督もまた“川がもたらす運命”に身をゆだねた一人かもしれない。監督の日本的なリアリティーを生む演出は好みなので、次は相性の良い脚本家と組んだ映画をぜひ観てみたい。
チクチク刺さりました
罪は罪
考えれば考えるほどモヤモヤ‥
いきなりアウトレイジになる椎名桔平
福井の片町って大したことない繁華街だと思っていたけど、映画を見る限りではかなりヤバい奴がいるんですね・・・と、地元じゃないけど、隣県なので愛着が湧いた。金沢と違って道路が広いというのが羨ましい。
朔スコップがとどめをさしたところで、ほぼストーリーが決定的となってしまったけど、『ミスティックリバー』風味にするのなら、双子の直哉をもっと全面的に描いてほしいところでした。朔や晃の罪の意識というのは春とはエラい違いがあった。そして春の部下で店を任されている健太郎の台詞が真逆で面白い。「罪ってのは自分が悪いと思わなかったら罪じゃねえんだ」。
みんなの罪を被ったという男気ある春の決断はその後の人生を決定づけた。いるいる・・・同級生にもこういうタイプの男が。ヤクザじゃないけど建設業やってるところもそっくり。男同士でハグするのもノワール作品にはありがち。
中学生時代の物語からどんどん引き込まれる内容ではあったけど、伏線となるような重要人物のエピソードがそれぞれ尻切れとんぼになってる感じが残念でならない。椎名桔平、佐藤浩市もそうだし、中学の担任教師もそう。小林少年だって意味不明で財布の件も曖昧だったし。トラックで柵を撥ねたのも復讐の意味があったのか不明だし、横断歩道の警備員にしても朔だけを渡らせたことが計画的だったのかどうか・・・ま、想像するしかないか。
面白さと矛盾と
2024年の作品
脚本がオリジナルとなっている。
さて、
この作品の中にある「問題」
そのいくつか、または全部が解決されないと解する事もできる。
最後の夏祭りのシーン
3人はこの場所で会う約束をしたのだろう。
しかしその直前に、直哉の自殺を、春と晃は考え抜いて答えを出した。
直哉の引きこもりは、高校卒業後に始まったようだが、その理由を一番理解すべきはずの朔
この伏線は良かった。
最も謎めきつつ自然で、朔の策略を感じる。
二人の父は、なんとなくでも直哉の引きこもってしまった理由を知っていたのだろう。
だから、当時の同級生たちに対して非常に用心深くなっている。
ここにも伏線が貼られていた。
そして何よりも、事件の渦中にいたものだからこそわかることがあるのだろう。
それを警察の捜査と対照的に描いているのもなかなか良くできていた。
引きこもりになった直哉だが、実際には朔に監禁状態にさせられていたと考えることができる。
窓から晃に手を振るが、朔と目があった途端、窓から離れた。
警察官となった晃の違和感
そして、
「何故、小林少年が正樹と同じ格好で死んでいたのか?」
この出来事は当時の事件を蘇らせ、晃の心を激しく揺さぶった。
罪悪感
直哉が20年間感じ続けていたそれは、全く別の事件を引き起こした。
さて、
プロットとして、ここが非常に悩ましく感じられる。
引きこもりの直哉が、春と白山会人の揉め事を知っても、小林にたどり着くことも、発見して殺害することも難しい。
直哉が朔によって幽閉状態にあったなら、直哉は朔を殺して同じように川に遺棄するほうが容易い。
朔に対し、そんな事はできないと考える場合、そもそも赤の他人である小林少年を殺害することなど不可能だ。
そして正樹の財布
これは明らかに「メッセージ」だ。
しかし、それがメッセージだとわかるためには、春と晃はもう一つ山を超える必要があった。
作中描かれないそれこそ、この物語の隠し扉。
そして、問題の一つの白山会との揉め事は、まるで消えたかのように本筋から離れてしまう。
これは「良し」だ。
春にとっての最大の問題は、佐藤や警察、白山会よりも「正樹の事件」だった。
当時心の底から信じていた仲間
しかし、誰にも言えなかった「出来事」によって、正樹と朔は激しく対立した。
そしてそこにあるもう一つの悩ましさ
それは、あの「おんさん」と言う人物の正体だった。
少年たちの会話は聞き取りにくく、焦点を絞られているにも関わらず「おんさん」については非常に曖昧だ。
あの小屋はおんさんの家であるが、正樹の自宅だと思ってしまう。
この点は明確にすべき場所で、脚本と映像に注文を入れたくなる。
さて、、
おんさんの小屋で発見した正樹のスパイク
これは間違いなく「朔」がした偽証。
朔の一撃は正樹のための一撃ではなく、復習のための一撃。
そしてこの場所に直哉はいなかった。
直哉は、誤って死んでしまった正樹の遺体を川に捨てた手伝いをさせられ、アバンタイトルのサッカーの試合でも正樹の姿はよくわからない。
背番号10の春と、3の晃 この二人の印象しかない。
「俺達は正義だったのか?」
この春の問いかけは、春自身の人生を棒に振ってまで助けようと思った仲間の、純粋な思いと対等だったのかと言う疑問を生じさせた。
その結果が、あの夏祭りのあと 仕組んだ交通事故として落とし前をつけられた。
この落とし前のことまでは、晃は感知できなかった。
ここが春との違い。
そして、正樹の事件と財布の謎が解き明かされた。
当時晃は、正樹の忘れ物の財布を直哉に頼んだ。
直哉は正樹にそれを届けに行く途中、朔の前で横たわる正樹を見た。
その財布は20年経ってようやく「メッセージ」となった。
なかなか良くできた物語だったが、やはり、直哉が小林少年を殺すという設定には無理があったように思う。
それをセリフという言葉でやり過ごしたが、現実味がなかった。
そこだけが惜しかった。
ちょっと残念
台詞が浮いてるって言うのか、
やろうとしてる事に脚本が付いていけてないのか、
重く切ない物語なのに薄っぺらく感じてしまった。
子どもパートは演技がちょっと残念に感じて
大人パートを期待しながら観てたら、何も解決しないまま
エンディングを迎えてしまった。
ミスティックリバー、スリーパーズ、
俺たち遠くまで来てしまった感はチングなんかも
想起させるけど、それらに比べると見劣りしてしまう。
半グレ?の高良健吾さんなんか周りの演技がちょっと
付いていけてない気がして浮いてたし、
暴力シーンも韓国映画なんかに比べてショボく
犯人は誰かの件も特にフリがなく
お前らの想像でしかないと言われればその通りであった。
なんと言うか、全体の感想としては、
やりたい事があって、脚本があって、やりたい事に向かってやってるのに、それが伝わらない感じは
映画って本当に難しいんだな。と思いました。
イーストウッド監督作「ミスティック・リバー」が下地になっていると思う。
名作「ミスティック・リバー」2003年との類似点が多い。
11歳の時に異常者に悪戯されたデイブ(ティム・ロビンス)は、
未だに過去を引きずって塞ぎがちな男。
親友の3人(ジミー&ショーン&デイブ)が25年振りに再会する。
ジミー(ショーン・ペン)は元ヤクザ者の雑貨屋。
ショーン(ケビン・ベーコン)は刑事になっている。
ストーリーは少し変更されているが、3人が再会したことで、
事件が起こり、町は不穏な空気に包まれ、
3人は疑心暗鬼になって行く。
そして取り返しのつかない悲劇がまた起こる。
少年犯罪の被害者は過去を忘れることは決してなくて、
不幸な人生を送ってしまう。
日本版の「罪と罰」もまた、過去を引きずる男たち。
13歳の時、友達を悪戯した浮浪者を殺して焼いてしまった
春(高良健吾)
晃(大東駿輔)
朔(石田卓也)
春が一人で罪を被り今は更生して建設業で町の顔役になっている。
22年後に刑事になった晃が帰ってくる。
そんな時、また22年前と同じような少年殺害事件が起こる。
そして春は疑われた、晃は真相を突き止める側になっている。
この映画は、真相が「多分こうだろう?」と分かるのは、
ラストもラストの最後のシーン。
それだって、「そんなのはみんな、お前らの偶然と想像の話だ!!」
との一人の仲間の言葉で終わる。
真相は藪の中。
少年期の体験がその後の人生に与える影響。
その点でも興味深い映画である。
話あっちこっち行って、最後胸糞で、はあ?
高良健吾のビジュアルと演技を楽しむ映画ですね。それは以外は価値もない。
まず、子役の部分を見せすぎよ。あそこまで全部見せ切ったら、中弛みするんよね。あくまで本編にちょこっと付けるだけでいいのに。二つのストーリーを見せられた感じで、ダルダル。
しかも、子役と大人役のビジュアルがあんまり似ていないんよね。だから誰が誰になったのかがよくわからん。まあ、高良健吾の若かりし子を探してくるのは難しいだろうけど、もうちょっと似たやつ探す努力くらいしようぜ。
ほんで、話があっちこっち行きすぎ。暴力団の抗争の話かと思えば、刑事の汚職の話になったり、友情の話になったと思ったら、男児レイプの話とか胸糞展開。いっぱい詰めたら面白くなるんじゃないって発想?だとしたら、当てが外れている。もう、わけわかめ。
刑事の太っちょがいる意味は?あんな不摂生の刑事っているの?犯人捕まえられないじゃん。
最後、高良健吾が死ぬんかと思ったら、別人だし。なんかめちゃくちゃ。ってか、小さい村で人が死にすぎ。ってか、あんな村に暴力団なんかおらんて。全然稼げんやろがw
とにかく駄作オブ駄作。高良健吾のビジュと演技を楽しむだけの映画。監督と脚本は一から学び直してから仕事を再開してください。演者さんに失礼。
高良健吾好き、かなり好き!
小さな町でサッカーに夢中になっていた幼なじみ5人、正樹、春、晃、双...
小さな町でサッカーに夢中になっていた幼なじみ5人、正樹、春、晃、双子の朔と直哉の物語から始まる。
ごく普通の少年たち。殺人に関わるような子どもではなかったはずなのに…。
そんな彼らの青春は、中学生時代に起きた悲劇によって大きく狂い始める。正樹が何者かに殺され、その遺体が橋の下で発見されたのだ。
「あんなことがなければ…」
ここにこの作品の重要な始点がある。
それから22年後。
町で新たな殺人事件が発生し、再び幼なじみ4人の運命が交錯する。刑事となった者、建設会社を経営する者、農業を継ぐ者、そして引きこもりになった者。彼らは事件を追う中で、少年時代から背負ってきた“罪”と“悪”の真相に直面していく。
特に高良健吾演じる春は、建設会社経営者でありながら本物のヤクザと渡り合う存在感。重厚な人間模様と予想を裏切るエンディングが見事に絡み合い、見応えのあるサスペンスドラマとなっていた。
全66件中、1~20件目を表示