「立派過ぎる題名」罪と悪 himabu117さんの映画レビュー(感想・評価)
立派過ぎる題名
映画『罪と悪』題名に映画の内容が負けているな、人間の原罪にでも迫るのかなんて期待したのですが、出てくるのは悪ぶっても善人ばかり。ラストの処理もいただけない。限られた時間と予算の中で、とりあえず作品にしてみました的なもどかしさしか残らない。
みんな善人に見えるんですが。
そう、根本的にみんな善人なんですよね。
なんで、こんないかめつい題名になるのか。
子供のころの仲良し仲間とふとした間違いから犯した殺人、それを精算せぬまま大人になった主人公。
やがて大人になり、それぞれの生き方を。
だけど過去の過ちを精算しようと。
そこから、いろんな風景が見えてくる。
そんな流れでしょうか。
題材としては面白いし、興味も湧く。
ただ、映画の出来となると。
消化不良でしょうね。
なんか、ラストもよくわからないし。
なぞなぞで終わってしまうような部分とか。
決められた制作費、決められた時間
この枠内で作られた作品だなと。
そこそこの俳優陣がでて入るんですが。
皆さん忙しいのでしょうね。
納得ゆくまでの映像、演出を追求したのかなと。
今の、日本映画の悲しさが詰まってます。
本物思考というか、こだわりというか、どこに行ったのでしょうか。
反社の人が着てる服が、中国大手通販sheinの服で、私も持ってるなんて服が、ちらほら。
ラストの人のマドラスチェックの半袖は、ユニクロですよね。
私も持ってます。
反社の人たちって、高い服きますよね。
Tシャツ一枚1万円とか。
田舎の反社だから、安物でもいいのかな。
なんて、思ってしまいます。
些細なところでも、こだわりが欲しかった。
罪の源流となった事件もありきたり。
主人公の少年達が、小児性愛者にレイプされたことが始まり。
これも、今どきのはやりなんじゃないですか。
一昔前までは、まさかなんて言っていたのに。
今じゃテレビのワイドショーでも取り上げる、はやりの話題。
そんなこと言ったら失礼でしょうか。
小児性愛者の存在自体が、まるで悪のような描き方。
ほんの百数十年前までは、少年愛なんて当たり前だったのに。
戦前までは、その名残もあったはず。
このあたりに、事件のきっかけを持ってくるあたりも安直。
『罪と悪』なんて、人間の存在自体を問われるような題名をつけたんだから。
もっと、深くこだわった作品を作ってください。
そう思ったのは、私だけでしょうか。