劇場公開日 2024年2月2日

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「握り拳のまま相手を抱擁する主人公」罪と悪 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5握り拳のまま相手を抱擁する主人公

2024年2月5日
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鑑賞方法:映画館

高良健吾演じる春は、握り拳のまま相手を抱擁する。手のひらを開いて相手を包み込むのではない。力を込めて自分の方へ引き寄せるのだ。そこに、春の生き方の覚悟が感じられる。

しがらみを断ち切って一度は離れた地元に戻ってきた晃や、しがらみを感じながらも身を隠すかのようにひっそりと暮らす朔に対して、春は、その地元のしがらみの中で登り詰め、生き抜いてきた。
彼自身が本当はどんなことを考えているのか、我々にははっきり示されない。ただ、警察やヤクザとも対等に渡り合いながら、後輩たちや自分の家族や友人たちを守る様子は伝わってくる。かつての彼の境遇にありながら、そうした行動をとる彼の生き様を目の当たりにする内に、我々観客は、何が正義で何が悪なのかを、問い返させられることになる。

途中、椎名桔平演じる佐藤が、「過去を暴いてどんな意味がある。誰のためになるって言うんだ」というようなことを部下の晃(大東駿介)に問うシーンがある。正確な言葉は失念したが、晃はそれに対して「これからの人たちのためだ」と答える。
自分はこの場面が、昨今の「過去に起こった問題を告発する者に対する、加害者側を擁護するかの如きネット民の論調」への答えのように受け取れて、心に響いた。

春の選択など、観る者によって賛否は様々だと思う。自分も、2度目を観ると全く違う感想を抱くかもしれない。けれど、それはこの映画がそれだけの奥行きと広がりを持っているということに他ならない。

「雑魚どもよ、大志を抱け!」に出ていたメンバー
坂元愛登や田代輝など、少年たちの演技も素晴らしかったことも付け加えておく。

sow_miya
トミーさんのコメント
2024年2月23日

共感ありがとうございます。
春は生き延びる為、ひいては子たちを守る為にモノホンになる決意をしたのだと思いました。晃は先輩には強く言ってたのに、終盤完全失速イメージでした。

トミー