劇場公開日 2024年1月12日

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「とてもリアルでとても苦しい」ビヨンド・ユートピア 脱北 ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5とてもリアルでとても苦しい

2024年1月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

観たのはもう一月近く前なのに、なんと言っていいか整理が付かず感想を投稿できていなかった本作…
まずどんな映画かを書くと、北朝鮮から脱北しようとする二つの家族を追うドキュメンタリー。一つはなんとかなり、一つは失敗する。上手くいく方も行程としては、中国国境→青島→ベトナム→ラオス→タイでやっと脱北が成功する。北から南へゆくだけなのに、インドシナのジャングルを抜けなくてはならない。それを支援する韓国の牧師がいるのだけど、彼の息子は一連の脱北支援活動の中で亡くなり、牧師自身も過去の活動の結果タイには入国できない…
そして驚くべきことに映像は再現映像などなくすべてが事実。中国国境のブローカー (脱北者を金で中国政府か牧師かあるいはその他のいずれかに売るだけ) の携帯だったり途中から合流する家族が撮る映像だったり…
つまり、こうやって公開されているのが不思議なくらいに無理に無理を重ねた奇跡のようなドキュメンタリーなんです…しかもコロナ禍以降、同様の脱北はもう厳しいという…
そうやって真実をひとつひとつ伝えてくれるが、それはまた、彼らが脱北しても簡単には北の教育から自由にはなれないことをも教えてくれる。
とてもリアルでとても苦しい…そんな現実を見せてくれる映画…

ぱんちょ