あんのことのレビュー・感想・評価
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行政の救済措置が、点でしかなく、しかもザルであること。
1人の刑事との糸が切れたら、途端に孤独になってしまうという事実。
このような子供の生きる道は、こんな親を本気で捨てること。この子にとって、コロナでも刑事でも薬でもなく、母親がゴミなのだ。
ここまでくると、個人やNPOなどボランティアでどうにかなることではないのだから。その為の措置を、国は徹底的に構築することを考えて欲しい。母親から離すだけでなく、母親の救済も含めて考えて欲しい。
情報メディアと呼ばれる人たちが取り上げる記事への問題提起は良いと思う。事件をゴシップとして扱うのではなく、そこに人がいて、その事案を人として扱える人たちに向けて取り上げて欲しい。
俳優陣は素晴らしかったと思います。
クソな生活からの悲痛な叫び
本作で主演を務めた河合優実が、昨日の日本アカデミー賞で、見事、最優秀女優賞受賞した話題作。最初から最後まで重く、嫌悪感に包まれたシーンが続く、社会派ドラマ。鑑賞後、やり切れない悲しさと、何もできない無力感だけが、ズタズタに心を抉っていった。登場人物の誰一人も救われない中、唯一の光は、あんが一時でも一緒に暮らした、幼い子供だったのではないだろうか。
幼少期から貧困と虐待の中で育ち、売春と薬物にも手を染めた一人の少女。そんな生活からの悲痛な叫びに対して、結局、誰も手を差し伸べられず、あまりにも儚く、虚しい人生を終えた香川杏(あん)という少女の壮絶な人生を元にした作品。2020年に彼女の自殺記事を目にしたプロデューサーが、この記事に衝撃を受け、この事実を広く知らしめるために、映画化した作品でもある。
自分の仕事柄、こうした家庭に育つ子供を児童相談所に保護してもらったり、実際に、ここに登場する様なゴミ屋敷と化し、据えた匂いが染みついた家庭に訪問し、子供を連れて学校に通わせたりしたこともある。決して、どこか遠い家庭の話ではなく、直ぐ隣近所でも、子供が犠牲になるこうした事案は起きている。そんな家庭環境には、「親の教育力のなさ」「将来への困り感のなさ」「子供への愛情欠如」といった、同じキーワードが存在すると感じた。
母子家庭の中、足の悪い祖母を庇いながらも、実母からは虐待を受け、小学校にも通わせてもらえず、12歳から売春、薬物をも強要され、社会の底辺を生きてきた、香川杏。そんな杏を更生させようと、一人の型破りな刑事・多田羅が力になったことで,杏は少しずつ心を開き、母親からの離別を決意する。そして、介護施設で働くながら、夜間中学校で勉強も始める。
しかしそんな折、コロナ感染が広まり、仕事を失い、生きがいを失くす。また、親切にしてくれていた多田羅が、更生者の女性に対して性加害者と報じられ、再び孤独と不安に押しつぶされそうになる。そんな中、隣人のシングルマザーが、杏に子供を押し付けて疾走してしまう。杏は、不器用ながらもその子に愛情を注ぎ、一緒に生活を始めた矢先、あんの母親が居所を突き止め、その子を連れて母のアパートに戻ることになる。そして…。
河合優実は、役を演じているというより、その記事となった少女そのもののドキュメントにも見えたし、目線の合わない空虚な目の中に、彼女がこの役に乗り移った魂の様なものを感じた。今回の最優秀女優賞ノミネートの中でも、一番若いにもかかわらず、栄冠に輝いたのは、大いに納得できる内容だった。
神の沈黙
主人公の杏は、何度となく信じた人に裏切られ、絶望に突き落とされる。
神が沈黙しているかのようだ。
彼女はあまり直接的に感情を表に出さないし、
強い映像や音楽の演出もないのに関わらず、
ちょっとした幸せ、前向きな気持ち、絶望感などの内面が
画面を観ているこちらにひしひしと伝わってくるのがほんとうに凄い。
さらに杏の抑制された佇まいや眼差しは、
瞬間的に周りの人間の罪をすべて背負う殉教者の姿にも見え、
かつ、善と悪の同居や正義とは何か、というテーマをも含んでいるストーリーが
単なる悲劇的な物語であることを大きく超えて、高い地点に到達する表現となって、
より深い、長い、強烈な余韻を残すことに繋がっていると感じた。
杏の子供のころの母との幸せだったかもしれない関係を暗示するような、
微かな救いを提示するラストもすばらしい。
哀しみよりも怒りが先に。。
この怒り どこにぶつければいいのか
話題作ということと、旬な河合優実主演ということで鑑賞。
なんの下調べも無しで鑑賞しただけに、本作の重さに言葉を失う。なんと辛い作品なのだろうか。とても令和とは思えない荒みすぎた家庭環境だし、すでに忘れつつあるが当時は前代未聞のコロナ禍の脅威もあらためて心に影を落とす。この理不尽さ、腹がたってしかたがない。
そんな中で様々な心に刺さる言葉が行き交う。特に多々羅の講演「だから、だから、まずは今日。それから明日。~一日一日の積み重ねだ。ちっちゃな1日が1週間になる、1ヶ月になる。1年になる。いいか、積み重ねだ」は、ありがちではあるが佐藤二朗の演技力もあってかかなり響いた。佐藤二朗つながりでいえば「彼女は薬をやめられていたんです」も印象的。
実話に基づいたストーリーはとても練られていて、心の深いところへ訴えかけてくる作品ではあるのだが、どことなく映画という観点からは映像・音楽等々物足りなさを感じた。
実は個人的には河合優美の演技は本作が初めて。評判通りの好演技ではあったが、実際には高学歴といわれている河合優美が演じるのは少々無理がある配役だったかも。
どことなく「神の子はつぶやく」のような
母親に強要されて売りやらシャブやらのヒロインが河合優実なので母親がカルト宗教に入信したのをきっかけに「宗教二世」になったヒロインを演じた「神の子はつぶやく」に似通ってしまう。「神の子はつぶやく」は家族の再生が始まるところで終わるが「あんのこと」は救われないまま終わる。それでもシャブをやめたり押し付けられた子どもを育児し得たりした事を暗示したシーンがあるので辛うじて救いは残っている。ただしコロナ禍の時期のシーンで演者がマスクをすると口元が分からなくなるからかマスクをしないシーンが多いのは気になった。最初の頃のシーンで河合優実はカツラを被っているので「ふてほど」の純子みたい。何も「神の子はつぶやく」や「ふてほど」、「ナミビアの砂漠」のような余人には出来ないような破壊力があって印象に残る演技だけでなく「かぞかぞ」のような下手すると「24時間テレビ」あたりで放送するドラマの筋書きに成りかねないのが正反対なくらいに幸せな家族の中心に上手くハマったヒロインを演じ切れるのが河合優実という演者の持つ魅力だ。母親役の河井青葉がヒロインを蹴り付ける演技も見ものだ。河井青葉は同じNHKで放送した「神の子はつぶやく」のような「宗教二世」ものと違って「仮想儀礼」で男2人が生活費稼ぎに立ち上げたインチキ宗教に入信した信者役の1人だった。
かわいそうだよー
ハッピーエンドは望むべくもないだろうと思ってたはいたけど、杏ちゃんあんなにがんばってたんだよー。直前にナミビアの砂漠を見たので、あの死んだ目の人生に何の目的もない女から、境遇は恵まれないけど幸せに、どころか真っ当になるためにがんばる少女を演じられる、この河合優実という女優末恐ろしい、と思って勝手に同じ監督だと思ったら違いましたね。確かにチラチラと描写が雑でした。一番気になったのはね、記事が出てから稲垣吾郎くんがめっきり杏ちゃんのところに顔出さなくなったこと。あんなに頻繁に会って仲良くしてたのに、記事になって用がなくなったらあっさり切り捨てる、こういう人たちに裏切られ続けて杏はこういう人生に落ち込んだんだなと、そう思わせる演出なのかと思ったら、最後また突然出てきて泣き崩れて多々良に会いに行ったりしてたよね。これってあれ?未だに元スマップたる稲垣くんに冷酷な役はやらせられないという芸能界の闇なわけ?このせいでこの映画の質が一気に落ちた感じしましたよ。そしてナミビアの砂漠の監督だと勝手に思ってたから、あーこの頃はまだ下手だったんだねーなんて思ったけど、この監督が下手なだけ、もしくは元ジャニーズに遠慮してただけなんですね。
杏の想いが心に痛い
「救いはないのだが、受け止めなければならない」というのは、評論子が入っている映画サークルの先輩会員の本作に対する評でしたけれども。
評論子的には「救いがない」というよりは、おそらくは、「心の支え」としてきた3本の柱…やっと手にした介護士としての仕事と夜間中学の授業、そして信頼していた多々羅が、コロナ禍や彼の「別の姿」を知ることで、ついにポッキリと心が折れてしまったというのが、本当のところだったのではないかと、評論子は思いました。
本作を観終わって。
杏が選び取った「あの結末」は、決して肯定できるものではないのですけれども。
その決断に至るまでの彼女の心痛を思うと、本当に胸が張り裂けるような想いも、抑えることができません。
十二分な佳作だったとも思います。
(追記)
杏を、ただその鬱憤のはけ口としか見ていないような、彼女の母親・春海を「毒親」と、切って捨てることは、ある意味、簡単なことでしょう。
一方で、春海にしてみても、夜の世界の商売(スナックの経営)で、おそらくは苦労の連続で杏を育てて来た、ということでは、その憤懣(ふんまん)・鬱憤(うっぷん)は、まさか店の客に向ける訳にもいかないので、必然的に娘である杏に向かってきたのだろうと、評論子は思います。
春海のそういう態度を指して「毒親」というかどうかは、さておくとしても。
問題は、その「向かい方」ということで、春海の「幼児性」ということが、一番て、しかも最悪な問題点だったのではないでしょうか。
わが子である杏を「ママ」と呼び、その要求(娘が母親に求めるような甘え)が満たされないと、その返報として、容赦のない熾烈な暴力―。
あたかも、自分の要求が満たされないと駄々をこねて暴れる幼児(駄々っ子)を見ているかのよう。
春海のその幼児性と杏の「最後の決断」との間に、法的な意味での因果関係を認めることは、おそらく難しいでしょう。
しかし、それでも、晴海は杏の「最後の選択」を自らが犯した「罪」(自らが杏に選択させた結末)として、その十字架を、終生、背負って生きるべきだと考えたことも、おそらく評論子だけではなかったこととも思います。
(追記)
参考にさせていただいた映画.comレビュアーの皆さんの間でも、主演の河合優実の演技を評価する声が多くありました。
もちろん、評論子的にも、その賛辞には少しも異論はないのですけれども。
しかし他面で、評論子は、佐藤二朗の演技(と彼に独特の風貌・キャラクター)も、本作には欠かせない「味付け」になっていたとも思います。
別作品『さがす』『変な家』などと並び、いわば「ジキル博士とハイド氏」を演じた彼を、これからも観続けていく楽しみが増えた一本にも、評論子にはなりました。
和製ダンサー・イン・ザ・ダーク
なんとも表現しがたい感情
救いは無いし、理不尽極まりないし、胸糞悪い部分もあるが、社会との繋がりが途絶えるとなんとも人間とはもろく、逆になんとも無垢なものかというのを思い知らされた。
そして、経験したあの世界が変わりゆく瞬間、主人公と同じ様にポロポロとこぼれ落ちて行く人たちを、たぶん私たちは知っている。彼らを忘れてはならない。
誰も救われない胸糞悪くなる作品
自宅レイトショー『あんのこと』Amazon Prime Video
映画好きの皆さんの昨年のベストムービーに必ずランクインしてる作品
ある新聞の片隅に掲載された事件が元ネタらしいだけに地味にリアル
ここ数年超注目女優の河合優美主演の話題作
私的に配信待ちでいいかなって事で、アマプラ鑑賞
内容的にはR18ながら露骨な性描写をあえて無しにした感じのPG12
その部分が、誰も救われない虚しい悲哀と妄想を増長させる
なので下世話ですが、観てお得は無し。。。
ひたすらに救いがない
殺虫剤を撒く前に。
近頃の浮ついた自分への覚醒剤
貧困女性というジャンル映画
話題性、過激性、マーケティングに問題あり
河合優実主演で話題作になるかと思えば都内なのに上映劇場は少なく配信もすぐ終わった。
これでは観ないでくださいとでも言っているよう。
やっとPrimeビデオで観れたので見た。
PG12なのに性的なシーンなど皆無
ただラリってる風なシーンのみ
暴力シーンも軽微なものしかなくPG12にする必要あった?
せっかく河合優実が主演を承諾したなら
「闇の子供たち」くらいの事したら良かったのに。
新聞記事が元だと言う事だから活字からの実写化だからかリアル性にも欠けるような淡々さ。
杏は薬物中毒者であるがSEXワーカーを強いられている虐待児なのに
体を売るのが日常であった事が1ミリも描かれておらず
現実を知らない脳天気日本人にキレイなところだけ見せて終わりにして可哀想を誘う映画。
馬鹿なの?
この手の事実はいつだってあるし、他にもニュースになった実話は沢山あるよね。
最初から最後まで救いがないようにたんたんと流れていくが、
心臓がびっくりしないように活字だけから作った淡白なお話。
同じSEXワーカーを描いた「エゴイスト」はフィクションであれもリアル性にはかけたがまだマシだった。
この手の映画は人に観てもらわなければなんの啓発にもならない。
もっとまともな作品作りをすれば河合優実の代表作にもなったかもしれないのに。
残念だ。こんな映画で心が痛くなったとかほざくお花畑日本人がいたら失笑する
つらい…
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