あんのことのレビュー・感想・評価
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社会が殺めた命
コロナ禍の重すぎる代償
2020年。あんは生きていた
あの頃までは生きていた。
突きつけられる現実はあまりにも痛ましく
そして生々しくてグロテスクだった
私達が生きたコロナ禍
もう遠い過去のようにすら思えるコロナ禍
感染症対策の為に様々なサービスが取り止められ
人と人との交流が寸断され
どれだけの人が苦しんで傷ついて追い込まれて命を絶っていったのか
そんな事を思うと
言葉に起こす事すら苦しい位に辛い
あんは確かに生きていた
自分の人生を生きようとしていた
決して褒められるほどではないが
不器用ながらも熱意ある大人に支えれれて更生し
高齢者に優しく接し
幼児を育て、見守り
少しずつ、でも確実に人間性を取り戻していた
そんな矢先の悲劇
誰にも止められなかった悲劇
これが現実かと思うと落胆する
でもこの事実を風化させたくはない
僕らが生きたコロナ禍を亡き者にしてはいけない
懸命に生きようとした命が、決して無駄ではなかったと思いたい
その為にもこの作品をもっともっと多くの人に見てもらい
あの頃に思いを馳せてほしい
そして、今も苦しむ多くの人に目を向けるきっかけにしてほしい
そう思った
ラーメン屋のカウンターに座っていた時の笑顔が懐かしい
実話ということ
この事実から目を背けるな!
目を背けたくなるような辛い出来事の連続。
小学生の頃から毒親にコントロールされ体を売らされクスリでボロボロになっていく杏は、確かに現実にいたし、今も同じような少女があちこちにいるのかもしれない。
型破りな善人か悪人か分からない警察官も今も全国にいるのだろう。
見たくないものを見ないのではなく、無理して見るのでもなく、杏のことを見つめてしまう。
目が離せなくなり、やがて応援し、目が釘付けになるのは河合優実や佐藤二朗の魅力や演技の力も大きい。
薬物を絶つ努力を積み重ね、光の兆しが見えてきたところからの全ての崩壊。
コロナ禍の始まりが大きく影響をしているとはいえ、こうなったのはそれだけじゃない。
杏のこともその母親のことも国も行政も周りの人も誰も助けてあげられなかった。
この映画はそんな罪悪感を観るものに、突きつけ、試してくる。
母子家庭の無責任な母親に他人の子を託された時の杏の懸命なお世話ぶりが胸を打つ。
子供が食べられない食べものを書いたノートの燃え残りの紙片が涙を誘う。
杏が普通に恋をして好きな人の子どもを産んでオムツを替え、公園で子どもと遊ぶ、そんなささやかな幸せのある未来が来なかったことが悲しい。
いつまでも余韻に浸ってしまう。唐突に居なくなることで、杏は永久に観るものに罪悪感ややるせなさを感じさせたのだ。
そのチクチクした感情を鑑賞後にどう消化する?
重苦しく辛い映画だったという感想とするのか、自分のいる世界の目を背けていた現実の部分として、きちんと受け止めて背筋を伸ばして生きていこうという感想になるのか。
この映画は観るもののリトマス試験紙となる。自分の心根が試されるのだ。
“めちゃくちゃいい人”に巡り会えるだけでは彼女の世界は変わらない
コロナ初期のあの頃を、「そんな時期もあったね」と思えるのは特権。当時そしてもちろん今もギリギリのところで生きている人はたくさんいて、そんな人たちをその淵から突き落とすには、あの時期はあまりに十分なこと。
虐待やネグレクトをしてしまう親に、自身も幼少期に同じことを受けて育ったというのは少なくないケースだけれど、彼女がお年寄りや子どもなど自分より弱い人と接する姿には、母親から植え付けられた負を断ち切れるだけの強さがあるように見えたのがつらかった。
映画や小説などの創作物を数多く見ていると、この人に出会ってくれてよかったと思うような「まじでめちゃくちゃいい人」って結構いて、本作でいえばあの2軒目の介護施設の社長がそうだけど、ああいう人って一人じゃだめなんたな。足りないんだなあ
救えなかったのか
こう言う映画を見ると、自分も 一歩間違ったら、同じように なってい...
絶望から立ち直るには灯台のような人間が必要
クソ親の元、希望も何もないどころか我が娘に売りで稼がせて親らしい事など何もしてもらってない10代が落ちるのは容易い。
やっと出会った刑事と言う微かな灯火、まさしく灯台に出会えて真っ当な生活が始まったが灯台を失い再度絶望感を味わう。
人は一人では行きて行けない、だからこそ周りの人間との関わりが必要で、それにより何かをすることで自分に返ってくる。それが助けであったり、支えであったり、希望と言えるものであったり、様々な感情が芽生える事で感情豊かになって素敵な人間になるのだろう。
劇中でカラオケのシーン、二人の歌にもそういったメッセージを感じた、何かに情熱を注ぐのが人間らしさであり苦しい時は逃げても良いんだと。
世の中にはこういった苦しみの中で行きてる若い人が日本にいることを知らないよりも知っていはほうが優しくなれるかもしれないですね。
未成年の誰もが生い立ちや家族関係に多かれ少なかれ不満があるだろうけど、自分はまだ恵まれてるんだと思い直す事で希望持って行きて行くきっかけになれば良い映画だと思います。
母と娘の複雑な感情の葛藤
虐待や貧困、薬物依存に苦しむ少女・あんが、救いを求めながらも絶望へと追い詰められていく様を描いています。あんは家庭内暴力を受け、支援者との出会いで一時的に希望を見いだすものの、最終的には救われず、自ら命を絶つ悲劇的な結末を迎えます。
特に母親役の河井青葉さんの演技が圧巻で、娘を売春に追いやり、暴力を振るう冷酷な母親像を見事に体現しています。しかし、その残酷さの裏には、娘を「ママ」と呼ぶなど、彼女自身の未成熟な一面が垣間見え、虐待が世代を超えて連鎖していく恐ろしさを感じさせます。
母と娘の関係を通して、作品は世代間で繰り返される虐待の連鎖の深刻さを浮き彫りにし、観る者に「救い」とは何かを改めて問いかける、心に残る一作です。
やるせない気持ちに
子役の男の子が心配になる
実話に基づいた衝撃作
公開当時から話題であった本作。
公開時は長野県での上映がなく、やっとここで地元でも公開されました。
子供の頃から母親から暴力を受け、小学生で売春を強要され、学校にも通えず薬漬けになっていた少女が、ある警察官と出会い更生に向かっていく。
仕事を始め、学校にも通い直しながら段々と明るくなっていくあんの姿に感動するが・・・
何とも救いがなさすぎた。
そもそも取り扱っている題材が重いが、これがまた実話に基づいた物語であるという事が衝撃。
とにかく母親が酷すぎる。
こんな毒親が実際に世の中に存在しているのかと思うと、胸くそ悪くて反吐が出る。
そして母親だけでなく、取り巻く人々や世の中の状況の変化によって、悪い方へ悪い方へと向かっていく。
誰が正しくて誰が間違っていたかとか、もうよく分からない。
運が悪かった。タイミングが悪かった。何かの歯車の1つがズレていれば違う結末になったのではないかと考えてしまう。
とにかくこれ程後味が悪い作品はなかなかない。
そして、現実に起きた出来事であると思うと、よりやるせない気持ちになる。
少なくとも記憶に残る衝撃作ではありました。
言葉にできないけど見てほしいです
救われない状況のオンパレード
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