あんのことのレビュー・感想・評価
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河合優実のこと
すでにかなりの出演作があり自分も含む映画好きにはとっくに名の通った役者だった河合優実がテレビドラマで一気にネットニュースやCMや雑誌にどんどん出はじめる。タイミングを計ったわけでもなくドラマより先に撮られていた話題作が立て続けに公開される。もう一本ではカンヌまで、声優でルックバックも。役者業は固いと思っていたが、まさかこんなに早くお茶の間のスターになるとは想像していなかった。
ストーリーは、これが2020年代の概ね実話で、それも刑事の悪事までが実話だというのが恐ろしく、平和なゆでガエルで定年を迎えるサラリーマンには想像がつかない。改めて自らの幸福を真にありがたく思う。子供を預かる件は現実にはなかったオリジナルらしいが、結末を知らなかったので「もしやいい感じで終わるのか?」と油断してしまった。
河合優実は想像どおりの腕力できっつい話を演じ切る。加えてますます独自色を強める稲垣吾郎がいつにもまして自然な顔の演技で微妙な心境を定着させる。残念ながら佐藤二郎はちょっとやりすぎた感。早見あかりは最初と最後でキャラが変わりすぎたような気がする。そして「偶然と想像」の上品な女性のイメージしかなかった河井青葉のやさぐれ母ちゃんには驚いた。
俳優陣が引っ張る 考えさせる力作 だが 描写が薄い 場面が玉に瑕 後味は人それぞれ 私的におススメ
まず最初に 河合優実 さんの熱演に敬意を表したい。
後半読みにくくて申し訳ないですが いわゆる 社会的制裁【懲戒解雇】と
市民の皆さんの安全のための 捜査は違うのでよろしく
俺の基本パソコン💻orタブレットなんだけど タブレットiPadは 後半何故か編集できない ので
この作品の 根幹である 実在した人物 に おそらく似てる熱演❗️
有料🈶パンフの 俳優さんプロフィール まず見たことあるの2割くらいのところ
河合さんは6割くらい 素晴らしい俳優【女優 男女平等なので気を使うわ】さんが力量発揮
基本、実話をベースにした 社会派人間ドラマ
でも先日拝見した 湖の女たち と明らかに好対照。勿論こちらの方が力作と感じた。
コロナ禍 DV とか 実話ベースだからある意味で納得
暇つぶし用にキャンディ🍬【映画館の中のガチャで購入したので 法的 道義的問題なし】持ち込んだが
画面に食らいついていて キャンディ🍬食うの忘れてた。
詳細は 映画館で確認してね。
でも まとめていうと リアル『人間の善と悪』かもね
河合さんが主役で賞賛に値するのは相違ないが 実は 本作を引っ張るのは 佐藤二朗さん演じる刑事
圧倒的な佐藤二朗さんの存在感❗️ 河合さんファンも勿論いらっしゃると思うが
本日 人間模様作品昨日封切り 3作品 でこの作品選んでみた方【この掲示板で常連の方のような ハシゴの映画ツウの方除く
あっ❗️世間一般では 映画は 会員割引なく@2000円台の模様】は 事前の予告編動画での佐藤二朗さんの演技【よーしよしよし大丈夫だ的な】の気迫で観た方結構いらっしゃると思う
佐藤二朗さん 器用とはいえないけど 引きつける熱気がある 気迫の演技
稲垣吾郎さんも好演なのですが 佐藤二朗さんの『善と悪』に押されてたかも
ただし、稲垣さんは普通の人で好演で 佐藤二朗さんを引き立たせている
有料パンフは 読みやすいので 買う習慣ある人は 迷ったら購入はアリカモです。🦆
実際の新聞記事からのストーリー ただ 時系列組み換え 一部だけフィクションあり
でも 有料パンフの ライターさん 佐々木さんの書いている『無知であることの凄惨さ 既知による残酷さ』が良い表現
ただ蛇足だけど最近気づいてきた 本作にも 法務監修 警察監修 刑務監修の方いらっしゃるスタッフロールなんだけど
当たり前だけど 監修だから【この程度は 推測すれば事実上ありうる】という確認なわけね その言葉どおり
佐藤二朗さんの最初の取り調べが 俺的に面白く奇想天外だったのだけど
刑事法関係シロウトでない 俺が検証するに 全然 法に触れない取り調べ 汗かいてるのは佐藤二朗さん役だから
ただ こんな事例は知らないなぁ。疲れちゃうし ぜひ映画館で確認して
あと いろいろと後半あるのだけれど 確実に逮捕、起訴事案とは見えなかった まあ可能性としてはあり得る
つまり違法性 というのは誰でもわかるけど 操作の基本は『構成要件該当性・条文すべたに当てはまるか❓』
あっ捜査の基本な それと欠かしてはならないのは 検察官【検事 副検事 検察官事務取扱】が判断する
違法性の大きさ→可罰性 刑罰を課す悪質性 を警察捜査段階で確認することが重要
重箱の隅的で悪いけど 最後の展開が意味不明だった
性的な行為の犯罪は 18歳 20歳 身分が学生なら真っ黒黒 ですが 薬物や泥酔😵💫 何らかの明白な拒否できない圧力もアウトです。ですが 許可を得ているホテルの防犯カメラ等に 明白に拒否してる映像がないと
そこまで 問える❓はぁ😔と思った。ただ 映画映像に映らないとこで何かあるのであれば 問えます。
ただ 任意団体 主催は 公務ではないよね と正直思った
あと今時の警察は 適正な捜査堅持だと思うし身内でも一般の国民の皆様以上に厳しくやってるはずだが
なんか 『厳しさと 取り調べの口調は違うよなぁ❗️』とマジ思った
昔 世界のホームラン王 王貞治さん監修の 野球入門 擦り切れる程穴が空く🕳️程読み込んだ小学生の私
てっきり 王貞治さん本人が 制作指揮したと勘違いしてた高校入るまで
ある意味で 読み取る 映画 なので 監修的には問題ないと思いました。
ただ 本作は 映画館で観ないと そのストーリー 背景 俺の言いたいことはわかりません。
是非劇場へ 社会派 人間模様作品 是非劇場で 詳細確認してくださいね
すべたに✖️ 全てに⭕️ 操作✖️ 捜査⭕️ です。
残念すぎますね、、、
せっかくまともな生活を手に入れて1からスタートしたとこだったのに、コロナのせいでとても孤独になってしまった。まだ精神的に未成熟でちゃんとした大人がそばにいてほしい時期なのに、、、母親に絶対会わないような遠いところに行けば良かったのに、とかたらればになってしまう。これから楽しいことがいっぱいあっていろいろ経験できたはずなのに、、、今現在、あんのような子がいると思うけど、すこしでも幸せになるように願います。
実話ベースか、これは切ないなあ、、、
河合優実、あっという間に有名女優に仲間入りですね。この映画の撮影の頃はまだ知られていなかったかも。ショートカットが似合うとても良い女優さんです。
多分、この映画は代表作になるのだと思います。それくらい素晴らしかった。
佐藤二朗さんも好きで、この映画でも、善人と悪人が絶妙で良かったです。
オープニングから、たぶんこういう話なのかな、、、とと思いつつ。所々泣ける。
さらに実話が元とは、、、これは切ない。
心が痛む。
ストーリーでは、それぞれの心の声が響きますが、キャラではやっぱり佐藤二朗の役に感涙ですね。100パーセント肯定出来ないところも人間らしくて良かったです。
もう少し、公開される映画館が増えるといいですね。以前は通っていた映画館に約3年ぶりにいくことごできましたが。
なかなかパンチのある映画ですが、色々な人に観てもらいたいですね
雑過ぎる脚本
ひとりの女性が必死に生きようとする姿を表現した作品。 本年度ベスト!!
鑑賞前に舞台挨拶の動画で本作の結末を知ってしまってからの観賞に後悔(笑)
それでも結末は衝撃的だった。
当然、河合優美さん目当て。
最近話題となったテレビの不適切なドラマの影響か?
集客率はほぼ100%
やっぱり河合優美さんの演技が素晴らしかった!
親から虐待を受け覚醒剤に頼る杏。
そんな彼女を佐藤二朗さん演じる警察の多々羅が更正させようと奮闘するストーリー。
杏がとにかく可哀想。
必死に生きようとする中、事ある毎に母親に妨害される感じ。
クソ親に生まれた杏が可哀想過ぎた。
そんな中、稲垣吾郎さん演じる雑誌記者の桐野が登場。
杏、多々羅、桐野の3人が共に行動するシーンが良かった。
時々笑顔を見せる杏の幸せそうな表情が印象に残る。
後半に信じられない事件が発覚!
まさかの展開に驚く。
杏に親身に世話をしていた多々羅との接触がなくなり杏の感情に変化をもたらした感じが辛い。
記者の桐野の取った行動は正しかったのか?
悩ましい。
実話ベースと言うことが信じられないけど、この物語を取材した記者はどんな思いで取材をしていたのか?
多々羅の事を知りながら取材していたのか?
気になるところ。
多々羅のタバコのポイ捨てのシーンが多過ぎたのが気になりました( ´∀`)
居場所という灯りが消えるとき
自分が入れる場所が奪われるとき、人はこんなにも無力になるんだなと痛感した。誰しもがここにいていいんだという安心感は絶対に必要だし守ってあげなければいけないと思う。
たとえそれが「私はあの子の親です」と声たかだかに宣言してそのこを奪いに来ようとしてもその「親」は果たして実に子供を大切にしているだろうか?まで見極める必要があると思う。
あんさんは最後まで誰も責めずに自分で抱え込んでしまった。周りの人間が自分の問題を彼女に押し付けていなくなっていく。それが無性に腹立たしい。
そして彼女の母親にも心底腹が立ったのだが早見あかり演じる母親がなんの理もなく子供を押し付けて去っていくところにも本当に腹が立ったしあんが死んだあとの態度にもどこか人ごとのようにさらっとコメントしてさっさと帰っていく様も本当に身勝手だなと思う。
いまも誰かがこの状況下にいるのかもしれない
苦しい!随所で涙が溢れてきた。泣ける映画だと思わなくてタオルを忘れてきたことを後悔。服の袖で拭いました。
気に入った手帳、かわいいペン、ブランドものかどうかはわからないけどたぶん2000~3000円なんかじゃ買えないような洋服、彼女の購入品を見ていると自分の気分が上がるようなものを纏って、自分自身を大切に出来ているんですよね。
そして、子どもを預かったときの杏が警察にも言わずに世話をし続けてたのは入居するときに言われた「住居者で助け合って生活している」が念頭にあったんだろうなぁ。その他にも「住所を公表しない」も守ってる。
良くも悪くも人の言うことを聞ける子だから、例の記事が出なかったら杏は被害に遭っていた可能性が高いし記者の選択は間違っていなかったと思う。
多々羅のアドバイスも聞いて実践できてるし、祖母への思いから介護職を選んで、子どものことを思って面倒も見れる。
そんな優しくて真っ直ぐな生き方だってできる子が、諦めるのはふとした瞬間で、大きなトリガーがあるわけでもなく、日々の積み重ねからある時ぷつんと途切れてしまう。
鑑賞後、杏はどうやったら自分の生きたい生き方ができたんだろう?と考えたが、長い月日が経つことで過去が薄れ、解決したのかなぁ。そこに至るまで耐えられるかどうかが鍵だった。
寄り添う。フォーカス。 今日に○。 一日一日の積み重ね、 そして1...
主演の役の在り方にただ取り込まれる
主演の彼女の存在を知り意識したのがごく最近。雑誌AERAの「現代の肖像」にも取り上げられていて深く興味を抱き、ニワカながらこの作品に辿り着いた。
何かその、憑依型の俳優、というのが何か安直なネーミングに思えるくらいに自然な役の在り方が、其処にあった。
既に沢山の映画や演劇、ドラマに出演されているので、楽しみに追いかけたい。
主人公の置かれている悲惨な状態からの再生のステップが丁寧に描かれ、途中毒親の幾度かの登場で揺らされるものの、何とか前向きに持ち直す展開に、観ているこちらとしても救われていく感覚があった。
それなのに、後半、心から手を差し伸べた警察官の二面性に、ヒトの弱さを感じたのと、それがきっかけに崩れていくのがいたたまれなかった。
コロナ禍がもたらしたものを記録する意図があったとの監督の言を目にし、確かに残すべき作品であるとの認識を私も持った次第。
主人公の素晴らしい演技!
巡り合わせ
本当のどん底とは
まだ頑張れば何とかなる、と思っているのは本当のどん底ではないとヒリヒリと感じられる物語だった。
最後に、子供の母親が「杏ちゃんのおかげです」というシーンがあるが、大して知りもせず、無理やり子供を押し付けていったばか親のくせに、ちゃん付で呼ぶのは違和感ありまくり。普通は「香川さんのおかげです」だろう。それとも、わざとばか親のバカさ加減を際立たせるために、あのようなセリフにしたんだろうか。
光と絶望。
売春と麻薬が常習の杏が多々羅という刑事とジャーナリスト桐野という人間に出会い更生しようと前向きに歩き出そうとする話。
刑事の顔と脱ドラッグ施設(ダルク的な)を経営する二つの顔を持つ多々羅に出会い、その施設に世話になり、そこで出会ったジャーナリスト桐野から介護施設の仕事を紹介してもらい杏の生活が少しづついい方向へと変わろうとしていたが…。(実話に基づく作品)
~子供の頃、母親からの暴力から守ってくれた好きなばあちゃんに介護してあげたいと介護施設で働き始める~
とりあえず杏の母親が常に鬱陶しいよね。
こんな母親じゃなければ家の環境も普通だったろうし、普通に優しいばあちゃんがいたりで…、子は親を選べないけどただただ観てて悲しかったです。
佐藤二朗さん演じた多々羅がなかなかヤバイ刑事でタバコのポイ捨て、ツバ吐き捨て、口悪い、罵声すぐ浴びせるみたいな感じだけど意外とホントは優しくて杏にとっては心の拠り所みたい人だったけど…、その施設を利用してる女性に立場利用して性強要とか…。
桐野にネタにされなければ施設は生き残ったかもですが、桐野は桐野の仕事をしただけ、多々羅がもう少しまともな奴で、心の拠り所でいれたなら杏は生きてたんでしょうね。
作品としては楽しめたけど実話に基づくと思うと心が痛い。
もっと実話に沿った方が良かったのでは?
大阪のなんばで初日に見ましたが、客席は余り埋まってなかった。
朝日新聞で「ハナ(仮名)」として登場した記事の女性がモデルだと言いますね。
医療・福祉の現場(医療専門職や介護専門職ではないですが)にいたので、分かることもあり、「全くそうだな!」と思うことも盛りすぎだと感じる描写もあった。
逆に、ドラッグストアの店員の返事、区役所生活保護窓口職員の(いかにもな)口ぶりなど、細部は(シニカルで)この映画の監督らしさが出ていました。
実際に見聞きしているからでしょう。つまり、日本社会の普遍的・恒常的風景だから。
杏さんに対する施設事務の対応のまずさなど、まさに蟻の一穴から人間の運命が大きく狂うきっかけになることもあります。それも本当に実感することです。
施設長が「面目ない」と言っていたが、それどころではないし、おそらく給与明細を送った本人であろう、バツの悪そうな顔をしていた事務員の表情(演技)も良かった。
いろんな人間の質の悪さを見せつけられた映画でした。
欧州・米国ともに、福祉政策で失敗はするが、その後のフォロー、立法化・制度化が思い切ったものなので、他の国も参考にするのだと思う。
キーになるのは政策を進める側と国民の側の「当事者意識」だろう。
メインビジュアルに書いてある「彼女は、きっと、あなたのそばにいた」だけでなく
「あなたの、そばにも、きっといる」多くのヤバイ日本人が自分から変わらない限り、日本は今後どんどん衰退すること、それを示してくれたと思います。
あと、心理的安定性のない人間は部屋を片付けられない、貧困なほどゴタゴタ物を置く、料理を自分で作らない、それも日本の住宅事情もあるだろうけど、日本の危機ですね!
パンフレットともどもご自身で味わっていただきたい
何をどう書いても自分の語彙だけでは、浅薄さと陳腐さの証明しかできない。そんな気分にさせられる強烈な映画でした。
なので、ここ数年ほとんど買ったことのないパンフレットを購入して、映画を深掘りすることにしたのですが、この映画が製作された経緯や関係者の思いがとても丁寧に伝わる記事が満載されてます。
編集はキネマ旬報社、ということはかなり本格的?
全体的に実話ベースの中でシェルターマンションで幼児を預かることになる展開はフィクションとのことですが、これにもちゃんとした理由があります。
社会復帰の過程で『誰かをケアすることで1日1日を積み重ねていけるんだ』と思える経験はたった一度の使用で逆戻りしてしまう薬物に抗うための大きな支えになるのだそうです。
あとは概ね実話ベース(多少の時系列の整理はあるものの)。
本当に存在していたあんの人生を、なるべく本当に辿りたい。
冒頭1ページ目のイントロダクションだけでも、この映画が放つ訴求力の理由が分かるし、関係者インタビューを読めば、それぞれの強い想い(あんは確かにそこにいたし映画を通じてみんなの心に生き続けて欲しい)がひとつにまとまると、こんなにも凄い映画ができるのだということがよく分かりました。
映画レビューというより、パンフレットの宣伝みたいですが、かなりのお勧めです。
あ、かなりのお勧めというのは、パンフレットのことで、映画は今年の邦画で間違いなくベスト級!必見です!!
あんのこと
感想
この映画の話は実話をもとに制作されている。認識がなくこの事実を知り得ていなかったので、この国で、映画の内容のような事が罷り通ってしまったという事に、まず最初に驚嘆した。
この映画のテーマとなっている問題は人間が社会的に生活する上で本当に厳しく重い意味を持つ。
日本人の家族の形態は歴史的に見ても変化し続けていて、50年前には当たり前であった三親等位までが近所に暮らして居る、大家族形態は都市部を中心に激減。さらに人口の地方から都市部への一極集中化による、近所に知り合いのいないひとり親家庭などの新形態による核家族化が、極端に進行している状況である。
現代の日本と日本人はどうなってしまったのか。人間同士の関わり方や、人としての在り方(家族の在り方、子供との関わり方、親からのアタッチメントを含めた幼児期からの妥当性をもった人間道徳教育、制度、政策から考える現状の偏った社会的行政救済システムの強化や見直しなど。)をこの映画の状況のような事案が今後増えると思われるので、詳細に考え直した方が良いという気持ちになった。
日頃からよく思っているのは、人は身勝手で無責任な生き物であるという事だ。
ある一人の女性を救い続けようとしても、救われることの無かった話の中で、誰が加害者で、誰が被害者になるのであろう。
誰が悪人で罪人なのか。悪い事と知って行動する、あんが悪いのか。ネグレクトとDVの母親が悪いのか。それとも多々羅がどうしようもないヤツなのか。それともマスコミの、この問題に対する人に与える影響を考えなかった桐野が悪いのか。
全員が悪いのだ。無知、無関心、無責任、責任転嫁自己中心主義、特に人の無関心がコロナ禍等の悪かった年の流れと重なり、最悪の結末となってしまった。
妥当性を持ち得た分別ある大人の人間が段々と少なくなってきているのかもしれない。
真当な人として、自身に課せられた、あるいは自ら課している社会的責任をどのように果たしていくべきなのか。また人としてどのように社会と関わっているのか。あるいは、どう関わるべきなのかを今一度、人間一人一人が考え直し、問題と感じる場合は時に行動してみる必要があると感じる話であり、自分自身反省し、考えさせられた。
脚本・演出
事実をありのまま、淡々と表現することが出来ていた。無理に感傷的になっていないつくりどころがリアルさを感じて良かった。◎
俳優
杏役河合さんの演技にまず眼力を感じる。浮つかず焦りもない。諦めに近い押しの弱さで、しかし、生きるために最後の力を振り絞って懸命に踠く姿が健気で本当に素晴らしかった。泣いた。演技に感動した。今、最も関心を持って観ている、期待する大好きな実力派女優である。◎
多々羅役の佐藤さん。流石の演技。福田監督作品とは一味も二味も違うアドリブの効いた抑えるところは抑えた難しい役どころを本当に上手く演じていた。素晴らしい。◎
桐野役の稲垣さんも多々羅と反対象な感じの落ち着いた演技で良かった。
⭐️4
コロナがなければ起きなかった悲劇。
悲惨な生活を送っていた杏は、多々羅が主催する薬物更正グループの集まりに参加し新しい1歩を踏み出す。日記帳とヨガマットを買う場面で、万引きを思いとどまる描写に杏の決意を感じ応援したくなる。週刊誌記者の桐野に老人介護施設の仕事場を紹介してもらい経済的にも安定する。シェルターに身を隠し、初等教育を学ぶ場にも参加する。
このままいけば明るい未来を歩めたかもしれないが暗雲が立ちこめる。多々羅の裏の顔が暴露され、薬物更正グループがなくなってしまう。
更にコロナが追い討ちをかける。老人介護施設の職場を解雇されてしまうのだ。僕はここで初めて知って驚いたのだが、コロナとはいえ国から人を減らす要請があったとは知らなかった。
老人介護施設なんて どこも人手が足らなくて、いっぱいいっぱいの職場だ。非正規とはいえエッセンシャルワーカーの介護職は安泰だと思っていた。残された正規社員はてんてこ舞いだよ。
更に更にコロナは追い討ちをかける。初等教育を学ぶ場もコロナで休止になってしまう。
泥沼から抜け出し希望を見い出したかに見えた杏。 だけどコロナで居場所を失くし孤立する。ここで言う居場所とは、対面で人とつながれる場所のことだ。
しかし、ここで救世主が現れる。シェルターの隣人に押し付けられた幼な子が杏の生きるよすがになる。普通に考えればコロナで八方塞がりのところに子供まで押し付けられたらお手上げである。さっさとシェルターの管理人か警察にでも引き渡せばいいと思う。
しかし杏は自分で養うことにする。この事が杏に幸いする。放って置けば死んでしまう幼子を養うことが杏の生きる力になる。これは決して母性愛に目覚めたとか、子育ての喜びを知ったということではない。自分が誰かのため、何かのために役に立てる存在であるという思いが杏の力になる。幼子は杏に養育されているのだが、幼子の存在が杏に力を与えているのだ。
しかし、この子さえ杏の前から消え去ってしまう。杏の絶望たるや想像に難くない。絶望した杏は、自ら命をたってしまう。
ラスト、杏の最後の希望だった幼子が、再びママと生きていくことになった事に少しホッとする。
マスコミ向けのパンフレットには、杏について「希望はおろか絶望すら知らず」とあるらしい。
刑事の多々羅と記者の桐野は、杏に希望をもたらす。皮肉なことに、杏は、希望を知ってしまったから絶望も知ってしまう。2人に出逢わなければ、杏は死ななかったかもしれない。
しかし希望を知らないから絶望することもない人生は、幸せではないと思う。
コロナでは10代から20代の女性の自殺が顕著に増えた。仕事が失くなり経済的に困窮したのも原因だが、仕事をしてない10代も多く含まれる。人と対面でつながる居場所がなくなってしまい、強い孤独を感じてしまったことが原因ではないのかと言われている。男が孤独に強いのではなく、多くの男がもともと対面での言語のコミュニケーションが苦手で少ないことが幸いしたらしい。男はコロナになる前からさしてコミュニケーションとってないから変わらない。男の子のワシも個人的には分かる (^^)
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