あんのことのレビュー・感想・評価
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河合優実さんの演技に拍手
小4で飢えからの万引き
12歳で母親から売春の斡旋
16歳で覚醒剤 と壮絶な暮らしをしてきた杏が
1人の警察官との出会いから
『普通の暮らし』をするべくその日1日を
大切に生きていく
小さな積み重ねから生まれたものは
『未来への希望』 『他者への信頼』
そして介護や子供の世話を通して、自分が誰かの助けとなる力をもっているという僅かな自信
それらが崩れ去った時の孤独や絶望
杏の痛みからなかなか私も抜け出せずにいました。
私は稲垣吾郎さんの役はどうもミスキャストに思えたかなぁ。真の正義感なのかスクープを狙った偽りの信頼関係なのか無表情な稲垣さんからは真意がはかりかねた。
最後実話だと思い出してからそれまでの健気さに涙
2024年劇場鑑賞44本目 傑作 75点
正直、1年通して2024年一番期待していた作品かもしれない
そんくらい河合優実の独壇場をリアルタイムで堪能できることを心待ちにしていた作品である
結論、素晴らしい完成度のドキュメンタリー再現映像の様だった
家庭内での取っ組み合いにちゃぶ台返し、その雑多な空間と綺麗なぶつかり合いじゃない再現性、それを表情や腕っぷしにフォーカスを当てる様な撮り方でなく、あたかも現場にいわさせてしまった配達員が何もできずに硬直してただ側から見ているかの様な目線での映像
序盤の河合優実の虚に目の奥がくすみきっている眼差しと全身から漂う負のオーラが拭えない猫背など、苦悩が伺える等身に脱帽
そこから、出会いや機会に恵まれて(一理あるが)自分の人生を生き始める
おばあちゃん子で、母への憎しみの皮肉なのか助けになりたいと介護職に触れてみること、ひょんな出来事から預かった赤子の為に奮闘する姿、一刻と終わりへ向かう年配の方への注力から、これからを生きる新たな命の為に自分の必要性を見出し生き始める力強さと終始感じる彼女の心優しさ故に、最後に迎える悲劇が、彼女が構築してきた生き甲斐とか生まれてきた新たな心の糸が分断された様で、新しい自分と新しい命(赤子)の丁寧に生き始めた印を書き記した日記やアレルギー一覧を燃やし灰にし、抱きしめながら命を断つあのシーンの一部始終は今年ベストの喪失感と衝撃である
彼女は2021年公開の由宇子の天秤から認識し、当時から作品は勿論、彼女の存在感に映画ファンが飛躍を確信し、予定調和でドラマの躍進や今作の抜擢・怪演である
2025年1月公開予定であり、由宇子の天秤ぶりに瀧内公美との共演作、敵での成長した姿楽しみである
救いのない物語
重い…
見る前からある程度想像はしていたが、見終わった後の素直な感想は『重い!』。
大人になりきれていない年齢だけ年を重ねた精神的にまだ子供な大人が、自分の子を作るとこんな惨劇が起こるんだなと、とても悪い方に向かったことを描いている。
主人公のあんはこの状況を求めてなったわけではないし、この状況から逃れたいけどどうしたらいいかわからないジレンマからこの状況に陥っている。これは手を差し伸べてやらないといけない案件のはず。何もわからない子供の頃からこんな状況に置かれて、行政や周りの大人が何かしらわかるだろうに全く干渉することなく育っていかざろうえなかった悲劇。明らかに人災。こうならないために世の中のいろんな仕組みがあっておかしくないのにとても苛立ちを覚えた。
そんな中心の中のほんの少しの光であった刑事に支えられ支援されようやく本来の笑顔で仕事やプライベートな時間を過ごせるようになったのに…やらかしてしまって、何やってんだってここでも苛立ち。
かなりアホな母親に無理やり押し付けられた子供と理不尽だと思いながら過ごした時間はきっとあんにとって本当に孤独を忘れさせてくれる、貴重な僅かな時間だったんだろうなと容易に想像できる。映画でしかないけど、あの映像を思い起こすと涙が出てくる。
そんな僅かな些細な時間も生まれた時から自身の1番身近で1番障害となる母親にぶち壊され、自暴自棄になってしまったシーンは本当に心が張り裂けそうな場面だった。あれはないよな…
評価を見て、最後だけ救いがあるって感想の人たちがいたがどうしてもそうは思えなかった。押し付けやすそうな子に身勝手に自分の子供を押し付け、時間が経って取り戻しにきている母親にも苛立ちを感じる。勝手すぎだろ…今はわかってはいるが、早見あかりの顔はあまり思い出したくない。
とにかく、久々にすごい映画見たなって言うのが感想です。この主演の河合優実さん、すごい女優さんになりそう。
散らされた花、残された明日
本作は、主人公の杏が置かれた過酷な現実を克明に描き出し、観る者の心を揺さぶる。もう一度観賞するのを躊躇するほどであり、あたかも作品の世界に腕を掴まれ、引きずり込まれるようであった。
作品を通して伝わってきたのは「社会問題に対して無関心でいることはできない」というメッセージである。幼少期からの虐待や薬物依存を乗り越え、仕事をこつこつとがんばり、夜間中学で学びに勤しんでいこうと励んだが、新型コロナウイルス感染拡大により、事実上、その道が断たれる。
作中、警察官の多々羅は杏に付き添い、区役所を訪れる。毒親からの虐待、経済的搾取から逃れ、負の連鎖から脱出すべく、その一歩として、職務経験のない杏が生活保護を申請するためである。
理解者たる多々羅が交渉を試みるも失敗。腹立たしいが「まだ若いから自力で何とかしろ」という具合で埒が明かない。その場に漂う冷ややかな空気こそが、社会全体が弱者を切り捨てているという現実を象徴している。
制度の網目からこぼれ落ちていく人々、そして、その現実を変えられない無力さに、多々羅は怒る。社会への深い悲しみと怒りを物語っている場面である。
本作の結末が示しているとおり、社会問題を解決しようとするのは実に難しい。また、そのために当事者が声をあげようとすることも容易ではない。
杏のケースでは、そもそもどうやって声をあげればよいのかわからない、声をあげたとしても、福祉の手が差し伸べられなかったり、行く手を阻む者(毒親など)が現れたりする。思い通りにいかないことの方がずっと多い。
だからと言って、当事者だけではどうすることもできないことはどうしようもないかというと、そうではない。つまり、映画は、単に娯楽を提供するだけでなく、社会問題に対する人々の意識を高め、行動を促す力を持っている。
なぜなら、映画が持つ共感力や想像力を刺激する力が、人々の心を動かすからである。ただただ現実に起きた出来事が悲惨だと伝えるのは刺激が強すぎるし、すんなりと受け入れられることは難しい。
しかし、このような形で映像化することが大切である。当事者が声をあげるだけでは動かなかった世論に対し、大きな影響をもって社会に訴えかけることも可能である。
「弱者と連帯する」と言うは易しであるが、具体的な行動として、ボランティア活動や寄付など、様々な選択肢がある。例えば、地域のフードバンクへの支援や、ホームレス支援団体へのボランティア参加、あるいは、貧困問題に取り組むNGOへの寄付など、一人ひとりができることはたくさんある。
しかし、まずは、自分自身が社会問題に関心を持つことが大切だ。映画を観る、ニュースを見る、本を読む、そして、周りの人々と意見交換をする。これらの小さな一歩が、大きな変化につながる可能性を秘めている。
社会問題の根底には、社会構造的な問題が横たわっている。私たちは、個人だけでなく、社会全体で問題解決に取り組む必要がある。そのためには、社会福祉制度の改善を求める署名活動に参加したり、政治家や行政に働きかけたりすることも重要だ。
市民社会は誰かがお膳立てしてくれたものに乗っかるだけでは完成しない。例えるならば、大きなパズルのようなものだ。一人ひとりがピースとなり、全体像を完成させていく。一人ひとりは微力であっても、それが合わされば大きな力となる。決して無力ではない。
しんどい。ただしんどい
見たらしんどいのだろうなぁとは思っていたが、本当にしんどかった。リアルベースで現実にある世界で。最近歳をとったのか、子供の未来を潰す、追い込むような大人、犯罪に巻き込むような大人はみんないなくなれば良いと思っているので、この映画の世界はほんと辛くてしんどい世界だった。
コロナ禍か。ほんと最近の話なんだなあ。。
世界はいつからこんなに歪になったのか。昔からそうだったのか。
俳優陣の演技はドキュメントを見ているかのような気持ちにされた。名演技だった。ただ名演技であればあるほどしんどさはマシマシだった。
多々羅が悪者という判断はあるが、彼は悪者なのか?私はそんな簡単な話ではないとおもった。
作品としては本当に良いのだが、楽しかった面白かった基準で評価してるのでこの点数。
起伏のない人生
メンタルが強いとき限定
そのうちもう一度観たいと思うけれど、決して人にはお勧めできない、自分もいつ観ようと思うか判らない、複雑な後味。
物語の大部分は、あんが様々な人達に支えられ、不意に訪れる厄介ごと?でさえも、前向きに成長していく姿がとても愛おしく感じた。
しかし終盤で不穏な空気からのエンディング。
社会は1人の少女を救う事はできなかったが、あの子供や母親、刑事の心を揺り動かしたと思う。それだけがこの映画の救い。
社会が殺めた命
コロナ禍の重すぎる代償
2020年。あんは生きていた
あの頃までは生きていた。
突きつけられる現実はあまりにも痛ましく
そして生々しくてグロテスクだった
私達が生きたコロナ禍
もう遠い過去のようにすら思えるコロナ禍
感染症対策の為に様々なサービスが取り止められ
人と人との交流が寸断され
どれだけの人が苦しんで傷ついて追い込まれて命を絶っていったのか
そんな事を思うと
言葉に起こす事すら苦しい位に辛い
あんは確かに生きていた
自分の人生を生きようとしていた
決して褒められるほどではないが
不器用ながらも熱意ある大人に支えれれて更生し
高齢者に優しく接し
幼児を育て、見守り
少しずつ、でも確実に人間性を取り戻していた
そんな矢先の悲劇
誰にも止められなかった悲劇
これが現実かと思うと落胆する
でもこの事実を風化させたくはない
僕らが生きたコロナ禍を亡き者にしてはいけない
懸命に生きようとした命が、決して無駄ではなかったと思いたい
その為にもこの作品をもっともっと多くの人に見てもらい
あの頃に思いを馳せてほしい
そして、今も苦しむ多くの人に目を向けるきっかけにしてほしい
そう思った
ラーメン屋のカウンターに座っていた時の笑顔が懐かしい
実話ということ
この事実から目を背けるな!
目を背けたくなるような辛い出来事の連続。
小学生の頃から毒親にコントロールされ体を売らされクスリでボロボロになっていく杏は、確かに現実にいたし、今も同じような少女があちこちにいるのかもしれない。
型破りな善人か悪人か分からない警察官も今も全国にいるのだろう。
見たくないものを見ないのではなく、無理して見るのでもなく、杏のことを見つめてしまう。
目が離せなくなり、やがて応援し、目が釘付けになるのは河合優実や佐藤二朗の魅力や演技の力も大きい。
薬物を絶つ努力を積み重ね、光の兆しが見えてきたところからの全ての崩壊。
コロナ禍の始まりが大きく影響をしているとはいえ、こうなったのはそれだけじゃない。
杏のこともその母親のことも国も行政も周りの人も誰も助けてあげられなかった。
この映画はそんな罪悪感を観るものに、突きつけ、試してくる。
母子家庭の無責任な母親に他人の子を託された時の杏の懸命なお世話ぶりが胸を打つ。
子供が食べられない食べものを書いたノートの燃え残りの紙片が涙を誘う。
杏が普通に恋をして好きな人の子どもを産んでオムツを替え、公園で子どもと遊ぶ、そんなささやかな幸せのある未来が来なかったことが悲しい。
いつまでも余韻に浸ってしまう。唐突に居なくなることで、杏は永久に観るものに罪悪感ややるせなさを感じさせたのだ。
そのチクチクした感情を鑑賞後にどう消化する?
重苦しく辛い映画だったという感想とするのか、自分のいる世界の目を背けていた現実の部分として、きちんと受け止めて背筋を伸ばして生きていこうという感想になるのか。
この映画は観るもののリトマス試験紙となる。自分の心根が試されるのだ。
“めちゃくちゃいい人”に巡り会えるだけでは彼女の世界は変わらない
コロナ初期のあの頃を、「そんな時期もあったね」と思えるのは特権。当時そしてもちろん今もギリギリのところで生きている人はたくさんいて、そんな人たちをその淵から突き落とすには、あの時期はあまりに十分なこと。
虐待やネグレクトをしてしまう親に、自身も幼少期に同じことを受けて育ったというのは少なくないケースだけれど、彼女がお年寄りや子どもなど自分より弱い人と接する姿には、母親から植え付けられた負を断ち切れるだけの強さがあるように見えたのがつらかった。
映画や小説などの創作物を数多く見ていると、この人に出会ってくれてよかったと思うような「まじでめちゃくちゃいい人」って結構いて、本作でいえばあの2軒目の介護施設の社長がそうだけど、ああいう人って一人じゃだめなんたな。足りないんだなあ
救えなかったのか
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