あんのことのレビュー・感想・評価
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考えさせられた
あんと河合優実
河合優実さんの演技が並外れていた。あんの人生を生きていた。こんなに俳優さんの演技で感情移入したことはない。「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の時にも彼女の演技力に呑み込まれてしまったけれど、今作でも河合さんの表現力にひたすら犯されていくしかなかった。
映画はいつも私に寄り添うものだと思う。ドラマはリアルタイム性があり、今放送しているドラマは常に“今”で、過去のものも懐かしさを帯びる。映画のように2、3時間では終わらず何週にも及ぶからその時の自分の時間の流れも交わる。ミュージカルや舞台は一度きりのもので、同じ公演は2度と見ることができない。しかし、映画は常にそのままで、物語を凍結したようなものだと思っている。演技をした俳優も、物語も、全てがそのまま在り続ける。だからこそ、私はこれからもあんと生きていく。
河合さんが見せてくれた、あんの見たものや大事にしたものと私も生きていく。
性悪説は多分正しい
救いのない「実話」。心が痛むと言うか、しんどいです。
ニンゲンは、性悪説が多分正しいんだろう、と思わされる
コロナ禍でおきた悲劇ではあるが、こんな話は日本中、いや世界中に数え切れないくらい転がっているのだろう
杏には戸籍はあったようだが、戸籍のない子供すらいる。
戸籍がなければ法的に存在しないニンゲンなので「日本人」として保証されている権利を最初から享受できない。当然、学校に行く機会がない。
まともに学校に行っておらず、親や家族のみの極端に狭い世界しか知らなくては、それを否定する発想がない。なので杏も母親に反撃できないし脱出しようとも考えていなかった。
杏が小学校に来なくなった段階で、児相や警察が介入できないものかと思うが、できない、もしくはしていないのは、現状からよく分かる。
杏の場合は、コロナ禍をはじめいくつも悪い条件が重なってしまったというのはあるが、
反社会的な人々が更生しようとして、一旦それがうまくいったとしても、長続きしないことが多いらしい。
本人が変える努力を怠らなくても周囲がそれを許さない場合が多いのだろうと思う。
多々羅が逮捕されなくても、いづれ杏は元の生活に戻ってしまったのではないか。
毒親は血眼でタカれる娘を探し出すだろうし、娘を脅して言いなりにさせるのはお手の物。そして杏はまた身動き取れなくなり、母の言いなりになるしかない。売春を強要され、またクスリに手を出す。
または、多々羅の毒牙にかかったかも。
シェルターは本人と無関係で本人を知る人が皆無で足がつかない遠いところに住ませてもらえるはず、と思うが、わざわざこんな近くにいさせるなんて下心のせいかもと後から思った。
結局のところ行き着く先は絶望的ではないか
彼女にもう少し知識があって、正しく助けを求められることがあれば若干は変わったかもしれないとも思う。
誰かがケーススタディーで想定できる危機とその対処法を教え込んでいたら、もしかしたら杏の悲劇は防げたかも。コロナ禍でなければ、多々羅と関係ない自助会に参加してアドバイスが受けられたかもしれない。
もしかしたら、コロナ禍でなければ、杏は救えたケースだったのだろうか
教育は大事だ、とつくづく思う。
身を守るための知識を得ようにも、最低限の教育がなければ何をどうして良いものかすらわからないと思う。
一方的に杏に託児していった早見あかりの母親が警察署で、息子は大事にされてたとか、あんちゃんありがとうとか微笑んじゃってフザけたことを抜かして責任感も罪悪感もないのに唖然としました。
リアルでこういう人いますけどね。
「誰も知らない」の母のような、杏の母と違うタイプの虐待親の臭いがします。
杏が「どう生きた」のか、鑑賞後もしっかりかみしめたい一作
過酷な家庭環境に育ち、自身も薬物依存などから抜け出せない杏(河合優実)が、周囲の人々の支えを受けて自らの人生を立て直そうとする姿を追う入江悠監督の視線は、優しくはあるけど現実に立ちはだかる問題から目を背けさせないという、ある種の厳しさを秘めています。
同時にまた、2020年以降に世界の多くの人々が経験した、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う社会生活の大きな変化において、人の支えを切実に必要としている人々がどう生きたのか、本作は一つの素描ともなっています。
実際に起きた事件を丹念に取材した上で(時系列は異なるけど、中盤の大きな場面転換となる事件も事実に基づいているとのこと)作品化した入江監督の、安易なハッピーエンドには回収させない、という覚悟と責任がひしひしと伝わってきました。
一方で、入江監督が杏の内面を書き起こす描写は、非常に繊細で印象的です。たとえばある雑貨店を訪ねた杏がナップザックを最初どのように持ち、そしてはっと我に返ったかのように持ち替えた場面。台詞ではなく杏の微妙な挙動と表情だけで、これまで彼女は欲しいものがあったときにどうしてきたのか、そして彼女の内面で何が芽生えてきたのかを明瞭に示しています。この場面はぜひとも注目してほしいところ。
『市子』(2023)ともやや共通した要素を感じさせる本作。入江監督の代表作の一つとなることは間違いなさそうです。
言葉に出来ない絶望と悲しみ
前評判も良かったのでぜひ観たいと思っていたものの上映館が思いのほか少なくてタイミングが難しかったのだが、ここに来てようやく観れた。
予想はしていたが、あまりにも辛く悲しい物語だった。僕はオッサンなので杏と同じ世代ではないが、それでも同じ日本に産まれたわけだし、広い意味では同じ時代を生きてるとも言えるだろう。そんな僕には到底考えられないほど過酷で絶望的な人生がそこにあった。その事実はあまりに重過ぎて、僕の心に深く刺さった。
もちろん知識として社会にそのような世界があるのは当然知っているし、それをある程度リアルに想像する事も容易に出来る。でも、やはりそういう問題ではないのだ。「知ってる」というのは所詮「知ってるだけ」に過ぎないのだから。最近の世の中における風潮で強く思うのだが、「知ってる」というだけで「分かったつもり」になってはいけないのだ。自分が分かった気になっているだけで、本当は何も分かってないのだ。本当に何ひとつ分かってないのだ。杏がどんな気持ちで生きて、そしてどんな気持ちで飛び降りたのか。なぜあの若さで自ら命を絶たなければならなかったのか。僕らは本当に何も分かってないのだ。
「人の気持ちを分かったような気になるな」
そう言われてる気がした。
杏の、恥ずかしそうにはにかむ顔が脳裏に焼き付いて離れない。
杏の、お年寄りや子供に優しく接する笑顔が忘れられない。
本当は良い子だったんだよなあ。産まれた所が悪かっただけで。
クスリに溺れていたのを助けられ、少し人を信じ始める杏。
日記を購入し、慣れないペンで毎日「丸」を書き綴る杏。
人見知りなのに学校へ行き、学ぶことの楽しさを知る杏。
人の優しさに触れ、働く喜びや誰かの役に立つ幸せに気づく杏。
子どもを預かり、世話をする事で生きる価値を感じ始める杏。
些細な毎日、些細な幸せをコツコツ丁寧に積み重ねる杏。
そんな彼女が、なぜ死ななきゃいけなかったのか。
そんな彼女が、なぜ死ぬしかなかったのか。
もう本当に。本当に涙が溢れて止まらないのですよ。
まるで自分の子どもかと思うほど感情移入してしまった。
だからこのレビューを書くのもめっちゃ辛かった。
ところで多々羅という人間をどう捉えるか、非常に意見が分かれる所だと思う。彼は杏をどう見ていたのか?杏をどうするつもりだったのか?ここは最後まで明確にはならなかったわけだが、僕は彼なりの「善行だった」と思っている。とは言え彼がクソ野郎である事は間違いない。ここがポイントだ。
昔ハーヴェイ・カイテル主演の「バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト」という映画があったが、この作品は僕の人生の中でも3本の指に入るであろう傑作だ。(ただし分かる人にしか分からない世界観だと思う)
どんなクソ野郎でも、最初からそんな人生を望んでいたはずがない。誰も最初から悪い人間になりたいなどと思うわけがないからだ。誰だって幸せになりたいし、良い人間でありたいし、尊敬される人間でありたい。本来は誰だってそうなのだ。でも自分が決して良い人生を歩めるような種類の人間ではないという事を、意識するかしないかはともかくどこかのタイミングで悟るのだと思う。そうして人は転落していくのだ。でも転落しながらも少しだけ運命に抗ってみる。どんな形にせよ誰かを助ければ何とかなるのではないか。良い行いをすれば良い人間になれるのではないか、と夢を見るのだ。本当はもう手遅れでどうにもならないのに。そんな儚さを描いたのが「バッド・ルーテナント」という映画だ。その主人公(刑事)と多々羅という刑事は非常に被るものがある。いやそれどころか本当にハーヴェイ・カイテルがモチーフなのではないかと思うほどによく似ている。だからとても心揺さぶられるものがあるのだ。
自分の欲望に忠実なだけのクソ野郎でも、心のどこかには良い人間でありたいと願う気持ちがあり、それはそれで決して嘘ではないのだ。もちろん誰にも理解されない事ではあるのだけれども。そういう人間の愚かさも同時に描かれているのが個人的にはとても良かったと思う。
ちなみに杏が母親を刺そうとするシーン。
自分だったら間違いなく刺してるんじゃないかと思った。
でも杏は刺せなかった。最後まで優しい子だったのだ。
そして母親を殺す代わりに彼女は自分を殺した。
それがまた悲しくてたまらなかったなあ。
ずーっと「あんのこと」を考えてしまう。
そういう意味では入江監督の術中にまんまとハマったのかも知れない。
心にいつまでも残る
子を授かりどんな気持ちで出産したのか?
その子は母に12歳で売春させられ、お金を稼ぎ15歳で覚醒剤をさせられる。
実話を元に出来た作品だが。
辛くてたまらない映画だった。
しばらく心の中にモヤモヤが出来ていたが、
いろいろ考えさせられる作品だ。
ある刑事と記者との出会いからこの環境から抜け出そうとする中で、学校や仕事、自立と助けられながら、前に進むも刑事の逮捕、コロナと自立への妨げてがやってくる。
思いと裏腹にいろんな重圧がやってくる。
歯を食いしばりながら見ていたが、なぜ?
こうなるの?と悲しくなるばかりだった。
この映画を見て、今の環境は当たり前じゃなく、もっと人を大切に助けられる事が出来たらと考えさせられた。
悲しくて心に刺さる作品。だからいろんな人に見てもらいたい映画だと思う。
すごい映画 今年の映画賞はもうこれで決まり!にしたい
実話を基にしているが、リアリティがすごい。ドキュメンタリーを観ているよう。魂の映画。娯楽性はない。
酷い状況の描写や悪い人間がいっぱい出てきて、感情移入して、嫌悪感が沸いて、切ない。物語に対しても、実際あった事実に対しても。
河合優実が本当の人、本物みたい。
河合優実や佐藤二朗はそれぞれ主演女優賞、主演男優賞を獲ってほしい。
リアリティを作り出した他の俳優さんも、嫌悪感を抱かざるを得ないが、素晴らしい。
最後の場面が、あんが<守った>子供の姿で終わるのが泣かせます。
監督(入江監督)も素晴らしい。
期待外れだった「ネメシス」と同じ監督とは思えない。
満点でないのは自分のせい。
座席を後ろにしてしまい、「あぁ、もっとスクリーンに近い席で観たかった」というのが心残りでした。
武蔵野館は前の席にすべきです。
それでもこれだけ衝撃が残った。
すばらしいです。
コロナ禍に実際に起きた出来事を元にした、ある少女の物語です。同じ事が起きない事を願うのは勿論の事ですが、この少女の事を忘れないで欲しいとのメッセージを感じました。
実話ベースのお話らしく、家庭内暴力・薬物使用・そして
体を売る少女のお話です。その主人公を河合優実が演じると
あって、予告編を観た時点から気になっていた作品です。
上映時間がなかなか合わずにいたのですが、なんとか観るこ
とができました。 ・_・ヨシ
軽い作品のハズ無いよなぁ と構えて観たのですが、その予想
を遥かに越える重い内容の作品でした… @_@ ; ヒィ
どんな内容かと言いますと。
祖母と母親と3人で暮らす香川杏(河合優実)。
10才の頃から万引き常習者となり不登校に。 うーん。
12才の頃から母親の紹介する男に体を売るように。うーん。
16才の頃から薬物に手を出すように。(強要?) うーん。
そしてとうとう、警察のご厄介になってしまう。
その時の担当警官が多々羅刑事(佐藤二朗)。
この刑事、言葉遣いが悪く口調も荒い。
どこでもタバコを吸うわ,やたらとツバを吐くわ と
一見してまともな警察官には見えない。 うーん。
そんな男なのだが、薬物使用から立ち直りたい人の為の
立ち直りを支援する組織(サルベージ)を運営してもいる。
杏もこのサルベージ組織に加入することになる。
そしてここを中心に、社会に適応するための行動をする。
・薬物使用からの脱却、
・母親のDVからの逃避
・介護士を目指して施設で実習に参加
介護士を目指す理由は、将来自分の手で祖母の介護ができるように
なりたいとの想いがあったかららしい。
このサルベージ組織には、桐野(稲垣吾郎)というジャーナリスト
も頻繁に顔を出していた。この記者も、多々羅刑事同様、杏に対して
好意的な対応を見せてくる人物なのだが。(…実は訳アリ)
理解者はさらに増える。
ある介護施設の経営者は、杏のプロフィールを知りながら、自分の
運営する介護施設に採用してくれた。
住む所も「訳あり女性を支援する団体」の紹介で、同じ境遇の女性
しか入れない、専用のアパートに入居できた。
さあ、これからが人生のリスタート。
…となるはずだったのだが… うーん。
2020年に世界的に流行し始めた新型コロナウイルス。
そのあおりを受けて非正規従業員の解雇。…杏も非正規だ。
働いている場所が母親に知られ
住んでいる幅所も母親に知られ
祖母がコロナだと母親に騙され
預かった男の子を人質にとられ
また体を売ってこいと強要されて… ああああ
少しずつ積み上げてきた、杏の新しい世界が崩れていく。
何もかもを失った杏に残された道は一つしか無かった。
というお話であります。
うーん。うーん。うーん。
…
コロナの初年。
未知のウイルスの出現で、世の中全体が奇怪しくなっていました。
その中で起きた「一人の少女の自死」という出来事です。
新聞の記事になったそうなのですが、全く知りませんでした。
その当時、杏を救う方法があったのかどうか。
今更ですが、「可哀相な女の子がいたという話」だけで済ませては
ダメな問題なのだとは思います。
杏のような少女が自分の周りにいたとして、自分には何ができるのか。
そう自問してみても、簡単に答えが出そうには無いです。
…けれど。
考え続けることは、止めてはいけないとも思います。・-・;
ずっしりと重いテーマの作品でした。
観て良かったかといえば、良かったのですがそれでは不正確。
” 観ておくべき作品を観ました ” そんな心境です。
◇あれこれ
■この作品を通して思うこと
記事になった内容や、杏の生きた背景などに関して
鑑賞後に色々と疑問なことが頭に浮かんできました。 ・_・
・どんな内容の新聞記事だったのだろうか?
・何がきっかけで記事になったのか。コロナの犠牲者として?
・子供を預けた母親は、多々羅をリークしたのと同じ女性?
・杏が付けていた日記は作品に反映しているのか?
杏を自死に追い込んだ一番の原因は、あの母親にあるとは思うの
ですが、あそこまでひどい母親になったのにも理由があるのでは?
と、そこも気になっています。
杏の父親は登場しません。なので想像するしかないのですが、
「母の杏に対するDV行為同様、父から母に対してもDVがあった」
そんな可能性もあるような気がします。
杏のお骨の行方が気になってます…。
結局のところ最後まで、
あの母から逃れられなかったのかな と思うと…。(涙)
■河合優実さん
「自分が杏なら、どんな表情や仕草をするだろう」
と考えながら杏を演じたと、パンフの記事にありました。
その結果は観てのとおりなのですが、杏の存在がリアリティを持って
感じられる演技でした。いや、演技に見えないリアルさでした。
これからの活躍に、ますます期待しちゃいます。
■河井青葉さん
杏の母親役を演じた女優さんです。
作品中では本当に憎ったらしい毒親を熱演されてました。
地の性格がこうだったらどうしよう(んな訳無いですよね)
なんて想いながらパンフを読んでいたら
「本当の河井さんは、役とは正反対のやさしい方です。
この役を演じて辛かったと思います」
との河合優実さんのコメント。
役者さんて色々と大変なんですね。としみじみ。
◇最後に
いくら考えても、杏にとって救いの無い終わりとしか思えず
半ば呆然としながら映画館を後にしました。-_-;
あ 「薬物中毒からは抜け出していた」という多々羅の一言
だけが、救いといえば救いです。T_T
その言葉が杏に届くことは無く、それが哀しい。
これだけ心をかき乱される作品、そうそう出会うものでは無い
気がします。
あの” 毒親 ” は、実の娘という金ヅルを失った後どうやって生き
続けていったのでしょう。そんなところまで気になってます。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
あんと市子
生まれた環境で〔親が全てと私見ですが 永遠ループするのでしょう)
こんなにも過酷で理不尽な場所に暮らすひとたちが・・・
すべてが性善説で成り立つことはないのでしょうか
記者が面会で語った
サルベージを作った刑事がいればあんは
助かったのでしょうか
ワタシはそう思えません
映画のストーリー上はそう見えたかもしれませんが
なにか一つのきっかけ、支えにヒビが入れば
あっという間に人間は崩れ去のではないでしょうか
この映画の見た帰りに満員電車に乗り合わせましたが
同じぐらいだけいろんな境遇に立つ人間をいるのではと
想像してしまいました
日本だけでなくたぶん全世界で同じことが
起こっているのでしょう
生き物が生きている限りなくならないのでしょうか
地道に地域で全うに活動されている方々に
感謝の念に堪えません
事件を知ること、忘れないこと
ずーっと考えてる…
どうすれば良かったんだろうって…
記者が刑事の記事を書くのは、至極まっとうだとは思うのだけど…
その後、刑事に変わって、なぜ杏ちゃんをフォローしてあげなかったの???
あんな暴力を振るう母親を実際に目にしているのに、
職場の大人たちは、どうして何かをしてあげなかったの???
と、誰かを責めてしまう自分がいる。
実際は、杏ちゃんの事件が5月で、元刑事の方が逮捕されのが10月だったみたいで、
この現実の時系列だと、やはり、コロナ禍によっての孤立化が大きく、
その他の彼女にしか判らない、いろいろな要因が重なってしまったのかなぁ…。
とは思いましたが、
今回の作品の流れでは、杏ちゃんの悲しい判断よりも、
刑事の逮捕が先に描かれていたので、
いちばんは、コロナ禍が大きな原因だったとしても、
カラオケに行ったり、ゴハンを食べたり、かなり近くで関わっていた大人なのに、
なんで気にかけてあげなかったのか...と、記者の中途半端な関わり方を責めてしまいます…。
また、鑑賞して1週間経ちましたが、河合優実さんの杏ちゃんが、ずーっと消えません。
パンフレットに書かれていましたが、事件を知ること、忘れずにいること、彼女の痛みをわかちあうこと、彼女の尊厳を守ること、そんな強い意思が、河合さんが、杏ちゃんを演じることに全身全霊で関わっていらしたんだな、と思いました。
思い出しても涙が出てきます。
そして、もっとひどい現実がどこかで起こっているのかと思うと、苦しくて仕方ないです…。
あんのこと
はい!ゴローさん!
川崎のTOHOシネマズのレイトショー。
年季を感じる据えた空気の中で観る
80年かけてゆっくりと
でも確実にぶっ壊された
我らの住む国、日本のお話。
本当の話をベースにした
ノンフィクション寄りのフィクションは
のっけから飛ばす飛ばす。
シャブ食ってキマッてる演技も
バットで不穏になってる演技も
毒親に洗脳されてなす術もなく従う演技も
他人に少しずつ心を開いていく演技も
生きる意味を見つけて目に力が戻ってくる演技も
拠り所を失って放心する演技も
何より自分に絶望する演技も
河合優実マジで凄過ぎる。この一言に尽きる。
毒親の出てくる映画は最近多いけど
ここまで胸糞悪いのはたぶん初めてで
ベスト毒親オブマイライフって感じ。
我が子を「ママ」と呼び執拗なまでに
彼女の人生を壊しにくる様子に
薄気味悪いを超えてシアターから
逃げ出したくなるほどの恐怖を感じた。
河合青葉マジで凄すぎる。この一言に尽きる。
脇を固める俳優陣も上手すぎるから
物語に没入してしまい
主人公の心の痛みをもろに食らって
最後はものすごい喪失感に襲われる。
刑事の二面生には人間の持つ
利己的な部分と利他的な部分の極端なジレンマを
記者の自己保身の言い訳には
このような事実があることを知っていても
ただ傍観しているだけの私たち観客すべてに対して
居心地の悪さを凝縮させてぶつけてくる。
つまりはだ。ゴローさんお前よ!
お前がしっかり杏に寄り添えよ!
お前の記事が居場所を奪ったんだから!
コロナなんて言い訳にならないからな!
死んでからぐだぐだ言っても
それは自己憐憫でしかないんだよ!
まじで!頼むよ!お前のせいだよある意味!
そしてそうならない人生で良かったと思う
私を含めた観客も最低なんだよな…
どうしたら良いのかは全然わからないから
とりあえず投票に行こう。
というわけで
お金払って嫌な気分になるのは
本当に意味がわからないけど
劇場公開時に映画館で観る映画以外は全部偽物
って誰かが言ってたので
どんな映画も頭から齧って骨まで残さず
しゃぶり尽くしていこうと思った次第。
保険証が無いんだよ
もっと離れた街へ逃げないとね
よく知っている赤羽近辺が舞台になっていてへえと思うのだが、貧困家庭で母親に虐待され続け12歳で売春させられ覚せい剤に溺れる21歳の女性がなんとか親から逃げて立ち直ろうとするもうまくいかなくてもがき苦しみでもけなげに抗い困難を乗り越え希望が見えたかという矢先にコロナで解雇され…というとことん悲惨で救いのないまるで映画のように馬鹿げたお話なんだけれど2020年の6月に起きた実話を基にしていてあなたの身近なところにも似た境遇の子は存在していますよという訴えかけがタイトルに込められているらしくよくこのテーマを真正面から撮り切ったなと感嘆するが何故に彼女を更生に導く重要な刑事役が佐藤二朗なんだろうか?以前「八つ墓村」で渥美清演じる金田一耕助を見た時と同様に申し訳ないけれどもクライマックスで彼の熱の入った演技が真剣になればなるほど笑かそうとしているようにしか見えなくて困った。導入のシーケンスでコミカルな佐藤的アドリブを許容しているだけに単にキャスティングミスだけではなく演出的にも失敗であろう。問題はあまりにも鬼畜の母親だが彼女が何故こうなってしまったのかをほんの少しでも描いてもらわないと受け入れることはできない。
社会とのつながりが深まり、世界を新しい感覚でとらえるきっかけになります。
▪️感想
現実にあった話でズシンと重かった。
自分が住む国で同じ時代に、あんのような人がいることをこの映画で知ることができた。
アンダーグラウンドな世界が日常のすぐ近くにある、あんの生きつらさにヒリヒリした。
▪️気づいたこと
序盤では、覚醒剤をやめて社会復帰していくあんの姿が描かれるが、面接や仕事が決まった時、住む場所が決まった時も常に刑事は見守ってくれた。仕事が決まった時に3人で祝杯をあげた時のささやかな喜びはとてもキラキラして、スクリーンに釘付けになった。
あんが、毒親とおばあちゃんを売春で養いながらシャブで気持ちをハイにする毎日から更生していくうちに、あんの内面が変化していったように見えた。受身で人形のような性格から、力強く前に進んでいく性格に変わっていったように見えた。
あんは、介護の仕事で自分が誰かの役に立っていることに社会とのつながりを感じただろうか。隣人から無理に押し付けられた子供の世話は、あんに生きがいを与えただろうか。
あんは自分と社会とのつながりを作るきっかけになった刑事が捕まったことは現実として受け入れたのかもしれない。つながりを断ちたい肉親とは、最後までつながりを断つことができなかったのに、つながりたい人達とは分断されてしまう。あんは、自分と社会がつながっても、すぐにほどけてしまうことに絶望して疲れてまい、死んだ方が楽だと感じたのだろうか。
▪️登場人物について
毒親の存在の痛々しさが、部屋の汚さや娘をママと呼ぶところ、キツイ言葉使いにも感じられた。
新聞記者の接し方は、適度な距離感を保っているように感じた。その分、あんが辛い時に声をかけにくかったのだろう。刑事には頼れたけど記者には頼れなかったのか。
刑事の女性への接し方には序盤から不穏でざわざわしたが、後半に「やっぱりそうか」となった。刑事は性犯罪を犯していたが、聖人ではないところが人間くさく、あんや他の薬物中毒者たちを救いたい気持ちは本気だったように感じた。
▪️おすすめしたい
「あんのこと」は1人の女性の現実を描いた映画です。この映画を観れば、社会とのつながりが深まり、世界を新しい感覚でとらえるきっかけになるので、多くの人に観てほしい、強くおすすめします。
予告で結末は察していたけど・・・。
あまりにせつない。
実話の部分はコロナ禍に親から虐待、売春強要などを受け自〇したという部分のようですが・・・。
正直コロナ対策は過剰過ぎたと思っているのですが、人と人との結びつきがあるからこそ人生というか。不要不急という言葉でどれだけの人々が苦しんだのか。
まあ、これに関してはそれぞれの価値観があるので、それはさておきとして。
本編の多々羅は、あんのことはそういう目では見てなかったのだろうか。
生き生きと薬を止められていることを語っていたみやびや、その他の女性に対して立場を利用して手を出していたと思うと・・・。
録音とかもあるから、陥れたい人物の狂言でもないんだよなあ・・・。
桐野は悔やんでいたけど、救われた女性もいるから難しい・・・。
最後にノートから破ったのが何かと思ったら・・・。
どうやって子供のアレルギー知ったのかな?と思ったけど、最後の希望があの子だったというのが。
見終わった後、しばらくぼーっと座っていたかったぐらい脱力感があった。
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