劇場公開日 2024年6月7日

「久々に打ちのめされた…。」あんのこと のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0久々に打ちのめされた…。

2024年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

静かな、静かな、映画だった。
まるで、洞窟の天井からしずくが一滴一滴落ちてきて、小さな盃からこぼれ落ちる寸前、表面張力がいつまでも保つか、そんな感じ。
気が付けば、あんという少女を祈るような気持ちで見守っていた。

彼女は、小学校もきちんと通っていない。
父親は不在で、母親から必要な愛情も養育も受けられないばかりか、搾取の対象にされている。
観察している限り、彼女より母親の方がよほど重症だ。
そして、彼女は、困ったときどうしたらいいか、それが根本的に分からない。
教えてもらっていないし、学ぶ機会も与えられていないから当然かもしれないが。

もう少しで、彼女の努力が実るかもしれないというところで、母親の言うことを信じて、気を許してしまう。
まるで、白雪姫のようだ。
けれど、王子様は現れず、白雪姫は眠り続けるエンディングに、暗澹たる気持ちになった。
…映画を観て、吐き気を覚えたのは、初めてかもしれない。

この後、「関心領域」を観るつもりだったけど、「あまろっく」に変更した。
明るい気持ちで帰途につけたので、正しい判断だった。

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のりたまちび