「最後実話だと思い出してからそれまでの健気さに涙」あんのこと サスペンス西島さんの映画レビュー(感想・評価)
最後実話だと思い出してからそれまでの健気さに涙
2024年劇場鑑賞44本目 傑作 75点
正直、1年通して2024年一番期待していた作品かもしれない
そんくらい河合優実の独壇場をリアルタイムで堪能できることを心待ちにしていた作品である
結論、素晴らしい完成度のドキュメンタリー再現映像の様だった
家庭内での取っ組み合いにちゃぶ台返し、その雑多な空間と綺麗なぶつかり合いじゃない再現性、それを表情や腕っぷしにフォーカスを当てる様な撮り方でなく、あたかも現場にいわさせてしまった配達員が何もできずに硬直してただ側から見ているかの様な目線での映像
序盤の河合優実の虚に目の奥がくすみきっている眼差しと全身から漂う負のオーラが拭えない猫背など、苦悩が伺える等身に脱帽
そこから、出会いや機会に恵まれて(一理あるが)自分の人生を生き始める
おばあちゃん子で、母への憎しみの皮肉なのか助けになりたいと介護職に触れてみること、ひょんな出来事から預かった赤子の為に奮闘する姿、一刻と終わりへ向かう年配の方への注力から、これからを生きる新たな命の為に自分の必要性を見出し生き始める力強さと終始感じる彼女の心優しさ故に、最後に迎える悲劇が、彼女が構築してきた生き甲斐とか生まれてきた新たな心の糸が分断された様で、新しい自分と新しい命(赤子)の丁寧に生き始めた印を書き記した日記やアレルギー一覧を燃やし灰にし、抱きしめながら命を断つあのシーンの一部始終は今年ベストの喪失感と衝撃である
彼女は2021年公開の由宇子の天秤から認識し、当時から作品は勿論、彼女の存在感に映画ファンが飛躍を確信し、予定調和でドラマの躍進や今作の抜擢・怪演である
2025年1月公開予定であり、由宇子の天秤ぶりに瀧内公美との共演作、敵での成長した姿楽しみである