「村上春樹の作品を「翻案」して作成したというこの作品、フランスの風味と独特な雰囲気が感じられる作品に仕上がっています。一見の価値ありです。」めくらやなぎと眠る女 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
村上春樹の作品を「翻案」して作成したというこの作品、フランスの風味と独特な雰囲気が感じられる作品に仕上がっています。一見の価値ありです。
村上春樹+フランス+アニメ作品。さて、どんな作品? と
作品紹介を読んでとても気になってしまいました。 ・_・
”すずめの戸締り”鑑賞後に教えて頂いた ” かえるくん ” も
登場するというので、ますます気になり鑑賞です。
というわけで、鑑賞してきた訳なのですが…
村上春樹の原作を少ししか知らないのに、この作品に関して
あれこれと書くのもおこがましいかなぁ…と、そんな気分にも
なって、レビュー書く筆がなかなか進みませんでした。はい。
ですが、そういう立場で鑑賞した者のレビューというのも、
それはそれで有りかな と思いなおしてupします。
鑑賞済みの人だったり、これから鑑賞する人だったり
何らかの参考(タシ?)になれば良いのですが…。 ・_・;
◇
原作となった短編小説が6作品あると、作品紹介文にありました。
それを、フランス人の監督が翻案してこの作品を作ったとの事。
翻案ということは、必ずしも原作通りには作ってませんよ との
事なのでしょう。
で、原作となった6作品は、以下の通りです。
どの作品が何の本に載っているかも調べたので、一応書いておきます。
…まあ、自分のためでもあります ・∇・ すぐ忘れるので…
※ここに書いた本以外にも掲載先はあるかと思います
6つの作品の中で、読んだことある作品は★をつけた3つです。
★「かえるくん、東京を救う」
(「神の子どもたちはみな踊る」新潮文庫)
「バースデイ・ガール」
(「バースデイ・ストーリーズ」中央公論)
★「かいつぶり」
(「カンガルー日和」 講談社文庫)
「ねじまき鳥と火曜日の女たち」
(「パン屋再襲撃」文春文庫)
★「UFOが釧路に降りる」
(「神の子どもたちはみな踊る」新潮文庫)
「めくらやなぎと、眠る女」
(「レキシントンの幽霊」文春文庫)
それぞれの短編を元にしたオムニバス形式のの作品であれば
読んだことの無い3作品が原案の分は理解できなくなるかな と
そんな心配をしていたのですが、杞憂でした。
杞憂というか、なんといいますか。
a「このストーリーはこの小説からだ」と分かる部分があって
b「その作品のその後の話は無かったハズ」と ”? ” な部分があって
c「全く知らない登場人物が登場した」となった部分もあって
aとbとcの各ストーリーが、分からないなりに「繋がる」感覚が
ずっと最後まで続いた感じがします。 なんか不思議な感覚。・-・
■「かえるくん」の原作では、かえるくんと共に闘った(ハズ)
の片桐の「その後」は描かれていません。(…よね? ←弱気)
その部分のストーリーが、監督の「翻案」の部分なのかと思って
いるのですが、ここだけの話、その膨らませた部分のおかげで
「納得感」が膨らんだストーリーになっていると感じました。
■「UFOが釧路に」も同様に、話が膨らんでいるようです。
小村の妻の話。原作では大地震(たぶん「阪神・淡路大震災」)
の後に様子が奇怪しくなり、実家に戻ってしまい離婚を切り出す
女性として登場します。
それがこの作品では、二十歳の頃のレストランで働くエピソード
が描かれます。これが原作には無いと思うのですが、その過去の
お話を追加して描いたことで、お話全体の奥行きも広がったよう
に感じます。
妻の過去の「願いごと」が何だったかは謎のまま終わりましたが、
それも含めてこの物語の世界が広がったような気がします。
※↑ 小村の妻の物語、私の未読の3作品の中に原案があったら
的外れです。その時はゴメンなさいです。
■「かいつぶり」は、どの部分がこの作品の原案に採用されている
のだろうと悩むくらい、ストーリーに関係無さそうに思えましたが
何か重要な部分を見落としていないだろうかと気になって仕方あり
ません。
◇
これは味読の3作品も読んでみないと、この作品の正しい感想は
書けないかも。そんなことを感じています。・_・;
※なので残り3作品の本も購入しました
で、この作品そのものが面白かったかどうか なのですが。独特の
キャラクターデザインとアニメーション演出もあって、飽きずに鑑賞
することができました。村上春樹の世界観のようなものを味わえた気
にはなっています。
観てどうだった? と訊かれれば
観て良かったですよ との回答になります。
◇あれこれ
■フランス風デザインのキャラクター
キャラクターのデザインはフランス風味なのに、お話の舞台が日本
であることに、終始微妙な違和感を感じながら鑑賞しました。・△・
けれど、見慣れた日本風のキャラクターが登場していたらそれも違
和感ありな気がします。
いっそのこと、舞台をフランスに移したらどうなるかな? なんてこ
とも考えてみたりしました。フランスに釧路はありませんが、北の
港町とでもすれば、それなりに辻褄は合うような気もします。
(いやいや、やはりダメかも)
■作品タイトル(原作含めて)
この作品のタイトル、というか原作のタイトルの先頭三文字。
差別用語に当たらないのか と心配したのですが、問題無しという
認識で問題ないのでしょうか。うーん。
それを調べる過程で、このタイトルの作品は「ノルウェイの森」と
深く関連しているらしいと知りました。これも未読です・∇・;;
原案となっている作品の残り3作品とノルウェイとを読んでから
この作品を観たら、また違った感想になるのでしょうか。
村上春樹は奥が深そうです。はい。
◇最後に
作品タイトルは「めくらやなぎと眠る女」な訳ですが゜ボスターに
登場している緑色の方、どうみても「かえる」です。
真の主役はぼくたちさ と、片桐とかえるさんが主張しているような
そんな気がしてきました。
あっ ” かえるくん ” です。 えへ
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。