「村上春樹とアニメーションは親和性があるかも」めくらやなぎと眠る女 kozukaさんの映画レビュー(感想・評価)
村上春樹とアニメーションは親和性があるかも
村上春樹の小説は映像化が難しい。
現実から飛躍した描写が多く、読み手はそのイメージを脳内でビジュアル化し物語を読み手が解釈する部分が多いからだ。
一方映像作品は監督が作品を解釈したビジュアルが提示されるわけであるから、小説の読み手の自由さが限定されてしまう。
ある意味村上作品の魅力が半減してしまうといってもいいのかもしれない。
だから、村上作品を原作にしつつ独自の解釈で映像化した作品の方が成功するのではと個人的には思っている。
イ・チャンドン監督の「バーニング」はその意味で成功した映画なのではないか。
濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」は独自性を入れながらも原作に忠実な部分もあり、中途半端に感じてしまう映画であった。
今作はアニメーションであり、生身の人間が演じていないのでリアルに限定されずイメージの飛躍が行われている。
監督の解釈したイメージではあるものの観るものによっても解釈が可能なので、村上作品には親和性があると感じた。
ただ、どうしても観ることは客観であるため退屈に感じるところは否めない。
6編の異なる短編を2011年の東日本大震災を背景に人間が抗えない不安や過去の記憶を軸に一本の線で繋げているところは見事。
「かえるくん」が唐突な村上春樹的物語のアイコンとして機能していてうまくバランスが取れた。
原作と映画の関係性として成功している映画だ。
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