「何といっても「かえるくん」が強烈。独特の雰囲気が魅力。震災がキーワード。」めくらやなぎと眠る女 ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
何といっても「かえるくん」が強烈。独特の雰囲気が魅力。震災がキーワード。
村上春樹原作、フランス・ルクセンブルク・カナダ・オランダ合作のアニメーション。
日本にはないような独特の絵柄とテンポが魅力的。
「ライブ・アニメーション」と名づけられた実写撮影をアニメ化するという手法で撮られた。
期せずして、先日公開の「化け猫あんずちゃん」も、「ロトスコープ」と言う似た手法で作られていました。
本作の原作は一切未読ですが、何か面白かった。
とくに、かえるくんが謎。
突然現れた巨大なかえるくん。
かえるくんの表現は実写では描写が難しい。
アニメならではの表現で可能になった。
原語では「flog」と言っていて、「Mr.flog」と言うと必ず「flog」と言えと怒るのが可笑しい。
親しみがあるのに、「あの最期」が悪夢で恐ろしい。
追伸:
最初、原語版(英語)を観たのですが、あとからパンフレットを読んで、改めて日本語版を観たくなり、鑑賞しました!
結果、やっぱり、母国語の方が刺さる!
原語版の方は何か届かないような、ふわっとしたような感じで過ぎていったのですが、日本語版で日本人の演技で聞くとしっかりと観れた気がします。
アニメだったことと、あの絵柄だったことが大きいと思います。
特に、やっぱりカエル君のインパクトが強い。
古谷寛治のニュアンスが絶妙。
対する片桐の塚本晋也もリアルな名演。
柄本明のオーナーのキャラクターも素晴らしかった。
日本の小説の英訳を読んだ監督がフランス映画として製作。
日本人役をカナダ人で演じさせ、その実写映像をアニメで日本人として描き、
英語版、フランス語版でアテレコされた後、日本語吹き替え版が作られたという。
さらに日本語吹き替え版の録音には、日本語版演出者(日本人)だけでなく、オリジナル版の監督も同席したという複雑な過程を知るとさらに面白い。(英語とフランス語のカエル君は監督自ら声をあてた!)
☆0.5追加しました。