劇場公開日 2024年3月1日

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「お互いを思う気持ちがすれ違う・・不器用な父親と娘」水平線 しのぶさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0お互いを思う気持ちがすれ違う・・不器用な父親と娘

2024年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

東日本大震災で大好きな母を津波で亡くした娘と大切な妻を亡くした父親。お互いがお互いを思いやりすぎて自分自身の心の奥底に沈む切なさや寂しさを口に出来ないで居る。そんな日々が積み重なり増々ぎこちなくなって行く二人。
ぶっきらぼうだけど強く娘を思う父親の真吾にピエール瀧、父を一人にすることが出来ないでいる少し心に影を持つ娘の奈生に栗林藍希。

言いたいことが有るのに言葉に出来ないもどかしさ、言葉にすることが怖くてたまらない二人の関係をピエール瀧と栗林藍希がぴったりと納まっていたと思う。
自分だけで考えていても、言葉にして思いを伝えて初めてお互いの事が分かり合えるってこと。頭では理解していても感情がついて行かない事って有る有ると思いながら観ていた。終盤でようやくお互いの胸の内を吐き出すことで、ずっと抱えていた苛立ちや辛さから二人が解放されて行く。なにも派手さの無い演出で大きな出来事も無く話が進んで行くところが、かえって現実的で親近感が湧いた作品だった。

しばらくぶりのピエール瀧。存在感は大きい。映画界にはやはり無くてはならない俳優さんと改めて思う。

しのぶ