黒衣人のレビュー・感想・評価

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5.0年老いた音楽家が全身体で人生を表す

2023年11月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

東京フィルメックスで上映。
ワンビン監督がパリの古い劇場に、今はヨーロッパに暮らす音楽家である中国人の一人語りのかたちで、彼の国家や党に収奪された苦しみの半生を描く。
丁寧に強く怒りを抑えることなく、語られる言葉も強いが、それを彼が作曲し音楽とした、その音に込めた強い思想怒り訴えの反響残響、言葉をさえぎるほどの音の海に放り出され圧倒される。
全裸ですべてを曝け出し全てを告発する老いた音楽家、若い時の、苦しい体験を体で表現する。
円形の劇場。
常に彼の肉体を捉え魂を引き寄せるカメラ。

監督によると三日間しか劇場が使えないという制約の下、綿密にプランされた作品でもあり、年老いた世代魯迅を引く世代である音楽家が魯迅の黒衣人のフレーズを持ってきてそれがタイトルになってあるという。

見ている穂は瞬きもできないような緊張。体の動き、高揚したり抑制したりする声、正確にそして言葉を吐き出すようにまたは映像で街の人々を見せつけるようにすら思えるピアノの音、

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