「ランタンには願い事を書いて上げるんだ」青春18×2 君へと続く道 Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
ランタンには願い事を書いて上げるんだ
JRの青春18切符みたいなタイトルで、あまり興味がそそられなかったが、結構皆さんの評価が高いのでTOHOシネマズ新宿で「青春18✕2 君へと続く道」を。
本作では、カメラが5秒以上静止するカットがほぼ無い(測った訳ではないから感覚だが)。カメラは微妙にパンしたり、ズームしたり完全に固定される事がない。唯一長回し(と言っても10数秒か)だったのは二人が列車の中で、並んでミスチルを聞くシーンを正面から捉えたカットである。
短いカットで繋がれているが、忙しなさを感じる訳ではなく、編集が上手い。
日本編と台湾編も上手くカットバックされており、日本の雪国の風景の美しさが充分に捉えられている。
18歳のジミー(シュー・グァンハン)は台南のカラオケ店でバイトをしている受験生だが、大学合格発表の日に日本から来たバックパッカーのアミ(清原果耶)が財布を落としてカラオケ店で働きたいとやって来る。日本人オーナーは彼女を雇い、ジミーを教育係に指名する。アミは持ち前の天真爛漫な明るさで人気となり、カラオケ店の客も増える。
ジミーは4歳年上のアミに恋心を抱き、アミもジミーに心引かれる。そんなジミーの気持ちを察したカラオケ店の同僚が日本映画のチケットをくれ、二人はデートで「Love Letter」を一緒に観る。映画が終わった時、アミは号泣していた。
突然、アミの帰国が決まりジミーは落ち込むが、最後にランタン祭りにアミを誘う。
一緒にランタンを上げた二人は約束をする。
アミは帰国し、ジミーは台北の大学に進学する。大学の同級生とゲーム会社を立ち上げ大学は卒業せずにゲームを作る。ゲームが完成してジミーは手紙をくれたアミに電話をし日本に行きたいと伝えるが、アミは彼氏とブラジルへ旅に行くと伝え電話を切る。
ジミーには25歳の時に彼女が出来るが、仕事優先の彼について行けず別れてしまう。彼は仕事に打ち込む。
出逢いから18年後、経営の仕方からジミーは自分の会社から追われてしまう。
最後の仕事で一緒に会社を起ち上げた友人と東京を訪れるが、その後アミがくれた手紙を手に日本国内の旅にでる。
鎌倉、松本、長岡。長岡のネットカフェの店員(黒木華)にランタン祭りに連れて行ってもらい、ランタンを上げ、アミとランタンを上げた事が思い出される。
そしてアミの生まれ故郷の只見へ。
アミの家でアミの母から台湾で描いた画集を見せられる。アミは心臓の病で亡くなっていた。ジミーにブラジルへ行くと電話で言った時に彼女は既に病院のベッドの上だったのだ。ジミーはアミが亡くなった事を知っていたが、家を訪ねて来たのだ。
カラオケ店でジミーに隠れて飲んでいた薬、日本からかかって来た電話、台南で一緒に上げたランタン(その時アミは涙を流していた)。一度出てきたそれらのシーンの別アングルのカット。画集を見ながら涙を流すジミー。
台湾に帰った彼は、長い人生の新たなるスタートを切るのだった。
18歳と36歳を演じたシュー・グァンハンと清原果耶が実に良かった。脇の人たちも皆好演だった。
何千本も映画を観ていても、映画(監督や俳優もそうだが)には相性と言うものがあって、観ていない作品がある。私のように映画館で観る事にこだわっている者にはなおさらだ。
私の場合、この映画に出てくる「Love Letter」である。きっと「Love Letter」を観ているか、いないかで本作の評価が変わってくるかも知れない。(なんで観てないかな)
コメントありがとうございました。
おっしゃる通り、自分が経験すると、シーンがとてもリアルになりますね。
おかげ様で、映画館にも行かれるようになりました。
コメントそして共感ありがとうございます。
岩井俊二監督の「ラブレター」
今回2度目を観ました。
ほとんど忘れてました。
感動の映画を2人で観た・・・、特に観なければ、
観てればの違いは無かったしがします。
共通するのは、恋人を失くしてる事。
雪国を訪ねること。
その位でした。
でも今回「ラブレター」を観て、とても感動したので、観て良かったです。
ひでちゃぴんさん
おっしゃるとおりです。例え「Love Letter」を観ていなくても、貴レビューのタイトルのとおりの内容の本作の価値が下るものではありません。
ただ、アミと一緒に観た「Love Letter」へのジミーのこだわりが、より理解出来たのだと思いました。
共感有難うございます。
レビューに書いたとおり、私も「Love Letter」を観ておりません。しかし、色々な物を読むと正に本作はリスペクトと言うか、オマージュと言うか「Love Letter」に寄り添った映画なのだと言う事が判りました。
神戸、松本、手紙、みんな「Love Letter」なのですね。
共感&コメントありがとうございます!「Love Letter」へのオマージュがあるにせよ、本作だけ鑑賞しても充分に良い映画だと思いましたので、これはこれで映画のあるべき姿を体現しているなぁと感じました。