レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)

劇場公開日:2024年1月13日

解説・あらすじ

頭部を強打してヒプナゴジア(半覚醒)に陥った元映画監督が、脳内でアクション映画の世界を駆けめぐる姿を描いたフィリピン発の奇想天外コメディ。

かつてフィリピン映画界で活躍した女性監督レオノール・レイエスは、引退して72歳になり、借金や息子との関係悪化に悩む日々を送っていた。ある日、新聞で脚本コンクールの記事を目にした彼女は、未完だったアクション映画の脚本に取り組むことに。そんな矢先、レオノールは落ちてきたテレビに頭をぶつけてヒプナゴジアに陥り、脚本の世界に入り込んでしまう。息子は必死に母を現実の世界へ引き戻そうとするが……。

フィリピン人として初めて英国ロイヤル・ナショナル・シアターで公演を行った名優シェイラ・フランシスコが、主人公レオノールをチャーミングかつエネルギッシュに演じた。監督・脚本はマニラ出身の新鋭マルティカ・ラミレス・エスコバル。2022年サンダンス映画祭ワールド・シネマ(ドラマ)部門で審査員特別賞を受賞。

2022年製作/99分/G/フィリピン
原題または英題:Ang Pagbabalik ng Kwago
配給:Foggy、アークエンタテインメント
劇場公開日:2024年1月13日

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5予算の少なさを奇想と映画愛で補った好作

2024年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

多くの過去作を連想させる映画だ。脳内世界と現実を行き来したり、創作世界と現実が干渉しあったりする感じは、当然ながら「脳内ニューヨーク」というずばりの邦題の監督作もあるチャーリー・カウフマンが脚本を書いた「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」「エターナル・サンシャイン」や、ウィル・フェレル主演作「主人公は僕だった」などを思い出させる。あるいは、アクションやサスペンスではめったに主人公にならない太めの中高年女性が、災難や事件、家族のトラブルなどに直面するという点では、同じフィリピン映画の「ローサは密告された」のほか、昨年日本公開のメキシコ映画「母の聖戦」などに近い。

フィリピンで1980年代頃に多数製作されたB級アクション映画のオマージュにもなっているそうで、あいにく該当するような作品は観ていないものの、同じ時期の邦画もそうだったように、おそらくハリウッド発や香港発の娯楽活劇の影響を受けた低予算映画が量産されたのだろうなということが本作から間接的に伝わってくる。監督・脚本のマルティカ・ラミレス・エスコバルは1992年生まれの31歳だそうで、若い世代の女性が30~40年も前の活劇に刺激を受けている点も感慨深い。

不条理な笑いもいくつかあって、レオノールの脚本の世界におけるヒーローのロンワルドがストリートで唐突に踊り出す場面が特におかしかった。

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高森 郁哉

4.5ものうまれいずるばしょ

2025年7月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

幸せ

斬新

フィリピン映画見たのは初めてかも。
ヒプナゴジアは半覚醒で現実と非現実の入り混じるアイディアが浮かびやすい脳の状態とか。だから混じる現実と虚構、ゆえの劇中劇中劇。
つまりファンタジーも極まってのデタラメのようにも感じるのだが、最後はなぜかあったかい気持ちにさせられる不思議。

一番ヤラレタのは、あえて大半を古臭いトーンで撮り続けていること。
この最後の劇中劇が剥げたとたん、本作の真価に触れる。
もの生み出す時のヤバイ感じや、自由奔放さや、デタラメ感が、このふわっとしたつかみどころのなさがとても良く感じ取れる。
というのも主人公みたくモノ書く趣味がある者としては、自分で登場人物を殺したり、痛めつけたりしながら、自分でショックを受けたり喜々としたりしているんだから、あの変性意識、つまりヒプナゴジアっぽいところはちょっと狂気だ。

ともかく名作、とは言い切れないが、確かと記憶に残る1本となった。

あ!! 分かった!!!
最後になぜかあったかい気持ちになるアレは、
フェリーニ「81/2」のラストへのオマージュかもしれない!

さらにどうやら若手女性監督作品で、古臭さは80年代に流行った作品のパロらしい。そこに作者が出入りするということはこれ、監督が監督になった原体験、影響を受けた作品へのサンクス映画なのでは。だから最後のあったか幕引きなのでは。
これはすこぶるエモいというやつじゃないか!

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N.river

4.0「短気は損気」 映画愛 溢れる作品だよ

2025年1月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

幸せ

Amazonプライム・ビデオでレコメンされて映画「レオノールの脳内ヒプナゴジア」やっと観れたよ
一昨年の東京国際映祭でスケジュールが合わなくて観そびれた、フィリピンの若手女流監督の作品

主人公のおばあちゃんがスンゲーかわいいの〜😍
監督をはじめ 携わるみんなが映画作り楽しんでるのがよく伝わってきて、こちらも楽しかったなぁ♪ハッと驚く新鮮なカットも散見
ラストのクレジットの街の風景は監督の街の人々と映画への愛が溢れかえって、何故だろう切なく愛おしくなりました

もし観る覚悟あるならば、序盤で呆れて投げ出さないことをオススメします
黒沢清監督作品とも共通の楽しみ方で、脳内補完をかけながら、こちらから世界観に合わせながら没入😹

アジアの作品を観る時はね 頑固はダメ
文化やさまざまな背景の違いがあるからね
出来る限りアタマ柔らかくね受け入れて鑑賞
すると、あ〜ら不思議 段々楽しくなってくるよ😚
「短気は損気」とはよく言ったものだ

僕は好きだなこの映画🎬

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あさちゃん

3.0ガチャガチャ

2024年5月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

仕事に邁進した母の子への後悔を脳内マルチバースでやり直すーーつまり『エブエブ』ではある。そういうことをやろうとしていると分かるまでがけっこうダルく、分かるところまで辿り着けるとけっこう面白い。/お母さんが作ろうとしていたドラマ、けっこう定番のヒーロー・ヒロイン物なのだが、あれでもヘンテコ母さんと言われるようなものなのだろうか。

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ouosou

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