IL VOLO in 清水寺 京都世界遺産ライブのレビュー・感想・評価
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歌声を「体感」する喜びを
普段、音楽を聞くといえばヘッドホンかイヤホンか。ライブに行くほどではない自分には、「歌を全身で聴く」という衝撃の体験を味わいました。映画館の音響システムで、全身に浴びせかける素晴らしい歌声。新世代ということで、記憶にある3大テノールの面々からグッと若返った三者三様の歌声。でも、その歌声の曲線美に伝統を感じます。そして、イケメン振りもまた三様w 歌う狭間で交わされるちょっとしたやり取りが格好いいですよね。
普通の映画と違ってお話など無く、ただひたすら歌を聴くだけ。料金はお高め。でも私は損をしたなど思っていません。いやあ、素晴らしかった。
荘厳ライブ
イタリアの人気オーディション番組をきっかけにヴォーカル・ユニットを2009年に結成し、当時、14、5歳という若さで、芳醇な歌声を披露し、多くの人々を驚かせた2人のテナーと1人のバリトンの3人組イル・ヴォーロ(イタリア語: Il Volo、意味は「飛翔」)がなんと京都清水寺の天空の舞台でライブ開催、コロナ禍で無観客だったのは勿体ないが、歌声の素晴らしさは勿論だがドローン撮影を交えた画期的な映像も素晴らしかった。
主な歌唱・演奏は
1. 「誰も寝てはならぬ」(歌劇「トゥーランドット」より)
2. 「グラナダ」
3. 「広がりゆく愛」
4. 「マッティナータ」
5. 「人知れぬ涙」
6. 「禁じられた音楽」
7. 「春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか」
8. 「忘れな草」(ドイツ映画主題歌)
9. 「帰れソレントへ」
10.「カルメン ~ 第1幕への前奏曲」
11.「カタリ・カタリ」
12.「ノッテ・ステラータ(星降る夜)」
13.「コンラディアナ」
14.「女心の歌」
15.「マリア」(ウェストサイドストーリー)
16.「マイ・ウェイ」
17.「恋する兵士」
18.「カヴァレリア・ルスティカーナ~間奏曲」
19.「空想の中で」
20.「フニクリ・フニクラ」
21.「恋のアランフェス」
22.「星は光りぬ」(歌劇「トスカ」より)
23.「オー・ソレ・ミオ」
24.「乾杯の歌」(ヴェルディ:歌劇「椿姫」より)
25.「グランデ・アモーレ」
イル・ヴォーロさんたちは清水寺でのライブについて、「僕たちにとって最も印象に残ったのは、清水寺という場所の厳粛さでした。また、僧侶の皆様が僕たちを温かく歓迎してくださったことが強く心に残っています。僕たちの音楽文化であるベルカント(美しい響きの声)を日本の文化の中でも、世界遺産という聖なる寺院で演奏できたことは、僕たちの15年の活動の中で一番強烈な経験になりました」と語っていた。
パシフィックフィルハーモニア東京の演奏は良いがミキシングがちょっと高音よりなのが気になった。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 至高の92分。もっと聴いていたい。
最高の素材でも演出次第で…?
映画が始まっていきなり「誰も寝てはならぬ」を熱唱。すごい歌唱で圧倒される。文句なし5点満点です。しかし映画館では音が割れ気味、ちょっと残念。ただそれをも忘れてしまう熱唱が続く。
しかしちょっと待って。今回は清水寺の舞台からの無観客ライブ。無観客なら無観客ならではの演出も可能。
映像の多くは一人のバストアップと三人の全身映像そしてドローンからの遠写。変化に乏しい。夜の遠写だから仕方ない面もあるが画像がクリアではない。
無観客だから観客の拍手も無い。しかしこれが都合が悪い。曲が終わって拍手で曲を味わい余韻に浸る間もくれず、いきなり次の曲が始まる。
映画のホームページでは幻想的な写真が掲載されていた。そこまで幻想的な演出があったのか? ドローンはほぼ静止の映像。もっとドローンを飛び回らせたり、プロジェクションマッピングを駆使したり、清水寺でしか出来ない唯一無二の映像を作って欲しかった。
映画なのだから映像を止めて、本堂からだけでなく、仁王門前や音羽の滝から歌っても良い。これなら清水寺らしさが出る。許可されないのなら、清水寺である必要がない、違う場所で行えばよい。
それでも清水寺なら、公演前にメンバーが清水寺周辺を散策する映像を入れてしまっても良い。
どんなに素晴らしい料理でも、次から次へと運ばれ、味わう余裕も無く、会話も無く、味変も無かったらどうなのだろう。
素晴らしさと、不親切さと。
映画館の極上の音響設備で聴く、極上のテノール三重唱。
選曲も、オペラ、歌曲に詳しくない自分でも聴いたことのある名曲ばかり(おそらく全てが)。
十分、当初の目的は達成できたと思う。
詳しくない自分にはやはり馴染みのある「誰も寝てはならぬ」「オー・ソレ・ミオ」「マイ・ウェイ」などが特に響いた。
ただ一点、唯一で最大の難点がテロップの少なさ。無さ。
音楽に没入させるためか理由は定かでないが、最初の歌手名紹介(一度きり)、それぞれ曲の始まりに曲名表示、あとはこの映像が作られた趣旨、あとはタイトルなど、ここくらいにしかテロップがなかった。
残りの歌唱中は全く歌詞表示も、その和訳表示も一切なし。ゼロ。
20人弱のまばらな場内の何人が全ての曲目の歌詞を知って聴いているのか。もしくはイタリア語、英語を解って聞き取れるのか。
ほとんどの曲目の歌詞の意味を知らない自分としては、歌詞も含めて曲の全てを隅々まで味わいたかったのに、歌詞の意味を音楽と歌手の表情から頑張って汲み取るしかなかった。エスパーでなければ難しい。
何か意図あってのことだろうとは思うが、不親切であるとしか感じられなかった。よって星一つ減点。
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