「人生観」年少日記 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
人生観
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主人公チェンは、お兄さんを小学生時代に亡くしているのだが、
そもそも前半は、このお兄さん=主人公的なミスリードを誘う描かれ方をしていて
弟=主人公だとわかったときに、えっ!?と思った。
いる?ここでそのトリッキーさ。ミステリーじゃないんだからいらないんじゃないかな。
と思った。
チェンは、お兄さんを助けることを一切せずに無関係・無関心であった自身の佇まいを
悔い、学校の先生になって生徒たちと真摯に向き合うようになる。
それは、今またお兄さんの日記に触れることで、過去をなぞるように追体験したうえでの
決断だろう。人生観を変えたのだと思う。
チェンもまた褒められたものではないのだ。妻が妊娠したが、良い父親になる自信がないとかで
堕胎させてしまう。命の大切さを兄から学んだのではなかったか。
こういう感覚がわからず、主人公には全く共感できないし、感情移入もできない複雑な人だった。
というのも、家庭環境が凄まじく、兄に対する父母のアタリの強いこと。
父親による体罰はふつうに行われているし、母親も精神的に兄を追い詰めていくのだから、
こういう環境にあっては、そりゃチェン自身もまともではいられないのだろう。
だって兄は自死に追い込まれたのだから。
終始不穏な空気感が漂う映画ではあるが、ラストのチェンの佇まいには少しだけ未来への希望を感じた。
チェンの奥さん役の俳優が魅力的だったのが、私個人としては救いであった。
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