青春の反抗のレビュー・感想・評価
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かなり特殊な観点での見方だとは思うものの、得られるものは多い
今年96本目(合計1,188本目/今月(2024年3月度)14本目)。
(前の作品 「PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて」、次の作品「オーシャン・クライシス~沈黙の核弾頭~ 」)
まず当方は行政書士の資格持ちで、その観点で見に行きました。
台湾の民主化運動等で起きた大学での学生運動を描く趣旨の映画です。
日本ではこの点は学問の自由や表現の自由ほかでの観点になりますが、大学と結びついた場合によく知られる判例は東大ポポロ事件や、しいていえば富山大学事件(やや趣は異なる)程度ですが、これらの事件が学生運動に一定の「制限を与えた」のではなく、実際問題、学生運動を普通に行う社会ではなくなったこともあり、これら判例は(法律系資格の試験の対策として)学習しますが、「現在の日本では」社会変化においてこうした学生運動がほぼ見られない事情から、判例学習と実際の乖離が激しいところです。
ただ、文化として似る台湾や韓国においても、日本と時代が遅れてやってきた学生運動に関しては、日本のこの判例の述べるところ(大学において、学生がもっぱら政治的活動をする場合は学生は学問の自由を主張できない、というもの)は趣旨が妥当します。映画で描かれている学生運動も、根本の背景はここにあります(および、美術大学という性質上、「何をもって成績をつけるか」が決まらない(決められないし、司法機関が介入することもできないし、するべきでもない)という事情があるのも確かで、ここから起きるトラブルは、やや富山大学事件と趣旨が似ている部分があります(部分的に))。日本で一時期起きた学生運動が韓国や台湾において少し遅れてあらわれた、というに過ぎないといったところです。
こうした事情から、「(美術系の)大学の大学生はどのような学生運動をなしうるか」「(美大ということを考えて)何をもって透明で公正公明な成績をつけるのか」という、日本では経験したことがあることがほぼ反映されて出てくるあたり、こうした論点で争いがあることは隣国であるという以上に「普遍的にどこでも起こりうる事項」なのであろう、といったところです(実際、フランス映画ほかでも不思議ではない)。
映画のストーリーはこうした「日本との関連」については触れられず、現在の日本ではおよそもってみなくなった「学生運動」にストーリーの大半が寄せられているので、理解のしにくい点があります。典型的に「観る人をある程度想定している」(ほぼほぼ憲法論を語る映画というような趣)といった感じはします。
こうした事情もあるので、誰にでもおすすめできるわけではないですが(実際、映画に娯楽性を求める立場であるなら、この映画はどう見てもおすすめはできない)、私には良かったな、といったところです。
「日本ではおよそもって見ることがなくなった、大学での学生運動」が少し遅れてあらわれた韓国や台湾において、どのような主張、運動がなされたのか、といった、多大に学習映画的要素のある映画ですが、個人的には良かったところです。
採点に関しては以下が少し気になりましたが、フルスコア切り上げ(4.8以上あるため)としています。
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(減点0.2/「"藝"術」の表現について) ※映画内の記述と字幕との乖離
この字は今でも日本では「あえて」このまま使う例は少なからず見られますが、日本の公教育である漢字教育ではこの字は「芸」の字に当てはめられます。音読みで「げい」と読みます。この字への書き換えは、戦後の漢字制限の中で行われたものですが、こうした特殊な事情があるので、実際に「芸」という字に「特定の意味」があるわけではありません(漢字は部首分類を頂点にして、ある程度漢字の意味や読みが類推できるのがその特徴ですが、このように簡略化された経緯がある漢字はその推測ができません)。
この点は、まぁ確かに「藝」の字は今でも使われることはあるし、その字の書き換えが「芸」であることはある程度知っている方も多いのかなという気はしますが、漢字の書き換えといった経緯が存在する字で、ある程度字幕上配慮が欲しかったです。
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(減点なし/参考/「芸」の字について(同形漢字で違う字って何?)
この字は先に書いた通り、「藝」の字を簡略化した字で、「げい」と読み、今では「芸術」といった語で使います。
しかし、この字は「別字」として比較的古い時代、それも奈良時代からある字で、奈良時代に初めて図書館が設置されますが、これは「芸亭」と呼ばれるものですが、これは「うんてい」と読みます。つまり「うん」と読むわけです。
つまり、「別の漢字であるものが、一つが漢字の簡略化を起こしたために従来存在した字と字形が重複した」例の有名な例です。実際に漢字変換ソフトほかでも区別ができないので(同じ漢字なのに違う字、などという「謎の日本語」は大半の人はわからない)、この点は実質的にスルー扱いですが、漢字一つとっても色々な経緯があります(このような漢字の字形衝突をさけるため、「芸術」のほうをあえて「藝術」と書くことがあるのは、この問題の回避もひとつあります)。
※ 後者の字は、漢字検定上は1級扱いですが、実際に使うことがきわめて少ない上に、漢字の書き取りをさせても「同じ漢字で違う字」であるので「漢字の書き取りにもできない」という特殊な漢字だったりします(出しても、どちらの字を書いたのか採点上区別がつかない)。
あっちもこっちもって作ろうとして、 中途半端になってしまった感が否...
あっちもこっちもって作ろうとして、
中途半端になってしまった感が否めない
キャスティングとか役者産は良かった
自由の不自由さ
1994年台北の大学の美術科の学生たちが職権乱用で不当に生徒を評価をする学科主任を解任させるべく抗議活動をする話。
1987年に戒厳令が解除され自由な体制になった筈なのに、意にそぐわない学生の評価を貶める学科主任と養護する学校を相手に学生たちがストライキを起こすけど…。
学生VS学校というより、学生同士のゴタゴタが強いし、学生たちの主張や行動は良かったものの、折角マスコミを入れての学校との対話でもロジカルに話さず感情論のヤジを飛ばす学生たち。
そこはリーダーがしっかりしないとと思ったけれど一切そういう流れにはならず。
ある程度はわかるけれど、結局は先導するカップルのすれ違いと、そこに巻き込まれた主人公をみせる恋愛映画かよという感じで自分にはハマらなかった。
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