マリア(2023)
解説
2023年・第36回東京国際映画祭「アジアの未来」部門に出品され、同部門の作品賞を受賞。
2023年製作/97分/イラン
原題または英題:Maria
2023年・第36回東京国際映画祭「アジアの未来」部門に出品され、同部門の作品賞を受賞。
2023年製作/97分/イラン
原題または英題:Maria
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2024年12月10日イラン社会が国民、特に女性に強いる抑圧を描く作品はここ数年で急激に増えていて、今映画祭に出品された『タタミ』、『ロクサナ』もそれに該当するが、本作は正にその典型例。「そんなこと」で女性が虐げられてしまうのか…という哀しさ。余談だが『タタミ』で共同監督兼女優を務めたイラン出身のザル・アミールは、「そんなこと」が原因で投獄寸前まで陥り、結果的に亡命を余儀なくされている。でも本作で描かれる「そんなこと」は、実は日本を含む諸外国でも起こり得る事だったりする。
劇中で『裏窓』のポスターが貼られていたり、『めまい』を想起させるストーリーからヒッチコックの影響を受けているのかと思ったら、上映後のQ&Aでそれを指摘する質問をされたようで、監督が『めまい』ファンだという事で納得。あと性別は違えど、双子の男子と赤いドレスの女子が出てくるあたりに『シャイニング』オマージュを感じたのは自分だけか。
強大な権威が市井の人々にもたらす抑圧と支配。それが元で生まれる「そんなこと」は、本来ならあってはならない。でも、それをバネとして表現者は行動し、こうした訴求力がある映画が生まれる。拘束されようと収監されようと、権威に噛みつく映画を撮り続けるジャファール・パナヒのように、イランは骨太な映画人を多数生む土壌となっている。