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映画レビュー
粗削りながら骨太が故に
ストーリー、演出、演技が粗削りながら骨太が故に、映画を愛して止まない私達がいつのまにか忘れかけていた、映画の持つ説得力や魅力を強烈に魂に直に語りかけてくるグランプリに相応しい素晴らしい作品でした🐈
ペマ・ツェテン監督の夭逝がまことに悔やまれます🥲
幻想的なものと現実的なものの絡み合い
TIFF2023コンペティション上映
動物をリアルに表現しきるのは難しいと思いますが、理想的で美しい表現を保ちつつ非常にリアリティを感じたので、なかなか見応えがありました。むしろ人と人とのやりとりに違和感を感じてしまいましたが、それが滑稽さを生み出していて、見所のひとつだった気がします。
中国とチベット語が飛び交っていたようですが、どこがどういう言語だったのかしっかり把握できなかったので、その辺で面白さが少し削がれている気が─、何となくですが・・・
人と動物のかかわり合いというものは、いつの世もなかなか深く難しいテーマなのかもしれません。なので、このように非常にうまい具合に見せられると、相当引きつけられてしまいます。
チベットの冬景色と雪豹が美しい
東京国際映画祭で鑑賞。監督のペマ・ツェテン氏が今年5月に亡くなり最後の作品になったとのこと、通常きっと見ることができない作品だけに、見られて良かった。
チベットの山奥でおそらく日常である些細な?出来事を通して雪豹との共生を描く、美しい作品。山頂からの景色、真っ白な湖とどこまでも続く雪氷原が綺麗で、山の冷たい空気が伝わってくるようだった。
<あらすじ>
チベットの山の上の村で暮らす牧畜民一家が育てている羊の囲いにある日雪豹が侵入し九匹も殺してしまった。血だけ吸ってそれに酔っているところを発見し、そのまま囲いに閉じ込める。ただ雪豹は一級保護指定で捕まえても殺してもいけない。
兄は一頭1000元の損失を補填されなければ許せないと怒りまくり、逃がすことを許さない。父は昔から神聖な動物として扱ってきたものの息子を説得することができない。弟は雪豹法師とよばれ、雪豹の写真家でもある僧侶。その昔雪豹と命の助け合いをした経験がある。
珍しい雪豹を映しにテレビ局の取材、逃すように説得する役人、警察が次々とやってきて。。ドタバタしつつ美しい雪豹の姿や日常の食事などと共に描かれる。
羊を殺されて、凄まじい勢いでずっと怒っている兄を演じたジンパさん、は監督の作品に何度も出ていて、今回も主役だった模様。捲し立てるところと、矛盾しまくってるところと、警察が来て急に物おじしているところ、雰囲気だけでも笑えた。会場のあちこちで爆笑がおきたのは言語のわかる中国の方が多いからか。なるほど、日本在住だとこういう機会でしか母国の映画なかなか見れないもんね。中国映画の満席率が高かった理由が垣間見れた。
タイトル写真にもなっている、囲いの中に飛び込んだ雪豹法師の姿がとても神秘的。山の神的な存在と出家した僧との緊迫した対峙が美しかった。しかし投げ縄で助け出すとは、なかなか豪快。
演じたツェテン・タシさんは舞台挨拶によると僧侶に実際なりたかったが家族で唯一の男子(か長兄)だからできなかったとのこと。それを知って監督がこの役を当ててくださったのではというエピソードが。2019年にドキュメンタリーに出演したのが監督とのご縁らしいけど、それまた数奇な人生。
雪豹どこまでがVFXなのか分からなかったけど、命を助けてくれた時のCGだけやや作り物っぽかった。朦朧とした状態と、神話っぽさを表すため、わざとかな?
あと誕生日ケーキのでかさにびっくり。さすが中国サイズ!