「学校と教育委員会の勇気は称えたい」小学校 それは小さな社会 セイコウウドクさんの映画レビュー(感想・評価)
学校と教育委員会の勇気は称えたい
どんな内容でも、肯定する人がいれば批判する人もいるのに、学校教育の一部ではあるが公開する学校と世田谷区教育委員会の勇気を称えたい。坊主の先生が児童に「殻を破れ」と言って、ダチョウの卵?の殻をおでこで割り、出血したのはさすがにやり過ぎと思ったが、殻を破りたかったのは、その先生自身であることは後で分かる。先生も正解が分からない中、もがいている。最後に我が子と思われる幼児が出てくることから、朝早く出勤して仕事をして、夕方は早く退勤して子供を保育園に迎えに行くのだろう。1日に24時間じゃ足りない、他人の子供のために仕事をして、我が子には十分なことが出来ないと思っている教員は、たくさんいる。そういう教員に、日本の教育は支えられている。
1年生のための合奏の練習で、ミスばかりする児童を叱るシーンで、初めは厳しく指導し、励まして、出来たら誉めるというのは昔の学校で良くあった。いくら子供が喜び、成長したとしても、私はこういう指導は好きではない。はじめから個別指導を丁寧にしてほしい。放送委員会の児童が二人しか出てこないが、この規模の学校なら20人以上の委員がいるはず。他の委員会も活動しているが、あまり紹介されない。挨拶運動ぐらいか。
この映画は、日本の小学校を外国の人や保護者に紹介するのにはよいが、これが全ての小学校で同じように行われているわけではないし、コロナ後はますます多様化しているはずである。また、特別活動を日本の教育の特徴として、映画を製作しているが、もっと特色のある特別活動をしている学校は他にあるし、特別活動より特徴的なのは教科指導の方ではないだろうか。
見た人に勘違いしてほしくないのは、学校も組織で仕事をしているのであり、教員が全て自分の考えでやっているのではなく、校長の学校経営方針のもとで仕事をしているということ。校長が何度か画面に登場するが、本当は見えないところで教員に指導をしているのである。頭で卵を割ることは、さすがに指示も指導もしていないだろうけど。