「下層の意地と反逆に鼓舞される。」ダム・マネー ウォール街を狙え! 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
下層の意地と反逆に鼓舞される。
富裕層に楯突いた名もなき庶民たちの胸のすくような実話、という体裁からして、いかにもハリウッド好みの題材に思えるし、草の根の運動が大きな波を起こすカタルシスも、実話ベースであることを思えば、ハリウッド的な単純化から逃れてはいない気がしてしまう。しかしそれでもなお、この映画が描く反骨精神を応援しようという気持ちには同調するし、群像劇で登場人物が多く、ひとりひとりの掘り下げに時間を割いていないからこそ、誰かひとりに肩入れするのではなく、ムーブメントに自分も参加したような気分が味わえる。その意味では、今必要な下層の人間を鼓舞してくれる役割をクレバーに果たしている作品ではないだろうか。『ラースとその彼女』『アイ、トーニャ』のクレイグ・ギレスピー監督のことが好きすぎて、ちょっと評価が甘くなっている気もするが、まあそれも監督の功績が為せる技ということで。
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