「離れ離れでも忘れない」ロボット・ドリームズ Pinoさんの映画レビュー(感想・評価)
離れ離れでも忘れない
アニメーションにここまで感動し、心を動かされることがあるだろうか。
とあるアニメーターの人と話をしたことがあるのだが、風を受けた物体の動き、影の落ち方や光の当たり方、関節の自然な動きなど、世の中の物理的な常識をいかにリアルに描くかが非常に難しくアニメーションの面白さでもあると語っていた。
この映画は基本的にデフォルメされたキャラクターでありながら、上記のような物理的法則に基づいた動きが細部まで表現されており、セリフやナレーションがなくとも感情が読み取りやすく、観客が感情移入する一因となっているだろうと考えられる。
また、投稿する動物が人間の擬人化であるということも、表情のその細かな描写によって明らかに表現されていると思った。
キャラクター自体のデフォルメ具合に対し、風景や街並みは意外と細かく描かれており、ポストカードやポスターがあったら買い占めたいくらいデザインやタイポグラフィがいちいちおしゃれでかわいらしい。
全部の場面が一枚絵として素敵だなと思った。
序盤ロボットを購入し、組み立てていろんなところに遊びに行くシーンでは、この幸せな場面は長くは続かないのだろうなと落差に怯えながら、でも幸せそうすぎる2人になぜか涙が出そうになる。
そしてロボットがビーチに置き去りになってからの2人の決断。(というよりロボットの決断)
鳥の親子との交流は素直に心温まる。
Dogとロボットに起きた一連の出来事は普通の人生にしてみればよくあることなのだが、どうしても最後また再開して手を繋いで歩いていってほしい!と思うも私の願いは叶わず、儚くも現実的なラストに涙が出てしまった。
そうなんだよね、人生ってそういうものだよね、、とノスタルジックな気持ちで映画館を出ることになってしまった。