「人間関係の捉え方が面白い。沖縄を舞台とした大人社会への子どもたちの復讐譚。」ゴールド・ボーイ あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
人間関係の捉え方が面白い。沖縄を舞台とした大人社会への子どもたちの復讐譚。
中国の小説が原作で、中国では既にドラマ化もされている素材ということである。なるほど、例えば「鵞鳥湖の夜」とか「シャドウプレイ」のような匂いが若干する。何か乾いているのだけど同時に湿っているような独特のトーン。これはおそらく人間関係に起因する。
この映画での子どもたちは追い詰められている。主役の朝陽は、両親が離婚して母親に育てられている。でも父親は再婚して再婚相手の連れ子が同級生となるという厳しい環境。朝陽と行動ともにすることになる夏月と浩も同様に複雑な家庭にいる。子どもたちだけではない。岡田将生が演じる東昇も同じ。奄美出身であること以外の出自は明らかになっていないが東家を追い出されると行く先を失う身の上であることは容易に想像できる。他の大人たちも同じ。離婚率が高く貧困率も高い沖縄の狭い社会の中でがんじがらめになっているのである。人は頼りにできない、大事なのは自分ばかりである、個人的なエゴというか自分が生き残るために必死にならざるをえない。この映画における人間関係の捉え方が中国の犯罪映画のおけるそれに似通ってくるのはこのような事情があるから。
映画の前半部分はどのようにしてお金をゆすりとるか、というテーマで話は進む。ここまでは脅迫者が子供であったという、ややファンタジックな話でしかない。ただ途中でストーリーは転調し子どもたちが自分勝手な大人たちに復讐するという話に変わる。実際に手をかけるかどうかは別として、その思い、渇望が妙にリアルであるところが怖い。
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