劇場公開日 2024年3月8日

「ひたすら暗鬱な気持ちにさせてくれる」ゴールド・ボーイ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ひたすら暗鬱な気持ちにさせてくれる

2024年3月10日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

予告から、犯罪をネタにした脅し合いになるだろうことはわかっていましたが、そこからさらに裏の裏をかくような展開がおもしろかったです。

ストーリーは、大企業一族の婿養子・東昇が義父母を崖から突き落として殺害する現場をたまたま撮影してしまった中学生・朝陽、夏月、浩の3人が、それをネタに大金をせしめようと東を脅迫したことから始まる、東と中学生たちの攻防を描くというもの。

それぞれの家庭に問題や悩みを抱える少年たちが繰り広げるひと夏の危険な冒険、と思わせてからの二転三転の展開がおもしろいです。脅迫する側の少年たちが主導権を握っているように見せて、東も動じることなく隙あらば形成逆転の機会をうかがいます。丁々発止のやりとりが、緊張感を最後まで程よく保っています。

また、東VS中学生という構図をメインにしながらも、少年たちのそれぞれの家庭環境や状況を描き込み、作品に奥行きを与えています。これが、二転三転する展開の背景として説得力をもたせているように感じます。

終盤、明らかにツッコミたくなるポイントがあり、それまで緻密に事を運んできた東がまさかの大失態かと思われましたが、実はそれは朝陽の作戦のうちだったということがあとでわかります。そこから、ここまでの伏線を回収しながらのどんでん返しを経て迎えるラストの展開がおもしろく、最後まで目が離せません。そして、ひたすら暗鬱な気持ちにさせてくれます。

ただ、ずっと警戒していた東に対して、最後だけは出されたものを安易に口にしたのは疑問です。東にしても、作戦が成功した場合、朝陽たちが残していたであろうバックアップデータから全てが露見する恐れがあります。それをどうするつもりだったのでしょう。

それにしても、あんなよさげな両親から、どうしてこれほどおぞましい子が生まれてきたのでしょう。そこが最大の疑問です。最後にサイコパスのような描き方に見えたのは、ちょっと残念でした。心が捻じ曲げられるような過去があったのなら、そこはしっかり描いてほしかったです。

主演は岡田将生さんで、狡猾な冷酷非道ぶりが秀逸です。中学生役の羽村仁成くん、星乃あんなさん、前出燿志くんも、それぞれの個性が光る演技がよかったです。脇を固めるのは、黒木華さん、松井玲奈さん、北村一輝さん、江口洋介さんらで、隙のない布陣が完成度を高めています。

おじゃる
2024年3月21日

優しいおじゃるさん、ありがとうございます
これからもよろしくお願いいたします

talisman
2024年3月21日

🔺おじゃるさん、しつこくてすみませんでした・・・

talisman
2024年3月21日

しつこくすみません。おじゃるさん、沖縄なんだと思います、この映画の肝は。濃い。でも好き。国なり県と密な企業。ここ数年いきなり自衛隊(すみません、宮古島です)、もう本当に悲しい悔しいです。何も私はできない。何かできるのかな。つらいです。すみません、こんなこと書いて。ごめんなさい。でもこの映画で沖縄とその近くの島のこと、皆がかんがえてくれたらうれしい

talisman
2024年3月21日

おじゃるさん、コメントありがとうございます。書いてくださったようにわたしにとってこの映画は沖縄です。どんなに優秀な子でも大変、離婚が多い地域なのかな、狭くて苦しい地域なのかな。私は沖縄に生まれ育った訳ではないけれど、とりわけ宮古島に恋い焦がれました。でもいつのまにかあんな小さい島に空港が二つでき、橋ができたのはいいのか悪いのか。悲しい。十回以上宮古島に行ったけれどもう行かない。愛しすぎた。あんなに可愛い島に二つも空港いらない。悲しい。ごめんなさい、涙が出る。

talisman
2024年3月21日

沖縄の問題と気持ちをとっても感じました

talisman
uzさんのコメント
2024年3月14日

食べ物はデリバリー、飲み物も開栓したばかりのペットボトルで油断したのかもですが…
観てる側からすると、氷が怪しいのはバレバレでしたね。笑

uz