「犯人は分かっているのにドキドキするしずっと不気味」ゴールド・ボーイ ○さんの映画レビュー(感想・評価)
犯人は分かっているのにドキドキするしずっと不気味
この作品は沖縄を舞台としていて、公式Ⅹには“美しい風景と唯一無二の文化が存在する特別な場所であり、なおかつアジアを含む世界に向けて発信する映画としてオリジナリティを生み出せる場所として沖縄を選びました”と書かれていた。沖縄というと青い空にきれいに透き通った海と美しい風景をイメージするだろう。しかし作中での沖縄は、海も町もザ・沖縄という感じなのに、ずっと空気がどんよりしているのだ。雲一つない晴れた日なのに雲にすべて覆われているように見える。沖縄だからこそ、さらにこの映画を不気味に感じられたのだろう。
そして映画の内容では、冒頭から岡田将生演じる東昇のサイコパスぶりが怖かった。少し前の「ゆとりですがなにか」とのギャップがすごく、悪人顔ではない岡田将生だからこそ、さらにサイコパス感が増した。しかし子供達の方が何倍も上だった。子供たち三人組のなかで唯一学校に通うあさひが一番まじめでまともだと思っていたのが、最終的に一番やばい人間で、段々それが分かり始めるのがゾクゾクした。まじめな顔の裏になにかがずっとあるような雰囲気があって、すごくうまいなと思った。
最後に東宅でデータを渡し、みんなでピザを食べるシーンでは、東が三人を襲うことがなんとなく予想できたのだがあさひだけが生き残るとは思わなかったので驚いた。音楽が流れ、三人ともを殺したと思い窓の外を眺める東だが、後ろを全く見ずにやり切った感が出ていたのでとても死亡フラグが立っており結局あさひに殺された。私は、それは三人の計画だと思っていたのであさひ一人の計画でさらには、キスまでした夏木も殺してしまうとは呆気にとられた。途中から浩の存在を忘れてしまっていたが。ただ最後夏木のおでこにキスをしていたのでやはりちゃんと好意はあったのだろう。ずっと三人で協力していたのに日記に自分のアリバイを作っていたことが最後に分かって、嫌悪感で少し鳥肌が立った。そしてなぜか私は途中から子供たちの方が気持ち悪くなり、東に感情移入していた。大人をなめるな!と東が言った際には、そうだぞ、分かったか!と心の中で言っていた。
この映画はとにかくどんよりそして気持ちの悪い感覚になるが、ベテラン俳優に加え、子役の子たちの(あのくらいの年の子は子役と呼ぶのか分からないが)演技がリアルすぎて惹き込まれるのでぜひ観てみて欲しい。