「黄金を手にしようとした少年は、すでに手に入れていた存在によって地獄に突き落とされる」ゴールド・ボーイ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
黄金を手にしようとした少年は、すでに手に入れていた存在によって地獄に突き落とされる
2024.3.8 イオンシネマ京都桂川
2023年の日本映画(129分、PG12)
原作は紫金陳の小説『悪童たち』
ある事件の目撃者となった少年たちが自身の生活を変えようと悪巧みをしていく様子を描いた犯罪映画
監督は金子修介
脚本は港岳彦
物語の舞台は沖縄県
島の根幹事業を担っている東コーポレーションに婿入りした昇(岡田将生)は、義父母(矢島健一&中村久美)に付き合わされて岬へとやってきた
プロポーズした場所で記念写真を撮るために訪れたが、何を思ったか、昇は二人を崖から突き落として殺してしまう
そのまま「事故が起きた」という体で演技をするものの、昇の妻・静(松井玲奈)は昇が殺したと感じていた
静はいとこの刑事・巌(江口洋介)に相談するものの、警察は事故死で片付ける方針で、彼女は「私が事故で死んだら、あいつが殺したと思って」と吐き捨てた
一方その頃、父・一平(北村一輝)の再婚相手・遥(花澄)から執拗なストーキングを受けていた朝陽(羽村仁成)の元に、小学校時代の友人・浩(前出燿志)が義理の妹・夏月(星乃あんな)を連れてやってきた
浩は夏月が義父(グレート・O・カーン)を包丁で刺してしまい、行くあてがないので尋ねてきたという
朝陽は快く彼らを迎え入れ、気分転換のために外に遊びに行くことになった
夏月がカメラ好きということで、朝陽は父からもらったお金でそれを買ってあげる
そして、岬が見えるビーチにやってきて、ここで記念写真を撮ろうという話になる
朝陽は夏月を撮ろうとしたが、間違えて動画モードで撮ってしまうのだが、その映像ヤバいものが映り込んでいたのである
映画は、この動画を警察に見せることもなく、動画をネタに昇を脅そうとする朝陽たちを描いていく
昇は婿養子だからお金は自由に使えないと言い、手元にあったわずかな金だけを与えていく
だが、それでは納得できない朝陽はさらなる要求を突きつけていくのである
と、中国の連続ドラマにもなったベストセラーを映画化したもので、中国ドラマはAmazon Primeで配信されていたりする
悪ガキたちがエスカレートしていく様子が描かれるのだが、一応は知能犯VS知能犯という様相を呈している
ツッコミどころ満載の作品ではあるが、思わぬ展開を迎えていくというストーリーテリングは面白いものがあった
パンフレットも結構凝っていて、劇中で登場する連続殺人事件を報じた新聞が織り込まれていたり、その裏面にはテレビ番組欄まで載っていたりする
アプリをダウンロードすればさらなる仕掛けも施されているようで、映画を気に入った人なら、少々値が張ったとしても、購入しても良いのではないだろうか
いずれにせよ、13歳の犯罪に問われない時期を逆手に取った犯罪映画で、サイコパスVSサイコパスを楽しむ映画のように思える
悪人は悪人らしい顛末を迎えるのだが、それらも含めてシナリオが凝ったものになっていた
まともな人が朝陽の母・香(黒木華)しかいないように見えるのも凄いのだが、この母親も結構キテる人なので、泥まみれの展開からの爽快なエンディングになっているのは奇跡的のようにも思えた