「ちょっともったいないかも」異人たち ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっともったいないかも
これは大林版『異人たちとの夏』のリメイク、ではなく、山田太一の「異人たちとの夏」の再映画化なんだろうけど、どうしてもこの原作設定の良さは「夏」だったんだな、そして大林宣彦はそこを映画にピックアップしたんな、というのがよくわかった。もっと言うと失った昭和の再現と対比。だからと言ってこの映画をそれと比較してもしょうがないけど何をみてもぼんやりイメージしてしまうほど大林版は魅力的だったんだな、という怖さ。逆にいうとあの昭和のランニング姿からゲイのネタに変わるのは隔世の感があった。
映画はトップカットの実景からまるで大林版などを弾き返すかのような現代映画のルックですっかり何の話かも忘れそうな勢いだけど、お国柄とはいえかなりナイーブな感じで孤独感強め。それと、ご両親があまり時代感をせおってない感じもある。亡霊に取り憑かれるのはこちらのほうがナチュラルな感じはするけど、今はもう会えなくなった両親との再会、それも自分と同じくらいの歳の両親との再会という最大の特徴が活かしきれてたかどうかはわからない。自分にとっては亡霊であれなんであれ、今と同じ年くらいの両親が自分を疑いもせず、その家庭に上がり込ませてくれ、そこが光に溢れているのがこの怪談のコアだと思うのでちょっともったいなく感じた
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