劇場公開日 2024年4月19日

「亡父を思い、主人公の孤独に共感」異人たち みる子さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5亡父を思い、主人公の孤独に共感

2024年4月26日
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12歳で両親を一度に喪うという強烈な体験は想像すらできませんが、私も数年前に父を亡くしたので、意外にも外国人で異性の、さらにゲイである主人公が身近に思えました。
いじめに遭っていた主人公に歩み寄れなかった過去を悔い、涙する今は異人の父親。これは切ない話で少しホラーではあるけれど、癒やしの物語でもあるのですね。
今の自分と同じ年齢の父と映画を見に行きたかったなという思いがこみ上げてきました。疎遠であったのに。映画なんて生前は思いつきさえしなかったというのに。
異人なのに息子がゲイと知って普通に動揺したり、毛深くない息子を観察する母親が面白かった。死は解脱ではなく、伝統や慣習にこだわらなくなるわけではない。現代のハリーの母も反応は変わらないのですね。
中年男性が郊外に家族と暮らすという枠から離れ、都会のタワーマンションに独り暮らしというのも、今では珍しくもないでしょう。
しかしラストでそんな暮らしの目を逸らすことのできない現実を知らせたところがさすがだと思いました。

みる子