「立ち直れない喪失感」異人たち サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
立ち直れない喪失感
原作「異人たちとの夏」および、大林宣彦監督による映画化作品がめちゃくちゃ気になった。日本だと雰囲気も展開も全く異なるだろうし、イギリスに舞台を移し、更には同性愛者同士の物語に変更されているため、原作からかなり改変されているんじゃないかな。情緒あるイギリスの映像はすごく良かったけど、日本人なら日本じゃないとノスタルジーを感じられないし、断然その方が好きになれるだろうな笑
死んだはずの両親と奇跡の再会を果たした主人公・アダム。そんな奇妙な出来事から自身の心に残っていた〈しこり〉に気付き、離れていくことの恐怖を抱きつつ立ち直る勇気を振り絞る彼の様は、ファンタジーな設定ながらも再起の物語としてはかなりよく出来ており、後半は特に胸が打たれた。
ただ、中盤があまりにも退屈すぎる。
先日の「パスト ライブズ」もそうだったんだけど、物静かさが最大限生かされていないというか、多くを語らず、超スローペースで物語を展開していくこと自体を映画の美と捉えている作り方が、見ている側としてはものすごい眠気に襲われてしまう。冷たく、張り詰めた空気感を全編通して貫くのは非常にいいとは思うけど、やはり中盤でひとつ、大きな1歩を踏み出して欲しいもの。ゲイであることを公表している監督・主演俳優であるため、BL描写はかなり優れていた。それもあり、作りの甘さと演出の弱さは気になってしまった。予告からちょっと期待しすぎたかな笑
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