「You are always on my mind」異人たち tunaさんの映画レビュー(感想・評価)
You are always on my mind
「異人たちの夏」の外国映画化。R15+
原作と監督の自信の経験を合わせたまったく新しい「異人たち」。
シナリオライターの主人公アダム。
ある日同じマンションに住むハリーの誘いを断ってしまう。
仕事の着想に実家の家を訪ねたアダムは両親と再会する。
12歳のクリスマスに交通事故で2人は亡くなったのに。
そこから亡くなった両親過ごす日々とハリーとの恋仲の日々をアダムは過ごしていく。
アダムは幸せな日々が続いていくと思っていたが、、、。
原作は山田太一の「異人たちの夏」
1988年には日本で映画化された。
今作は監督の自信の経験を織り交ぜて
日本版とは別のストーリーを展開していく。
大きく変更されたのはアダムのセクシュアリティをゲイとしたこと。
また幼少期から内向的でゲイとカミングアウト出来ずに暮らしてきたこと。
その要素がこの映画の質と完成度をグッと上げている。
ハリーの誘いを一度は断ってしまったアダムは
再度アダムからハリーを誘います。
おそらく今まで恋愛経験が少なかったアダムの決意でしょう。
そこからアダムは硬い殻を破っていきます。
性描写もゆっくり。でもそこに優しさがあり見入ってしまう。
後半からアダムの苦悩と過去のフラッシュバックの映像描写が
とても辛く、不穏でもある。
映像トリックもドキッとさせられて観客飽きさせない。
クライマックスは
1度目はただだた受け入れるので涙は出なかった。
観終わってアダムやハリーのことを思い出すと涙が出てきた。
ハリーを一瞬でも話すと彼きっと消えてしまう。
だから離さないようにずっと抱きしめていた。
心から愛した人、両親に紹介したいくらいに愛している人。
両親も認めてくれたし。幸せを願っていた。
それなのに。
ハリーが消えてしまうとアダムはまた
厚くて硬い殻に閉じこもってしまうかもしれない。
「吸血鬼から守ってあげる」アダムの愛の力で。
あまりに切ないラストシーンは映画史に残ってもおかしくない。