「山田太一さん原作の「日本版」との違いにとても戸惑いました。」異人たち 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
山田太一さん原作の「日本版」との違いにとても戸惑いました。
ラストに“異人たちとの夏より“の字幕スーパーが出ました。
鑑賞後の気持ちに戸惑うばかりでした。
この映画を一言で言えば、
《ゲイに生まれた悩みを、死んだ両親に会って、カミングアウトして
慰めて貰う》
というのはちょっとキツイ言い方ですね。
ただ山田太一さんの、美しくも儚く、
《亡くなった両親との再び訪れる奇跡の邂逅を、
《至福の喜びと切なさで描いた「異人たちとの夏」》
…………この違い!!
「異人たち」は、アンドリュー・ヘイ監督の
実体験を色濃く滲ませた作品との事ですが、
そこにはホモセクシャルに生まれた男性の、
苦悩を描かれた作品でした。
例えば、日本映画の「エゴイスト」では、
鈴木亮平の役もゲイに生まれた自分の葛藤と父親への自責に
深く傷つき苦しむ役でしたが、
死んだ宮沢氷魚の母親にその愛を置き換えて、ありったけに尽くす、
その心根の美しさが胸を打ったのです。
アンドリュー・ヘイ監督には、
広い視野で自己を見つめる視点がもうほんの少し少し
あっても良かった、
そんな気がしました。
私は女性ですし、ノーマルなセクシャリティの人間なので、
だからゲイに生まれた苦しみ、孤独、切なさ、寂しさに、対して
鈍感で思いやりが薄いのかも知れません。
まぁ正直に言えば、あまり若くも美しくもない男性2人の
ラブシーンに、ちょっと引いてしまった、のも本心です。
大好きなジェミー・ベルも見せ場のない役で勿体なかったです。
お母さん役のクレア・フォイは息子のホモセクシャルを告白されて
戸惑う母親を等身大で演じて、良かったと思います。
オリジナルを知らずに見たほうが、
きっとこの映画の真価が分かるのでは・・・
と心から思いました。
追記
あるレビュアーの方より、ゲイであることへの理解が足りないのでは、
とのご指摘がありました。
山田太一さんは生前に本作品をご覧になって、
「温かく受け入れていただきました」との教えも頂きました。
ゲイの方への失礼を深くお詫びします。
まだ要領を得なくてどちらにお返事すればわかっておりませんで、それぞれにお返事しちゃってすみません。
他の方を見ると同じ作品をレビューされている場合は相手の方へお返事すればよさそうですね!
竹脇無我いいですよね~。山田太一作品でしたら他に「三人家族」と「2人の世界」での栗原小巻とのコンビも好きです。
そうですね!ドラマがメインの方だったのでレビューする機会が少ないのが残念ですが、この映画があればこそ多くの方の山田太一作品への思いが伺えて本当によかったです!
琥珀糖さん
共感やフォローありがとうございます!
また嬉しいコメントもありがとうございました!
こちらからもフォローさせてもらいますので、よろしくお願いします!
>広い視野で自己を見つめる視点がもうほんの少し少しあっても良かった、
ちょっと琥珀糖さんの意図と違うかもしれませんが、確かにこの作品の主人公の孤独っぷりは少し極端だった気がします。
社会で生きていれば(ましてや仕事をしていれば)煩わしくても人との関わりってでてきますから、この主人公が生きる社会にも、深い仲でないにしろ関わりがある人達が存在しているはずですよね。
元作品には居た、そういう主人公と深い仲でないにしろ関わりがある人達の存在を削ってしまったのは、孤独感を醸しだす演出として少々強引で、主人公は周囲を拒絶して自ら孤独に浸っているフシもあるような気がしてしまいました。
これがもっと客観的な視点で、主人公の生きる社会で関わる人達との関係性の中から、無理解な周囲によって募る孤独感というものを見せてくれた方が主人公の心情への理解って深まったのではないかな?と思います。
コメントありがとうございます。
私は、どうしても、同性愛(偏見は無いつもり)への変更、カミングアウトしたかっただけなのと、ドラッグの力で異世界へ行くという改変が許せませんでした。
山田さんはこの作品のために、オリジナルの映画の脚本の方などに連絡を取り、再映画化のための権利を取るために病床の中、奮闘されたそうです。
ですから、ある程度、中身を知った上での、この映画なのでしょう。
ただ、試写会は生前に間に合わなかったとのことなので、(たぶん)見てはおられない、ということでした。
コメントありがとうございました。私もゲイの孤独感をちゃんと理解できてるとは言えませんが、それでもなにかに置き換えて想像してみるということでしょうか。たとえば外国に行って言葉が通じない不安感や、考えの異なる集団のなかで自分の気持ちを素直に表明できない恐怖などとも通じるのかな…とか。
アンドリュー・ヘイ監督自身もゲイだったんですね
だからこそのリアルなんでしょうか
私も女性でノーマルタイプなので、あの世の人々もゲイの人々も、私には「異人たち」のようです。自分と違う人たちのことはなかなかわからないもので、そういう意味では、監督がこの映画で見せたゲイの人々の描写は意味があるものかもしれません。
みんな違う親なのに、どうして昭和の夏の家族の風景で、観客みんながこんなにノスタルジーを感じるんでしょうか。日本バージョンは「夏の風物詩あるある」でスクリーンが埋め尽くされてました。あー、楽しい時代でしたー😭…
私もなんで感動できないのかと思ったら、死んだはずの両親に会えた感激が伝わらなかったからか!と、皆さまのレビューで気づけました😩
イギリス版の演者さんたち、原作を観てないんですかね。最後までそうじゃない感が払拭できませんでした。
琥珀糖さんならすぐにご覧になると思ってましたw
やっぱり日本バージョンにはかないませんよね!そうか、監督の思いも相当入ってるから、基本プロットは同じなのに、鑑賞後感が全く違うんですね。
すみません、少し気になりましたので、コメントさせて頂きます。
『ゲイに生まれた悩み』⇒ゲイであることが悪いかのような記述ですが全く違います。悩むのではなく周囲の無理解に苛立つのです。
そもそもゲイは先天的なものでご本人に選択の余地は全くありません。
『自己憐憫、自己愛、そして自己陶酔』これこそノーマルなセクシャ
リティの方の一部に存在する非多様性の言葉に他なりません。
『山田太一さんに“ごめんなさい“』もとより小説とそれを原作とした
映画作品は完全に別物です。原作のファンの方にもそこはご理解頂きたい。
他の方のレビューにも記されてますが、生前の原作者は本作をご覧になってらして「温かく受け入れていただけた」とのことですし。
どうか、理解してとは申しません、広いお心で許容して差し上げれば
よろしいのです。勝手申しました失礼をお許しください。