若き見知らぬ者たちのレビュー・感想・評価
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いつの間に、こんなふうになってしまったのか…。
映画って、何が起こるか分からないので、寝ることはあっても、途中退出はしたことがありません。
今作は、「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」の後に観たので、半分くらいで不幸の連鎖にお腹いっぱいになり、帰ろうかなと思っちゃいました。
いや、もう、磯村君演じる彩人くん、タバコ吸ったりセックスしたりせず、まず、ちゃんと現実と向き合わなきゃと思いました。
面倒くさいのは分かるよ、めちゃめちゃ色々こんがらがっていますから。
それでも。
それでも。
あなたが何もせず、日々を過ごしていたら、そう遠くない未来に、破綻するのは必至。
大切なお母さんや、かわいい彼女のために、ひとつひとつ、取り組んでいって欲しかったです。
約半世紀前、私が小学生くらいの頃は、変質者が出たり、子どもが自転車でどぶ川につっこんで怪我したり、鍵を落として家に入れなかったり、困ったことがあれば、周りの大人が力になってくれました。
私たち子どもがすることは、周りの人に「困っていることとその理由」を伝えること。
困った時、人に頼ることは、人生初期で身に付けました。
その極意は、助けてくれる人に出会うまで、助けを求め続けること。
絶対に、助けてくれる人はいると信じて突き進めば、見つかります。
彩人くんは、彼の特性なのか、それができない。
その場しのぎの対応を続けていくうちに、どんどん状況が行き詰まっていく。
観ていて、私も息苦しくなり、いっそ席を立つ選択をしたくなったのでした。
彼は、弟や友達、たくさんの人に囲まれているのに、本気で彼をサポートする人がいません。
亡くなってから泣くぐらいなら、なぜ、生きている間に、助けなかったんだろう。
人と人との距離感って、今こんな感じなのだろうか、空虚だなと感じました。
磯村勇斗さんの出演する映画は、なんだか誰かと話したくなる作品なので、タイミングが合えば、また観にいきます。
一度、めちゃめちゃ明るい磯村さん主演の恋愛コメディも観てみたい気がします。
いつまでも重たい
母親の状態ですが、序盤は知的な障害と思って観てました。でも夫が貯金や障害年金を使い果たしていたショックで気が触れ、失踪後自営のカラオケバーで夫が自殺していたのを第一発見したことで、もともと軽くあった脳の障害が加速したのだと私は解釈しました。
それにしても担当医が頼りない。
子どもたち、特に母が父に苦しめられている場面を陰で知っている兄は、幸せだった母を支えないとと気張る。
兄ほどは事情を知っていないと思われる弟は、幼い頃父から学んだ人生の戦い方を自分なりに全うする。
自分の人生をちゃんと生きるのも正解なんだけど、家族だからどんな母も支えて暮らす生き方も長男らしいのかもしれないけど、
胸がヒリヒリするし、
もっと方法があるかもともどかしかったし、
芸術的すぎて理解できない表現もいくつもあって。
兄は自分のバーでまずケガを負った、とまでは警察は遡って調べてくれないものなのか。
母は時々正気を取り戻すようで、夫の過去を振り返る場面が1つあったけど、画面が暗すぎて目が追いつかず、そこが残念でした。
バーの散らかった床を弟は片付けるけど、血痕とは思わなかったのかな、ワインとかの汚れと思った程度なのかな。
これはいろんなレビューを読ませてもらって、それをアドバイスに自分なりにじっくり理解していこうと思う映画でした。
期待度○鑑賞後の満足度○ 着想と構成は面白いが、それが昇華しきれていないうらみは残る。然し心に残る映画であることは言えると思う。ただ、題名(特に英語の題名)にはやや違和感あり。
①督促状は出てくるが、持ち家に住んでいるようだし食べるものにはそれ程不自由していないようだし、結構高くなっているタバコ(私は吸いません)も吸える。
何より手に負えなくなりつつ母親を施設に入れるには十分な「金」が無いのだろうし、何とか自分が面倒を看ようとし続けているのは彼の優しさかも知れないけれども、既に家の外で人に迷惑を掛けているのは明白なので、何とか行政に助けを求める手立てはあるはずなのに(私も助けられました)、現状を変えようとしないのは、却って彼の意固地さか頑固さが原因だと思えて感情移入しにくい。
そういう意味で「貧困」を描こうとした作品では無いように思える。
②また、親友の結婚祝いパーティーの夜に悲劇が起こるという設定もドラマチックではあるが、閉店したのなら「閉店」という札を出していたのであろうけどその当たりがよく分からないし、ああいう店をやっているのならああいう客が来るのも経験しているだろうから不自然さが先に立つ。
自転車に乗っていた彩人を倒しておいて、“大丈夫ですか?”と心配する代わりに汚く罵るようなドライバーって今時いる?、と思うし、悲劇の夜にやってきた三人の酔っ払いもひどい輩だし、彩人が命を落とす一番の原因を作りながら自分達の落ち度を糊塗する警官達も酷い(遠藤憲一が珍しく憎まれ役)けれども、彩人の周りに意図的に酷い人間を集めたような話も作為感が強いので、世間の「不条理」さという側面もインパクトが弱い。
③染谷将太扮する大和が彩人を偲んでスナックで(事件の夜以来いつまでも放ったらかしかと思った)「我が良き友よ」を歌うのもありきたりすぎてベタさが先立つ。
④といった不満点はあるが、“降りかかってくる暴力から自分を守る領域”としてひたすら謝ることを選んだ兄、自ら暴力(私にとってはボクシングとかキック・ボクシングってルール化された暴力としか思えない)を選ぶことで暴力から身を守ることにした弟。(あれで世界チャンピオンになるのというのも安直な話だとは思うけれども)、チャンピオンになったというのに兄のいない暗いスナックで虚無感を漂わせる姿。
もどかしさはあるが、この監督が描きたかったものが何となく分かる。
⑤
些細な
出来事なのに、あんな事で死を迎えてしまうなんて、何だか喪失感を持ってしまいます。父親の死、母親の難病、借金‥、色んな困難を何とかしのいでいたのに。最初と最後の銃撃死亡シーンはどういう意味があったのでしょうか?よくわからなかったです。
フィクションではあるものの…
構成のリアルさに疑問を抱く箇所もいくつかあったが、フィクションだと言われれば、仕方ない。
それはさておき、理不尽な暴力に対しての報復は、妄想でしかその術はないのだろうか。
ラストの日向の笑顔は、岸井ゆきのさんの見事な演技だけに、状況の悲惨さをより際立たせていた。
もう若くない…
あれだけの病状、疾患ならば医師からなんらかのセーフティーネットの説明があるはず、恋人も看護師??ならばそれぐらいの知識なり、相談する場所は心得ているはず…。
それでも家庭内でなんとかしなければならない理由があったのならば、キチンとそういう描写を描くべきだったと思う。
一方で、若い警察官の方が頭をかきむしるシーン、壮平の試合のシーン、岸井ゆきのさんのラストの食卓シーンは素晴らしかったと思う。
映画館からの帰り道…う~ん…う~ん…う~んんんんん…と何度も唸ってしまった。
この映画のよさがわからないのはもう自分が若くないからなのかな…と。
岸井ゆきのの笑顔に救われる
日本の介護問題を上手く映画に取り入れて、非常に見応えのあるドラマでした。磯村勇斗さんの全てを背負って介護と家族だけが自分の人生になってしまった演技に圧巻しました。素晴らしいお芝居でした。
ただ後半の警察官とのやりとりのシーンや、スナックの取り調べを何故かしなかったり、介護保険制度でヘルパーさんや施設を利用することを思案しないのは介護経験者としてはリアリティに欠けた感があり、感情移入できませんでした。
物語の終盤、岸井ゆきのさんと、霧島れいかさんの食事のシーンで岸井ゆきのさんの微笑みがとても優しく、シリアスな作品に温かさをもたらして、救われた感じがしました。
あの床を見て何か気づかなかったのかい?
今の日本を象徴する、貧しくて病人の親を抱える話で、見応えのある映画でした。
ただ、疑問点もいくつかありました。
彩人は3人の男の暴力で瀕死の状態になり、警察官が駆け寄ってくるのですが、何故か3人の男を捕まえません。警察官が3人の男を解放するのは、あの状況では考えにくいです。
カラオケバーは、彩人が死亡した後もテレビ等の電気が入ったままなのは妙です。カラオケバーの床には彩人の血痕が残ったままなんですが、友人の大和も弟の壮平も異変を感じなかったようです。私の勘違いもあるかもしれませんが、「あの床を見て何か気づけよ!」と心の中で思いました。
見応えのあるドラマだと思いますが、疑問点も残った映画でした。
力とは何?
物がないのではない。溢れかえっている。澱んだ空気に息が詰まりそうだ。
「何が」彩人(磯村勇斗)の命を奪ったのか。直接的には分かるがどういう力だったのか。暴力か、権力か。
彩人が自分の頭を拳銃で撃ち抜き初めて映画のタイトルが現れるがあれは彩人の願望であり、かつて見た父(豊原功輔)の最期だ。
とにかく皆多くを語らない。最後の試合直前の壮平(福山翔大)と治虫(伊島空)の会話が最長だっただろうか。しかし誰もが雄弁に語りかけてくる気がする。気がする、だけでそれが何かは全て分からないが。
彩人を押さえ付けた血が残る車止めを見下ろす松浦(滝藤賢一)。「花火」の現場検証で警察の誤認逮捕が判明したのか映画では教えてくれない。松浦は一度後頭部を撃たれ倒れるが、それは彩人と同じく現実ではない。あれもまた松浦の願望だったのか。
仮に壮平の対戦相手、ファビオ(ファビオ・ハラダ)が何らかの原因で試合後倒れ命を失ったら故意ではなくとも原因は力だ。
そして最後の麻美(霧島れいか)と日向(岸井ゆきの)の会話。麻美の症状は進んでいる。それに対する日向の笑顔。実はノベライズでは日向に新たな命が宿っている。この笑顔もそれでかもしれないが、動作がさりげなくて一見しただけでは分からずそれまで日向に起こったことで、もしかしたらと思わざるを得ない。
彩人が暴力で命を絶たれることは分かっていた。しかし店で暴れ始めた三人(カトウシンスケ。申し訳ありません、あと二人のお名前を存じません)は怖い人達ではなく普通の人だ。言うなればこの映画に出てくるのは皆普通の人達であり、現在では彩人の家庭さえ奇異とは言えないと思う。これは普通の世界で起こった出来事。
しかし力で人の命を奪うことは許されない。でも力とは何?
考えて答が出せる自信はない。
ガス切れのライター。
亡き父の借金を返済し昼間は現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働き、病気を患う母親の介護もする風間彩人の話。
弟の壮平は格闘技…、彩人の彼女・日向も看護師をする傍ら彩人の母の介護を手伝いに…、出先では度々トラブル起こす母、自宅に来る督促状で息が詰まりそうな生活のなか、彩人の親友・大和の結婚を祝う宴の日の夜に…、子供の頃の彩人の記憶と現実を絡ませながら見せる。
母のやることを否定せずに肯定してあげ優しく接する彩人には少し涙で、母親の行動が日々酷くなるなか、限界を感じつつも耐えてる姿が観てるこっちも辛い。そんな辛い生活を送るなか親友の為の祝いの宴、閉店してるバーに入ってきた質の悪い客3人に絡まれ…。
まさかの展開に…死!?警察の嘘は超胸糞悪く…まさかその胸糞悪さもうやむやで。先輩警官が現場で頭撃ちぬかれる描写がホントだったらもうちょっとスッキリしたんだけどな~と思った。作品としては飽きずに楽しめた。
心に鬼を飼うことができなくても、自分を俯瞰できる視点だけは持ち続けたいと思った
2024.10.11 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本&フランス&韓国&香港合作の映画(119分、 PG12)
閉塞感に苛まれる若者の半生を描いた不条理系ヒューマンドラマ
監督&脚本は内山拓也
英題は『The Younger Stranger』で「若き見知らぬ人」という意味
物語の舞台は、神奈川県のどこか
難病を患う母・麻美(霧島れいか)の世話をしながら、父・亮介(豊原功輔)の残したバーを切り盛りしている長男の彩人(磯村勇斗、10歳時:林新竜、中学生時代:竹野世椰)は、工場を掛け持ちしながら生計を立てていた
弟の壮平(福山翔大、8歳時:岡崎琉旺、小学生高学年期:大野遥斗)は総合格闘技で活躍していて、ようやくタイトルマッチに手が届くところまで来ていた
彩人には恋人の日向(岸井ゆきの)がいて、彼女は家族同然の存在で、家の手伝いなどをしてくれていた
映画は、ある夜に職質を受けている若者(髙橋雄祐)を助けようとする彩人が警察と因縁を持ってしまうところから動き出す
あらぬ疑いをかけられて連行され、後半のエピソードでは被害者であるにも関わらず加害者として扱われてしまう
その時の警察(滝藤賢一)の対応によって彩人は死んでしまうのだが、映画は「どうしてこうなってしまったのか」を問いかけているようにも思える
警察の報告に嘘を感じた親友の大和(染谷将太)が警察官(東龍之介)に詰め寄るシーンもあるが、この場面での警察の暴論も強烈なものがあった
映画は、彩人の顛末を描き出すものの、その解決にあたるようなことは描かない
その後も自分の道を行くだけの壮平を描くものの、母親をどうするのかなどの問題は置き去りにされたままになっている
おそらくは金を貯めて施設に送ることになると思うが、家族という呪いをどのように断ち切るかというのが命題のようにも思える
彩人があのような結末を迎えた直接的な原因は色々とあるが、自分以外のことに力を注ぎすぎているように思えるので、特に路上の無関係の若者などは無視すべき案件のように思える
また、舞台が神奈川というのもある種の思想が出ている部分があって、結局のところ自分を助けるのは自分しかいない、ということを言いたいのかな、とも感じた
いずれにせよ、彩人の死後に店に行って、そこに血痕があるのに何も感じない大和と壮平を見ていると、何かしらネジが吹き飛んでいる人物ばかりなのかなと思った
警察の報告に違和感を感じるのに現場で感じない理由などはわからず、行政に相談もしないし、全てを抱えて人生を棒に振っている彩人を見ていると、来るべき時が来てしまったようにも見えてくる
反面教師的な側面があるとは言わないが、渦中に入れば見えなくなってしまうものもあると思うので、そういった意味も込めて、常に自分を俯瞰できる視点だけは持っておいた方が良いのかな、と思った
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